Kuutaさんの映画レビュー・感想・評価 - 19ページ目

グエムル -漢江の怪物-(2006年製作の映画)

3.6

ポンジュノ作品を連続視聴中。
ハイクオリティな怪獣映画+家族のドタバタコメディ+政治風刺が入り乱れた挙句、最後に何とも言えない余韻を残して終わる。

シンゴジラ的な緊迫感の中で気合を入れてみる映画とい
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母なる証明(2009年製作の映画)

3.8

開始数分で「白か黒か判別できない息子トジュン」「息子を守ろうと血を付けてしまう母親」といった伏線をサラリと張ってくる美しい脚本。トジュンが放尿する最中、母は何やら飲み物を飲ませる。母の愛はそのまますり>>続きを読む

機動戦士ガンダム 逆襲のシャア(1988年製作の映画)

4.1

だらだらと書いております。噛めば噛むほど味が出る名作。

宇宙に進出することで人間の脳が進化するというストレートなSFテーマ。物理的な距離が大きくなる時代だからこそ、人は心の距離を縮める手段を得るとい
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サウンド・オブ・ミュージック(1964年製作の映画)

4.6

アルプスの空撮から始まる超有名なオープニング。知ってはいたけれど…劇場で見ると本当にえげつなかった。小さな音が1つ1つ連なって自然と一体化し、美しい音楽が生まれていく感動。全体振り返ってみても、このシ>>続きを読む

スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望(1977年製作の映画)

4.4

今回思ったのは、揺れる船内のR2とC3POで映画が始まる事の大切さ。人が主役じゃないというか、あくまで歴史の一ページを途中から見ている感覚を生んでいる。序盤は話を無理に進めず、ジャンク屋の描写など、こ>>続きを読む

くもりときどきミートボール(2009年製作の映画)

3.7

フィル・ロード&クリストファー・ミラー系列をもう一本。こんな頭おかしい映画久しぶりに観た。

人々の欲望が雪だるま式に肥大化し、バランスを欠いた行いが異常気象に姿を変える。市長は自分で歩けなくなり、子
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レゴ(R)ムービー2(2019年製作の映画)

3.7

出張続きで飛行機で映画ばかり観ております。前作ネタバレあり。

前作でEverything is Awesomeと、世界と対峙する個人の可能性を全肯定した直後の話。個を確立した次は、他者とのコミュニケ
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ドクター・スリープ(2019年製作の映画)

3.4

名作の続編というだけでハードルは高くなる。作り手の苦労が伝わってくる、大変よく練られた作品ではあるが、残念ながらあまりのめり込めなかった。

前作ファン、原作ファンへの気遣いは相当な物だ。
①正当性の
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ある精肉店のはなし(2013年製作の映画)

4.2

私がドキュメンタリーに期待する要素は二つある。一つは、普通の人がなかなかたどり着けない光景を映し、世界を広げること。映像そのものが持つ力、ファクトを伝えるという意味で、報道的な側面が強い。

もう一つ
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アイリッシュマン(2019年製作の映画)

4.1

昔ながらのマフィア映画に老人の終活&贖罪パートがくっ付いた209分。そのうちNetflixでも見返します。

マフィアシーンを「過去はキャストから察しろ」と切ったらグラン・トリノとほぼ同じ企画になるけ
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一人っ子の国(2019年製作の映画)

3.8

「一人っ子政策」を追った話題のドキュメンタリー。単語の意味は誰もが知っているけれど、知識をより立体的に組み上げ、確実に沼にはまり込んで行く感覚を味わえる良作。

国主導の強制不妊政策であり、子供を捨て
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CLIMAX クライマックス(2018年製作の映画)

3.8

先日観た矢口監督のダンスウィズミーが物足りず今作を選んだが明らかな劇薬だった…笑

最も統率の取れた「クライマックス」からひたすらに堕ちていく。ダンスシーンは最初のはもちろん、俯瞰から撮った二つ目も鮮
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ダンスウィズミー(2019年製作の映画)

3.4

帰りの飛行機でもう一本。スクリーンで楽しむべきなのは承知の上で…。

まず何よりも三吉彩花。長い手足を生かしたダンスの、画面いっぱいにバッと伸びる感じ。物事が上手くいかない時のしかめっ面も可愛い。
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バーナデット ママは行方不明(2019年製作の映画)

3.7

帰りの飛行機にて。リチャード・リンクレーターの新作。流石の安定感。良作だった。

偏屈な女性建築家バーナデットと、強い絆で結ばれた娘、マイクロソフト勤務の真面目な夫によるホームコメディ。同名の小説の映
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イエスタデイ(2019年製作の映画)

3.4

飛行機で見たのでざっくり感想。ポンジュノのパラサイトが新作に入っていて迷ったが、あれはちゃんと劇場で観ようとぐっと堪えた。

自分らしい生活と引き換えに音楽が評価を受ける。私生活と音楽のギャップは加速
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ゴジラ×メガギラス G消滅作戦(2000年製作の映画)

2.2

ミレニアムシリーズ第2作。
映画として詰めるべき所を詰めていないのに、ゴジラオタクとしてやりたい事は入れる監督の志の持ち方に疑問。この時代にゴジラというブランドを引き継ぐ意味を考えないまま、ファン目線
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主戦場(2018年製作の映画)

3.4

映画祭での上映中止を知って観に行かねばと思った。ハロウィーンの渋谷の街を抜けて劇場へ。アラジン系のコスプレが多くて、実写版って興収良かったんだなと実感する。

「被害者数」や「謝罪」など、議論を呼びそ
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真実(2019年製作の映画)

3.8

是枝流オズの魔法使い

社会派テイストは薄く、ある意味万国共通の家族の小競り合いを小気味よく描いている。過去の作品で言うと「歩いても歩いても」「海よりもまだ深く」が近いか。

だが、虚実が入り混じる入
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ジョーカー(2019年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

IMAX版と通常版で一回ずつ鑑賞。期待に違わぬ良い映画だった。長いので見出しをつけました。

▽ニューシネマ復活
撮影の質感からも70年代ニューシネマへの愛が強く感じられる。ニューシネマだったら救急車
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時計じかけのオレンジ(1971年製作の映画)

4.7

午前10時の映画祭で見たので再投稿。ベタながら、私のオールタイムベストの一本であります。ジョン・ウィック→時計じかけのオレンジ→ジョーカーという暴力映画3連発の週末。

近未来風のビジュアルではあるが
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ジョン・ウィック:パラベラム(2019年製作の映画)

3.4

ハードなガンアクションに挟み込まれる小気味好いユーモア。殺し屋だらけのバカっぽい世界観。犬を軸としたシンプルな動機付け。分かりやすさとちょっとした捻りのバランス感が、このシリーズの魅力だと思う。

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パーフェクトブルー(1998年製作の映画)

4.0

千年女優で「虚構って素晴らしい、女優って素晴らしい」と大感動した直後、心をナイフでグサグサ刺されるように現実に突き落とされた。見る順番が逆だったらまた違う印象を抱いただろう。「日本のサイコスリラーはつ>>続きを読む

アス(2019年製作の映画)

3.6

社会が直視しないで来た潜在的恐怖や歪みがモンスターとして具現化し、強烈なしっぺ返しとなって襲い掛かる。ゴジラに近い形式なのではないかと観ながら考えていた。

一定の犠牲の元に繁栄を享受してきた我々から
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千年女優(2001年製作の映画)

4.4

キネカ大森で「パーフェクトブルー」と二本立て。大変な傑作でありました。

現実と虚構の一体化という今敏監督の得意分野の素晴らしさは言うまでもないが、今作は話の構成にも唸らされた。

第1幕で千代子は幻
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ブルークラッシュ(2002年製作の映画)

3.2

競技サーフィンを題材にした珍しい作品。
サーフィンはYouTubeとかにも綺麗でカッコいい実際の映像が山ほどあるので、映画にする意味がどこまであるのか疑問だったが、この映画のポイントは波の「轟音」。タ
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アド・アストラ(2019年製作の映画)

3.8

画面越しに会話するリヴタイラーにエアロスミスが脳内再生され、私のバカ映画センサーが微かに反応した予告映像。タイムラインに並ぶ困惑、低評価、絶賛。珍味への期待を胸に劇場へ足を運んだ。

その結論は…面白
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ブレードランナー ファイナル・カット(2007年製作の映画)

3.9

今年はブレードランナーの舞台となった年。未来都市が魅力の映画なのに、至って普通のエレベーターが閉まってバシッと終わるこのバージョンがやっぱりカッコいい。タイレル社のビルの作り込みの細かさ、何となく見逃>>続きを読む

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(2019年製作の映画)

4.3

今年暫定ベスト。タランティーノの中ではデスプルーフに次いで2番目に好き。IMAX版と通常版を1回ずつ鑑賞。

「リアルじゃない」とヒッピーにバカにされる架空の役者リック・ダルトン(レオナルド・ディカプ
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東京裁判(1983年製作の映画)

3.9

小林正樹渾身のドキュメンタリーが4Kリマスター版で復活。休憩挟みつつ277分。

一応被告それぞれに起訴状があって、罪状認否から冒陳、証拠調べ、被告人質問と、今と変わらない裁判の順序で進められたことに
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よこがお(2019年製作の映画)

4.0

テアトル新宿に深田監督ご本人がいてびっくりでした。

全くいわれもない誹謗中傷ではなくて、事実関係そのものは合っている。「これって本当ですか?」。ただ、その発言に至るまでのニュアンスは伝わらない。世間
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淵に立つ(2016年製作の映画)

4.0

浅野忠信の怪演もさる事ながら、後半の山上(太賀)の正体が分かってから、夫婦が全てを知るまでのヒリヒリ感が最高。「罰を受けて夫婦になった」のシーンとか、山上をビンタする所とか、あまりの状況の最悪さ、心理>>続きを読む

キル・ビル Vol.1(2003年製作の映画)

3.6

タランティーノがいつか見た幸せな映画。モノクロ映像に安い効果音、血飛沫と人体欠損描写。「リアルな日本」ではなく「タランティーノが映画の中で知っている日本」の再現。会話の面白さは流石で、冒頭から全く退屈>>続きを読む

ホドロフスキーのDUNE(2013年製作の映画)

3.8

大いに笑った。良いドキュメンタリー。

超精鋭スタッフとキャストを集めながら製作中止となった幻の「DUNE」について、ホドロフスキーや関係者のインタビューをまとめている。

プレゼン資料として当時複数
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(1954年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

ジェルソミーナは天気を予期出来るなど特別な力を持ち、火と水を愛する孤独なマイノリティである。天上にいる綱渡りのイルマットは、彼女の理想だったのかもしれない。車内の彼と一瞬目があった時の、共感しあうよう>>続きを読む

近松物語(1954年製作の映画)

4.0

溝口作品。人妻おさん(香川京子)と奉公人茂兵衛(長谷川一夫)が、偶然や誤解の重なりから秘めた思いを曝け出して逃避行に走ることに。封建社会に対抗する自由恋愛、というシンプルなお話。大経師という職業を初め>>続きを読む

存在のない子供たち(2018年製作の映画)

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普段は自分の理解力の範囲で思うままに得点もレビューも付けているが、今作はあまり下手なことを書いて観に行く人を減らしたくない気持ちになった。

理由は三つあって、映画にかかっている作り手の労力がとても大
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