Otoさんの映画レビュー・感想・評価 - 6ページ目

あのこは貴族(2021年製作の映画)

4.0

逸子が「東京の棲み分け」について口にしたときに、「映画の序盤では必ず、誰かが作品のテーマをぽろっと口にする(主人公はその時点では意味をはっきり理解できない)」というブレイク・スナイダーの言葉を思い出し>>続きを読む

あの頃。(2021年製作の映画)

3.5

好きを共有できる幸せ、という点では、今Filmarksを書いてるのも彼らの活動と近いのかもしれない。
大勢で好きなものを共有して騒いだりといういわゆる”オタ活”の経験がないからか共感しきれない部分もあ
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すばらしき世界(2021年製作の映画)

4.3

泣いた...。「この映画を観るときのような感度で日常を生きられないものか」と思った。

自分の立場は津乃田に最も近いけど、
「いまの自分は社会に対して他人事すぎるんじゃないか」
「(上司の長澤まさみに
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はちどり(2018年製作の映画)

4.0

どうして自分は、学歴社会の青春をそこそこ楽しく過ごせたんだろう、家庭が、性別が、教師が、兄弟が、友人が、国籍が、時代が違っていたらどうなっていたのか。自分にとってのスケッチブックは何だったのか、塾講師>>続きを読む

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)

4.1

【どうしてぼくたちはこの映画を観て、「自分の物語だ」と思ってしまうのだろう】

今の時代に「脚本家の名前で客が呼べる映画」ってあるんだなぁ...すごいなぁ...と思いながら、テアトル新宿に入った。
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奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール(2017年製作の映画)

4.0

民生さんが出演するライブの企画演出を最近手伝わせてもらったときに、コーロキが憧れている通りのかっこいいおじさんで、自分も「奥田民生になりたいボーイ」になってしまったので観た。

映画にも「ジーパンにラ
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千と千尋の神隠し(2001年製作の映画)

4.1

小学生だった当時、劇場で今は亡き祖父母と観たぶりの観賞。数年前に九份に行った時は日本人だらけだし大雨だしこんなもんかぁという感じだったし、最近は鬼滅に抜かれたのがニュースになっていたけど、色褪せずめち>>続きを読む

こっぴどい猫(2012年製作の映画)

3.3

共感できたし中盤の緊張感とか楽しんでいたんだけど、終盤でフィクションレベルが急に上がって置いていかれた。

序盤のスローな展開。
今泉さんらしいナチュラルな芝居という印象はあまり受けず、FIXの長回し
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ザ・ブラック・ホール(原題)(2008年製作の映画)

3.8

好き〜。恐怖とも思えがちな現象を「魔法のランプ」として利用して破滅するというフォーマット。

これも映像ならではのトリック。ザックキングの走りとも言える。非言語コンテンツなのも評価ポイント。

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Shadowed(原題)(2020年製作の映画)

3.5

実態がないのに影があるというシンプルなアイデア、プロジェクターとか使って撮ってるのか、別カットの合成か。
最後USっぽくてちょっと面白い。ホラー監督が、ホラーとコメディは紙一重と言っていたのを思い出し
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Pictured(原題)(2014年製作の映画)

3.5

写真から目を逸らすと動き出す、だるまさんが転んだ。これもワンアイデアで、自宅で奥さんと完結する映画なのが、素晴らしい。不在を感じさせるのはモノの動きと音だな…。

オチの反転も綺麗、The Black
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Closet Space(原題)(2016年製作の映画)

3.7

開けると倍になる、という単純なアイデアからのオチ。時間を省略できる映像特性を生かした表現。

Cam Closer(原題)(2013年製作の映画)

3.6

カメラにだけ映るもの、カメラには映らないもの。映像ならではのトリックがあって面白い。

Lights Out(原題)(2013年製作の映画)

3.5

POPEYEを読んで知った監督だけど、YouTubeでの短編をきっかけに出世したロールモデルだ。

電気を消すと現れるというシンプルな設定、『透明人間』のようにリアクションで不在を表現するのが上手い。
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流れる(1956年製作の映画)

4.0

芸者の置屋(タレントが住み込む派遣事務所)に新しく勤め始めた女中の視点で、零落していく芸者の世界を描いた物語。知り合いの監督のオールタイムベストと聞いてずっとみたかったやつ。

さすがの成瀬で、女性が
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恋する惑星(1994年製作の映画)

3.6

自主映画界隈で人気が高い映画なだけあって衝動的な映画。
奇行にも寛容な優しい世界の物語で、麻薬の密売人が失恋と勘違いされて口説かれたり、失恋で傷心の男の家に忍び込んで自分色に染めてしまったり、電気代払
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痴人の愛(1967年製作の映画)

3.5

(2021 1本目)
うまく抄訳されているけれど原作にある魅力的な余白が消えたなぁという印象。ナオミが馬鹿でどうしようもない悪女にしか見えなくて全く推せないし、じょうじも見るからに尻に敷かれそうなおじ
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音楽(2019年製作の映画)

3.6

変化のない表情や不自然なまでにたっぷりな間が『銀河鉄道の夜』を想起させる。
演奏の気持ちよさがカメラワークで表現されているのはアニメMVのようだけど、フロイドやツェッペリンやクリムゾンのオマージュもあ
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透明人間(2019年製作の映画)

4.2

宇多丸さんの年間ベストだと聞いて観賞。
自分も完璧な映画だと思った…!完璧すぎて隙がない映画なのが少し物足りなく感じたりもしたけど、これはめちゃめちゃ面白い。

OPから、身体を覆う腕・監視カメラ・薬
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僕はイエス様が嫌い(2019年製作の映画)

4.1

とても面白かった...!
先輩が監督している&友人がプロデューサーをやっているというのに今まで観てこなくて後悔した。。

やはりCMやMVという幅広い映像の視点を持った「映像作家」の作品だなぁと、長久
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タイトル、拒絶(2019年製作の映画)

3.5

胸がざわざわしたりイライラしたりする映画ってなかなか出会えないので、苦手だな~と思いつつも観てよかったなと思った。

『夜、逃げる』と同様、映画という媒体に表現を合わせるということを意図的に拒んでいる
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夜、逃げる(2016年製作の映画)

3.7

勢いで撮られた自主映画、あるいはむしろ演劇の映像化、のような印象を受ける一方で、その中のところどころに、緻密に設計された映画には作れない、刹那を切り取った輝きを感じる。

夢以外に何の希望もない若者の
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パプリカ(2006年製作の映画)

4.3

脳天を撃ち抜かれる映画。観たいと思いつつずっと観れてなかった名作だけど今観られてよかった。

アニメと映画とMVの境界領域を攻めてるような、2020年にみても新しい表現が詰まりまくっていてクリエイター
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銀河鉄道の夜(1985年製作の映画)

3.9

原作読了後に観たから、再解釈の仕方に発見が多くて面白かった。

原作にある余白を残すことを大きな狙いとして持っているから、猫には表情も感情の動きもほとんどないし、テーマに直接関わる終盤の会話は削られて
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(500)日のサマー(2009年製作の映画)

3.6

とても共感した上でとても嫌いな映画。圧倒的同族嫌悪。「トラウマ恋愛映画」とか「21世紀のアニーホール」とか言われているけど、冒頭にもある通り恋愛映画ではなくホラーミステリー映画として観ていた。

MV
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ミッドナイトスワン(2020年製作の映画)

4.1

「自分がボロボロになってでも守りたい誰かがいる人」と「自分に献身することでダメになる相手に対して申し訳なく感じる人」という葛藤の構造自体は描かれることが多い(『劇場』も同じだった)けど、この特殊な関係>>続きを読む

82年生まれ、キム・ジヨン(2019年製作の映画)

4.3

観終わって行動が変わる映画ってたくさんあって、サバンナの高橋さんは『ゼログラビティ』を観てから宇宙ロケNGにしたって言ってたし、友達は『湯を沸かすほどの熱い愛』を観てから健康診断に通うようになったけど>>続きを読む

TENET テネット(2020年製作の映画)

3.5

意味のある感想を書ける気がしなくて観てから一ヶ月以上経ってしまった。。

「運動会」とか言われているけど、人物が単調なのに出来事をここまで複雑にできるの才能だなぁと思う。脚本を習っていたときに「わかっ
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きっと、うまくいく(2009年製作の映画)

4.0

5年くらい前、当時ほぼ映画を知らない時期に観てすごく感銘を受けて、自分の学業に対する姿勢も強く影響された映画。
今みてもやはり観客の人生への影響力が大きい映画だなぁと思った一方で、かなり印象が変わった
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ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ(2019年製作の映画)

3.7

(Filmarks試写会)
さすがA24の映画で映像も音楽もずっと美しい。たまに合成かと疑うくらいに背景が素晴らしいし、ズームイン&アウトの多さが印象的だったけど、画角を変えてロケーションを見せるだけ
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劇場(2020年製作の映画)

4.0

面白かった...。普段クリエイターを気取って生きているのに完全に沙希の視点で観ていた。

どんなにひどいことされても、永田のことが大好きだから迎えにきてくれたら後ろに乗ってしまうし、変わらない永田の才
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スリ(掏摸)(1959年製作の映画)

3.3

シネフィルからよく名前を聞くブレッソンを初めてみた。
出演者をモデルと呼んだり作品を活動写真と呼んだり、芝居がかった演技を極端に嫌った監督で、今作も主演が素人。

確かに挙動不審な佇まいとかキャラと合
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CRYING BITCH(2017年製作の映画)

3.5

『鉄男』×『でんぢゃらすじーさん』。
キャストが皆素晴らしい、ミネオさんやモトーラさんの寄りは力があるし、佐伯さんまじ怖くて凄い。御子ちゃんはスイッチが入ったときの顔と、包丁を抜くときの非生物的な表情
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ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー(2019年製作の映画)

3.6

目当ての映画が満席で観た。単純にキャパが半分になっているからこういうことが増えたけど、劇場側も客側も困ってるしなんとかならないかな。。これから作られる映画館はあらかじめ席を離して設計されたりするんだろ>>続きを読む

アルプススタンドのはしの方(2020年製作の映画)

3.9

応援って辛いけど尊い。ある意味では「当事者になれなかった自分」を認めることなので、自分も少し前まであすはみたいに、”応援団とかマネージャーって何のためにやってるんだろう…自分のために頑張ればいいのに…>>続きを読む

おばけ(2019年製作の映画)

3.7

「金属バットが漫才風のナレーションで、途方もない映画作りを独りで続ける男に、ツッコミを入れ続ける」やばい映画。

創作って(映画に限らず)観客の想像を絶するほど大変だし孤独だし「ここまでしてやることか
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