mikuさんの映画レビュー・感想・評価 - 15ページ目

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マンディンゴ(1975年製作の映画)

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これまで奴隷制度についてのわたしが見知ってきた知識なんて生ぬるいものだったのだ、とはたと気付かされる。家畜扱いして高品種とされるものを“交配"させて金儲け。病気になれば獣医に見せ、白人の娯楽のために奴>>続きを読む

トリコロール/青の愛(1993年製作の映画)

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過去の愛からの自由。作曲家であった夫と幼い娘を交通事故で喪い、母は年老いて娘のことを認識できない。彼女のそばにあった愛はすべて失われ、知り合いのいないパリで一人暮らし。いつも行く青いプールと、いつもの>>続きを読む

市民ケーン(1941年製作の映画)

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バラのつぼみとは何だったのか。結局は当時の本物のメディア王を大ばかにするために作った仕掛けなのだけど。「こんなに愛しているのに、どうして愛してくれないんだ?」だと?愛を知らない傍若無人男。こんなものを>>続きを読む

昼顔(1967年製作の映画)

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パリの娼館を訪れる変なおじさんコレクション。昼だけ働く娼館での男たちとのやり取りによって完成される夫婦生活。精神世界や夢の中の映像をぷつぷつと混ぜながら、フロイト的解釈で性的欲求をかみ砕いていく、とで>>続きを読む

ラブゴーゴー(1997年製作の映画)

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君がいなくなったから、君がいつでもそばにいてくれた。好きだ、愛してるだなどと言わずに相手に押し付けずにこれまでの思いを伝えるだなんて、なんていい人なのだろうか。あのお手紙で涙が出そうになったので、お手>>続きを読む

新宿泥棒日記(1969年製作の映画)

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ここはアリババ、謎の街。今も変わらない新宿の紀伊国屋書店。白黒から急にカラーになる瞬間の赤いドレスにきゅんとなる。明け方の新宿を、ガーターベルトを2人で持ちながら歩く男女に、書店のフロアに本を無造作に>>続きを読む

ホワイト・クロウ 伝説のダンサー(2018年製作の映画)

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希代の天才バレエダンサー、ルドルフヌレエフの半生。かつてのソビエト連邦からの亡命劇ははらはらしたけど、彼の踊りへの渇望がいまひとつ伝わらなかった。家族や故郷を見殺しにしても自由になりたい、踊り続けたい>>続きを読む

ヤンヤン 夏の想い出(2000年製作の映画)

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人は物事の前側しか見えないから、真実の半分しか見ることができないというお父さんの話を聞いて、自分では見られないからと大勢の後ろ姿の写真を撮る息子。人生にはおもしろくないことがたくさん起きて、決してドラ>>続きを読む

審判(1963年製作の映画)

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これは悪夢なのである。ある朝目覚めると部屋に見知らぬ侵入者がいて、自分を逮捕するという。罪状を聞いても教えてくれない。とりあえず働きに行け、などと言われ、ばかみたいにだだっ広いオフィスにたどり着く。裁>>続きを読む

(1954年製作の映画)

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作中でもアザミのような女だと言われるジェルソミーナだけど、だんだんとその表情や仕草が愛おしく見えてくる。ぶどう酒をごくごく飲み干しちゃったりね。貧しいから、自分を必要としてくれる人がいないから、粗暴な>>続きを読む

愛の嵐(1973年製作の映画)

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「正常とか異常とか誰が決める?」収容所の将校と被支配者の愛だなんて、まったく理解できないけれど。理論では説明できない何かで結ばれてしまった究極的に歪んだ愛。いや、そもそも愛なのかどうか。わたしにはよく>>続きを読む

淑女は何を忘れたか(1937年製作の映画)

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桑野通子嬢演じるせっちゃんが大好き。嫁入り前に外でお酒を飲むだなんて、と目くじらをたてられる時代に、べろべろになるまでお酒を飲み(お金は叔父さん持ち)、すぱすぱと煙草を吸っては叔母から逃げまわり。岡田>>続きを読む

荒野にて(2017年製作の映画)

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肉親を喪い、心の拠り所であった競走馬さえも失いかけた少年が、馬を連れて広いアメリカの地をひた歩き。やさしい家庭に出会ってもどこか居心地悪く、犯罪まがいのこともいくつかしながら、ぼろぼろになっていくさま>>続きを読む

黒猫・白猫(1998年製作の映画)

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奇妙奇天烈のごった煮。金歯がきらきら。汚いドナウ川で2人でひとつのタイヤに収まって苺とバニラのミックスアイスを食べる。ひまわり畑でつかまえて。黒猫と白猫。ストーリーを追うのなんて途中でやめちゃって、バ>>続きを読む

熱帯魚(1995年製作の映画)

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海の底に豊かな夢を描ける少年が誘拐されたひと夏の記録。家中の浸水と、小瓶に入った熱帯魚。とぼけた奴しか出てこない。みんな彼の安否じゃなくって試験を受けられるかどうかの心配をしちゃうというお笑いは、受験>>続きを読む

(1997年製作の映画)

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雨漏りとバイクとエレベーターと。ツァイミンリャン監督の大好きであろうエッセンスと共に、わたしが思いつく限りで最も地獄的な肉体への接触体験が出現します。蒼白い死体役に仕立て上げられたシャオカンは、生きて>>続きを読む

草の上の昼食(1959年製作の映画)

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人工授精推進派の科学者というモチーフだけでも情報量過多なのに、羊飼いの男が笛を吹くだけで大風吹いて、その場にいる人がみんな欲情してしまう、だなんていうトンチキストーリーにルノワールの美しい自然の映像が>>続きを読む

ひなぎく(1966年製作の映画)

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踏みにじられたサラダだけを可哀想と思わない人々に捧げる。この映画に「女の子映画の決定版」だなどと烙印を押しちゃったのは完全に思考停止している。政治体制への強烈なアンチテーゼを、2人の女の子のコケティッ>>続きを読む

ダゲール街の人々(1976年製作の映画)

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パリの一角の、アニエスヴァルダが当時住んでたというだけの、なんてことない街での人々の暮らし。愛情深いようでいて淡白な関係性の人たち。パン屋がパン生地をこね、肉屋がてきぱきと肉を切り分ける。そんな手捌き>>続きを読む

愛情萬歳(1994年製作の映画)

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なにが愛情萬歳だ。愛情なんてものは存在しない都会の、誰のものでもないマンションの一室に一方通行の感情が張り巡らされている。越えてはいけない垣根を飛び越えて。小康は青年に好意を持ち、女は好きでもない男と>>続きを読む

青春神話(1992年製作の映画)

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排水口から下水が逆流して水浸しになる古い団地。必ず4階で止まるエレベーター。空っぽのラブホテル。ごみごみして湿気た台北の街(序盤のゲームセンターの外観なんていつか見た台北の街のイメージそのもの)を、ノ>>続きを読む

千と千尋の神隠し(2001年製作の映画)

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公開当時わたしは千尋と同い年で、劇場にも観に行った。あのときは、両親が豚になり、だんだん夜が来て自分も消えてしまう、という描写がとてつもなく怖くてたまらなかった。今見るとトンネルの向こうのあの世界も、>>続きを読む

ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー(2017年製作の映画)

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怒りを昇華させて物を書き、恐れにより書くことが出来なくなる。そして恐れから抜け出すためにまた物を書く。書いた物によって掻き乱される人生。自分にはこれしかない!と思える、最上の意味ある作業から解き放たれ>>続きを読む

恋の手ほどき(1958年製作の映画)

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ジジを演じるレスリーキャロンが、巴里のアメリカ人の時よりもずっとかわいい。作中で照れたガストンが「チェックのドレスの方がかわいい」だなんて言うけれど、あれを着た天真爛漫なジジがずっとずっとかわいい。こ>>続きを読む

去年マリエンバートで(1961年製作の映画)

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冒頭のぼそぼそと聞こえる語りが同じ言葉を繰り返す。装飾過多な豪奢な館に生気のないブルジョワジーたち。何回やっても絶対に勝てないゲーム。嘘か真実か、過去か現在か、そのすべてが引っ掻き回され真相は映像の外>>続きを読む

パリのランデブー(1994年製作の映画)

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パリを練り歩く浮気なおしゃべり男女の3つの物語。2話め「パリのベンチ」の彼女が待ち合わせのたびに駆け寄ってハグするのがかわいいのだけど、2人の男は相互互換的な役割であって、一方が要らなくなれば他方も不>>続きを読む

修道女(1966年製作の映画)

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望んでもいないのに修道院に追いやられ、一つめの院では苛酷な虐待に遭い、のちに移った院では同性愛の渦に押し込められる。神などいない、とでも言いたげな無神論的な批判を込めて嘲笑っているかのよう。段々とシュ>>続きを読む

アンナ・カリーナ 君はおぼえているかい(2017年製作の映画)

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その強烈にかわいらしい見た目に加え、こんなにも思想があり努力があり、世の中に受け入れられていても、更なる進化を続ける姿勢に感服した。ゴダール映画に出ている最高にかわいい(当時の恋人が撮っているんだから>>続きを読む

木と市長と文化会館/または七つの偶然(1992年製作の映画)

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お得意の愛だの恋だのは封印しても、都会か郊外かというテーマは健在。そして相変わらずの会話の洪水。自分の政治的立場のためだけに田舎に文化施設を作るだなんて、今日のわが国でも起こりうる悪しき行政。立場の異>>続きを読む

ロッキー・ホラー・ショー(1975年製作の映画)

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イカれてるなぁ。初めの唇だけのショットからしてキレキレ。男も女もコルセットにガーターベルトに網タイツで踊り狂う。タイムワープのダンスを延々とやっていたい。左にジャンプ、右にステップ、腰に手を当て、膝を>>続きを読む

パロアルト・ストーリー(2013年製作の映画)

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青春ってたしかにこんな地獄だったな、という感じ。序盤のパーティーなんて誰も楽しそうじゃなく。不健康なお酒の飲み方をして、親からの期待には応えられず、友人のお父さんから迫られ、好きだった人には裏切られる>>続きを読む

フェイシズ(1968年製作の映画)

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酔っぱらっている時には大笑いできる冗談を素面のままずっと聞かされている感覚。ギャーギャー乱痴気騒ぎをしているときの顔が大概死んでいるので、やはり誰でも本心をさらけ出せるほど心に余裕がないというのは本当>>続きを読む

レネットとミラベル/四つの冒険(1986年製作の映画)

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自然豊かな田舎で絵を描きながら暮らす頑固なレネットと、パリで暮らしソルボンヌに通う現代的思考のミラベルの愛すべき物語たち。夜が終わり朝になるまでのわずかな時間、自然の中に沈黙が訪れることを「青の時間」>>続きを読む

エリザとエリック(1987年製作の映画)

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中世の邸宅みたいな現実味のないアパートメントにそっくりな姉と弟。不健全なまでに距離感が近く、油断したら姉弟でとんでもない関係をもってしまいそう。多分直接的な描写がないだけでたぶんもう何かやってる。その>>続きを読む

愛・アマチュア(1994年製作の映画)

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イザベル・ユペールは、なぜこんなにも知的で美しい外見をもってして不健全で変態なさまが似合ってしまうのだろうか。ボンデージに電動ドリルを持たすあたりハル・ハートリーこそが変態であるのだけど。ただイザベル>>続きを読む