Kuutaさんの映画レビュー・感想・評価 - 22ページ目

県警対組織暴力(1975年製作の映画)

4.1

終盤の久能(菅原文太)の苦悶の表情からも、広谷(松方弘樹)との恋愛映画なんだなあと思う。立場は違えどリスペクトをしてるんだけど、梅宮辰夫演じるエリート警察官海田の横槍が入ってどんどん噛み合わなくなって>>続きを読む

息もできない(2008年製作の映画)

4.2

ヤン・イクチュンはこの映画を「自分の30年分の日記」と語っており、色んな感情が絡み合ったこの雰囲気を言葉にする事の難しさ…とにかく強烈な作品なので色んな人に見て欲しい。

お話自体は粗暴な借金取りサン
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悪魔のいけにえ(1974年製作の映画)

4.6

古典的名作。ファーストコンタクトまでの不気味な雰囲気作り(第1幕)、最初の殺人からのホラー的な疾走感(第2幕)、過剰な恐怖がコメディっぽさに変質しつつ、祝祭感すら感じられるラスト(第3幕)。全編にわた>>続きを読む

かぐや姫の物語(2013年製作の映画)

4.6

このレビューはネタバレを含みます

生きる喜びと悲しみ、そして平等に訪れる死を描いたシビアで美しい傑作。

アニメーションは無機物に命を吹き込む行為。虚無的な世界にも生きる価値があると訴える今作の主題を表現するには、実写ではなくアニメ(
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FRANK ーフランクー(2014年製作の映画)

3.5

「ルーム」のレニー・アブラハムソン監督作品。凡人が変人の集まるバンドに入って調和をぶち壊しにしてしまう話。どこまでも凡人な青年ジョン(ドーナル・グリーソン)が彼なりにバンドの役に立とうとするが…。>>続きを読む

オリエント急行殺人事件(1974年製作の映画)

3.4

あまりに有名な原作とオチ。ある意味多くの人がオチを予め知っているからこその豪華キャスティングと言えるし、映像化に当たって、陪審員制度を描いた傑作「12人の怒れる男」がデビュー作であるシドニールメットを>>続きを読む

ゴジラVSキングギドラ(1991年製作の映画)

3.1

小学生の頃からVHSを擦り切れるほど見ていた1991年公開の18作目。恐竜、怪獣、UFO、戦争、人造人間、タイムパラドックス等々、子供がワクワクする要素満載だが、改めて見返すと詰め込みすぎで脚本が破綻>>続きを読む

ディア・ハンター(1978年製作の映画)

3.8

ロシア系の移民がアメリカ人として共産圏と戦争し、ロシアンルーレットに苦しめられる皮肉。ラストのゴッドブレスアメリカの皮肉。

魑魅魍魎のうごめく夜のサイゴンや、美しい山の自然と神々しい鹿、教会、アメリ
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KUBO/クボ 二本の弦の秘密(2016年製作の映画)

4.1

今年の映画鑑賞は今作で終わろうと決めていました。

この映画は全て「両親を失った折り紙好きの少年が、自分の心を救うために考えた妄想」なのかもしれない。人には寿命があり、記憶にも限界がある。そんな不完全
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ブルーベルベット(1986年製作の映画)

3.5

古典的なストーリー。意外とストレートな比喩が多い。ファーストカットの青空→赤い花と白い柵→消防車が鮮烈。左耳に入り、右耳から出る。昼間と夜、弱肉強食の世界。暗闇から現われるサンディ(ローラ・ダーン)の>>続きを読む

ブリグズビー・ベア(2017年製作の映画)

4.2

今年流行りの?セルフセラピーもの。辛い現実を前にしても頭の中のイマジネーションは壊せない。親から与えられた人生を投影してきた「ブリグズビーベア」に自ら終止符を打つ。特殊な設定を用意しながら展開は実に王>>続きを読む

ロッキー4/炎の友情(1985年製作の映画)

3.3

MTV全盛期らしくジェームズブラウンの派手なライブや、音楽に合わせたトレーニングシーンが挿入される。この時代の「近未来感」(TDLのスペースマウンテンみたいな感じ)が懐かしい。マンネリを避けようとして>>続きを読む

不思議惑星キン・ザ・ザ(1986年製作の映画)

3.6

一度見たら絶対に忘れられないソ連製SFカルト作。オープニングの砂漠の空撮ととぼけた音楽、黄色いポップ字体の「Кин-дза-дза!」で心を鷲掴みにされ、キンザザに行ってからファーストコンタクトの「ク>>続きを読む

ハッピーエンド(2017年製作の映画)

3.8

ジョルジュ(ジャン=ルイ・トランティニャン)の全然めでたくない誕生会シーンで、家族みんなが好き勝手な行動を取るのが最高。自分も思春期に興味のない親戚の集まりに出ると、その場にいるだけでなぜかフラストレ>>続きを読む

タクシー運転⼿ 〜約束は海を越えて〜(2017年製作の映画)

3.9

歪なバランスだが、気にならないくらい勢いのある作品だった。前半のコメディタッチなテンポの良さから、光州に近づくにつれて日常が瓦解し、不穏な緊張感がどんどん高まっていく。「部外者」であるマンソプ(ソン・>>続きを読む

新幹線大爆破(1975年製作の映画)

3.4

初見。高倉健ら犯人グループの過去が次第に明らかになる構成、宇津井健や千葉真一を始めとする鉄道会社側のプロ意識溢れる奮闘、国鉄の協力を得られなかったため、特撮やゲリラ撮影を駆使した製作陣の創意工夫の数々>>続きを読む

ブロンソン(2008年製作の映画)

3.4

暴れまくる実在の囚人ブロンソンのお話。キングオブコメディや時計じかけのオレンジのような、笑える狂気を感じた。シンメトリーで引いた絵作りもキューブリック風味。個人的にドラマとしてはそこまで入り込めなかっ>>続きを読む

ぼくのエリ 200歳の少女(2008年製作の映画)

3.6

秀作。社会主義的な国家観から資本主義化する過渡期にあった1980年代のスウェーデン。いじめられっ子のオスカーと吸血鬼のエリが恋に落ちる。ファーストカット、オスカーが窓に反射しながらフワッと現れる。実体>>続きを読む

愛、アムール(2012年製作の映画)

4.0

詰め寄るような形で妻の顔を抑える夫(ジャン=ルイ・トランティニアン)と、それをじっと見つめる妻(エマニュエル・リヴァ)、両者の間には細い線が引かれている。ほぼ全編アパートのみで、BGMも入れずに老老介>>続きを読む

切腹(1962年製作の映画)

4.3

時系列を入れ替えながら真相が明らかになる。庭でのテンポの良い会話は法廷劇のよう。合間に剣劇や、日常パートも挟まった構成のバランスも良い。決闘シーンのカメラワークや、微かに響く効果音など、細かな演出も洗>>続きを読む

地獄の黙示録・特別完全版(2001年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

画竜点睛というか竜頭蛇尾というか、道中のジャングルクルーズが細切れなエピソードながらどれも素晴らしい完成度なのに対し、ラスト15分、肝心のカーツ大佐がマクガフィンでもないのに迫力不足で物足りない。カー>>続きを読む

白いリボン(2009年製作の映画)

3.7

1913年、ドイツの閉鎖的な田舎町で連続する不審な事件。犯人探しのミステリーというよりも、権力者に抑圧された感情がより力の弱い者への暴力の連鎖を生む、という物凄くどんよりとした話。

見えないのに確か
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惑星ソラリス(1972年製作の映画)

3.8

郷愁がテーマだけに序盤の地球パートは重要。ブリューゲルが描き出したような、土の湿った質感、水の流れ。水草が蠢く様が美しい。だが第1部は全体にかなり眠い…。

第2部はある程度集中して観れた。とにかく長
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黒い罠(1958年製作の映画)

3.6

映画史に残るオープニングの長回しサスペンス→メキシコギャング対チャールトン・ヘストン夫妻→オーソン・ウェルズの刑事物→真犯人探しのミステリー→マリーネ・ディートリッヒが全部持ってくラスト。筋がかなりあ>>続きを読む

ホーム・アローン(1990年製作の映画)

3.2

「家族を返して」とサンタにも教会にも頼みに行くケビン(マコーレー・カルキン)。1人で生活してちょっと大人になって、家を守ろうと決心するので、泥棒とのドタバタに至る展開には必然性がある。隣のおじいさんの>>続きを読む

ブルーバレンタイン(2010年製作の映画)

3.8

説明台詞でなく、細かな所作や設定で2人の性格や人生観の違いを表現している(冒頭だけでも食事や身支度の仕方、寝てる場所の違いから色々分かるし、犬が見つからない時点で先の展開が暗示されている…)。上昇志向>>続きを読む

遊星からの物体X(1982年製作の映画)

3.9

映画は省略のメディアである。全ての経過や心情を画面内に表示する事は出来ないし、する必要もない。鑑賞者の理解が追い付くギリギリのラインを保ちながら、不必要なシーンを軽やかに飛び越えていく。ここにこそ映画>>続きを読む

レミーのおいしいレストラン(2007年製作の映画)

4.1

ずっと見落としており、今回が初見。快作だと思ったが、日本のネットの評価はイマイチなようで…。

どぶネズミが料理する設定が生理的に無理って人には合わないのだろう。自分はレミーが可愛くてしょうがなかった
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ボルベール <帰郷>(2006年製作の映画)

3.5

娘が故郷へ帰ることと、 母親が現世に帰ることをボルベールという言葉に重ねているのだろう。風の吹きすさぶ墓場の街、風力発電機が並ぶラマンチャ。2つの死をきっかけに、母と娘の運命が交わる。匂いやお菓子の味>>続きを読む

ハスラー2(1986年製作の映画)

4.2

名作。2時間あっという間だった。
自分の分身であるビリヤードのボールは、一度打ったら運に任せて見守る事しかできない。劇中、金も運も何度も行ったり来たりする。それでも最後に打つか打たないかの選択を迫られ
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シャイニング(1980年製作の映画)

4.1

アル中だがDVを辞めるために断酒していた作家志望の男が、現実と妄想の区別がつかなくなっていく。ジャックニコルソンは冒頭から頭狂ってそうで、オーバーアクトっぷりが笑える。廊下をふらふら歩くのを見てるだけ>>続きを読む

ゴジラVSビオランテ(1989年製作の映画)

3.7

2014年のゴジラ総選挙で1位に輝いた17作目。
特技監督に川北紘一、監督・脚本に大森一樹、音楽にすぎやまこういち(スピルバーグっぽい壮大な音楽が清々しくて良かった)が抜擢されている。キャストも全体に
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ヘレディタリー/継承(2018年製作の映画)

4.0

A24らしい細部まで作り込まれた良作。わーきゃー盛り上がるデートムービーとしてはイマイチだろう。

パンフレットでハネケやベルイマンの名前が上がっているように、そうした監督の描いてきた「人間関係、家族
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イカロス(2017年製作の映画)

3.5

Netflix限定配信の、今年のアカデミー長編ドキュメンタリー部門受賞作品。

ドーピング版スーパーサイズミーの様な形で映画は始まる。自転車のアマチュア選手でもある監督が、憧れのランスアームストロング
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ボヘミアン・ラプソディ(2018年製作の映画)

3.5

うーん複雑だ。単純な伝記映画としてみたら「まあまあな佳作」の範疇にあると思うが、クイーン自体の魅力故に120点が出ている気がする。。

IMAXで鑑賞。お客さんぎっしりで、隣の席のおじさんは嗚咽してい
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ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ(2018年製作の映画)

3.6

ヴィルヌーヴもヨハン・ヨハンソンもロジャー・ディーキンスもいない中で頑張っている、頑張っているとは思うが…一作目との比較になってしまうのは仕方がない。

全体としては手堅くまとめていると思う。アメリカ
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