Otoさんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(2019年製作の映画)

4.0

染み入る感動。レディバードとは対照的に非常に複雑な構成をまとめ上げていて感服した。二時制が複雑に絡み合うのを言葉で説明することなく、連想を感じさせるトランジション、カラグレ、髪型や服装であくまで映像的>>続きを読む

SKIN 短編(2018年製作の映画)

3.8

強いテーマを立場を逆転をさせて伝える明快な短編だけど、最後には胸をえぐられる構成になっていて巧い。

モチーフの銃はまさに「チェーホフの銃」で、シーン3からすでに妻の「気をつけて」というセリフで仄めか
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欲望(1966年製作の映画)

3.9

不親切映画とか不条理映画と呼ばれるらしいけど好きだったなぁ。やりたい放題の監督に激怒したプロデューサーがイタリアに強制送還させて全シーン撮り切らずに完成になったから謎の人物とか登場しまくってるらしい。>>続きを読む

ビューティフル・マインド(2001年製作の映画)

3.9

幻覚から逃れない男の話の参考として勧められて観た結果、かなり勉強になった。
ティーン映画のような恋愛とかアメコミのようなカーチェイスとか所々変に安っぽい演出があったけど。

「いない人が見える」の主観
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カメラを止めるな!リモート大作戦!(2020年製作の映画)

3.3

動き出しのスピード見習いたい。Done is better than perfect.

玄関が逆とか指が入ってるという失敗要素をもっとカメ止め的に生かせたと思ったのと、リモート系のオチがほとんど早く
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ピアノ・レッスン(1993年製作の映画)

4.0

エイダもベインズも大好きなんだけど観てて本当に辛くなってしまった。きっとベインズよりもスチュアートの気持ちになって観てしまったから。

スチュアートの暴力性は本当に許せないけど、好きな人の決定的に変え
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カリガリ博士(1920年製作の映画)

3.6

胡蝶の夢の原型。夢遊病とか精神病院とか100年経っても使いされてるモチーフだらけ。回想形式をとる理由がわからないと思ったらやはりミスリードがあった。

『パラサイト』のルーツを辿って出会った表現主義。
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空気人形(2009年製作の映画)

4.2

主人公が自分すぎて辛いから没入しすぎないようにして観てしまった。「自分だけ空っぽだってばれたくない」も「代えのきかない存在になりたい」も「空っぽの存在に空気を入れてあげたいのに入れられない」も自分すぎ>>続きを読む

イヴの総て(1950年製作の映画)

4.2

「映画史上最も優れたシナリオ」とか言われているらしいけど、とても面白かった。『サンセット大通り』とオスカーを争ったらしいけど重なった部分も多い。前半は「役者の映画」という印象で全員がコントをしているよ>>続きを読む

オール・ザット・ジャズ(1979年製作の映画)

3.6

思ったよりも難解...。ミュージカル版『8 1/2』と言われていて納得。編集画面とか妄想世界と台詞がリンクしていて、何を見ているのか自分もわからなくなっていく感じがあった。この複雑さこそが魅力なのかも>>続きを読む

髪結いの亭主(1990年製作の映画)

4.0

フェチ映画で好き。店で結婚式をやっていたら客が来て受け入れるシーン、お客さんが目をつぶっている間にパンツ下ろしちゃうシーン、とても好き。ロジカルに考えたら絶対に思いつかないような奇抜な欲望が溢れる。>>続きを読む

失われた週末(1945年製作の映画)

3.4

アル中の作家が主人公の企画を書いてるから勉強。観てきたワイルダー作品の中では粗さが目立ったけど学びは多くて観てよかった。。

好き 
・ファーストカットで葛藤のモチーフ(吊られた酒ビン)を見せる、ラス
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汚れた血(1986年製作の映画)

4.0

映画を作りたい人たち(特に技術部)と話しているとみんなカラックスが好きで驚くけど、その中でも『汚れた血』は特に人気が高い。たしかにこれに憧れてしまうのすごくわかる。

面白くないカットが一つもなくてビ
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サンセット大通り(1950年製作の映画)

4.3

超面白い、ビリーワイルダーほんと好き。
葛藤の天秤(愛かキャリアか、安定か挑戦か)が70年後の今と何も変わらないし、枷を適切に与えて最短時間で説明したり、本と演出が的確すぎて見習いたいことばかり。
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雨に唄えば(1952年製作の映画)

4.2

何度でも観れるな...「ミッキーマウジング」ってやつだけど、ミュージカルは音楽以上にアクションのシンクロと豪快さが大事だなぁと実感する。コメディアンの笑わせろとかモーゼとかマジで圧倒されてしまって、映>>続きを読む

あとのまつり(2009年製作の映画)

3.2

表現が先行した空想と現実の境界を描くような演出。ヌーベルバーグとかMV的な映画文法の破壊。
映画はキャストと音楽と録音だなぁと感じたし、編集も上手だなぁと思った、トランジションや音に合わせない映像など
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恋はデジャ・ブ(1993年製作の映画)

4.0

リアルな魔法とシリアスを包んだ笑いの成立のさせ方。非常に分析的に観てしまったけど楽しめたし為になった。


気づき
・魔法を設定するとなおさらリアリティが大事になる。魔法に対する主人公のリアクションに
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下女(1960年製作の映画)

3.5

『パラサイト』の元ネタとして監督が挙げていたので鑑賞。初めの台詞からパラサイトと同じ「寄生しているのは富裕層だ」というテーマに触れているし、階段とか雨とか家族構成まで共通点も確かに多い。でもこの60年>>続きを読む

裏窓(1954年製作の映画)

3.8

「裏窓の当初の狙いは純粋な映画テクニックへの挑戦だったが、いつしか裏窓から見える光景が世界のイメージそのものに膨らんだ」という記述がトリュフォーとの対談であったけど、たしかに映像表現として興味深いもの>>続きを読む

マックス、モン・アムール(1986年製作の映画)

3.7

主人公の葛藤が「妻がチンパンジーと浮気しているのではないか」ではなく「妻がチンパンジーと肉体関係を持っているのではないか」なのが肝だと思う。だから展開がどんどん進んで気持ちいいし、序盤の30分(特に開>>続きを読む

向かいの窓(2019年製作の映画)

4.0

短編の勉強として、アカデミー短編実写賞から鑑賞。
→ https://vimeo.com/376861194 (英字幕付き)

テーマは簡単に言えば「隣の芝生は青い」で、7分辺りと14分辺りの無音や音
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TDF Really Works(原題)(2011年製作の映画)

3.0

アリアスター初短編。
頭がおかしい、すでに圧倒的に人と違うことやっていてさすが、誰も真似できない。
2分間でドラマを見せたいとなると通販CMなのか〜と勉強にもなった。広告と映画の境界の可能性。

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ポエトリー アグネスの詩(うた)(2010年製作の映画)

4.0

手持ちの撮影を多用してるのなぜだろうと思ったけど、なんでもない市井の人の生活を切り取るために見えた。イチャンドンという作家は自分とは対極にいる気がして、特別な仕掛けは作らず、なんでもない人がなんでもな>>続きを読む

ラ・ジュテ(1962年製作の映画)

3.9

ほぼ全編静止画の短編。ずっと勧められていたんだけど『ウィーアリトルゾンビーズ』のメイキングで監督が引用を明言していてやっと観た。

表現の特殊性を忘れてしまうくらい没入してしまって、まずはそれが凄かっ
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The Strange Thing About the Johnsons(原題)(2011年製作の映画)

3.8

アリアスターの出世作。『ミッドサマー』より分かりやすい地獄。
大学院修了制作の短篇らしいけど、この頃から作家性が確立してる、終始新しさを感じさせる演出と映像でさすが。シーン1の父の台詞が巧い振り。
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ミッドサマー(2019年製作の映画)

3.7

咀嚼しきれなくて何を表現したいんだろう...ってずっと考えながら観ていたけど、監督自身のトラウマをエンタメとして外部化することで浄化しているみたい。序盤の「重荷になっているかも」からの「謝って欲しいわ>>続きを読む

ジャックは一体何をした?(2017年製作の映画)

2.8

わからない…リンチは何をやりたかったんだろう…。動物を生真面目に尋問するシュールさや台詞のユーモアにリンチらしさは垣間見れるし、こういう変なことやりたいという気持ちは刺激されるけど、映画として楽しめた>>続きを読む

The Girl and Her Trust(1912年製作の映画)

3.8

1912年。『女の叫び』の1年後のリメイクでプロットはほぼ同じだけど演出的にも技術的にもかなり進化していて比較すると学びが多い。悪漢が隠れる場所もローアングルも的確。外から覗いているのを同一画面に入れ>>続きを読む

女の叫び(1911年製作の映画)

3.0

1911年。1シーンを複数ショットで構成していてヨリとヒキの合体は初めて。電報の距離感のカットアウェイと、マッチカットの対比。うまく繋がっていないショットも多いけどスタジオから出た撮影もあって今の映画>>続きを読む

ドリーの冒険(1908年製作の映画)

3.0

1908年。「映画の父」グリフィスのデビュー作。フレームインやアウト、カメラが引くなど、演劇にない映画独自の語りを生んだ映画。それにしても樽の移動がめちゃ長い。男を撃退しようとする父親のアクションが良>>続きを読む

大列車強盗(1903年製作の映画)

3.0

1903年。ショットが複数あって、窓の外の合成をしたり、カメラがパンしてたり、フィルムが着色してたり、もうかなり映画。画面に出ていない裏の時間空間を意識して編集する必要性を教わる。
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メアリー女王の処刑/女王メアリの処刑/スコットランド女王、メアリーの処刑(1895年製作の映画)

3.0

1895年の映画で(キネトスコープ上映だけど映画と呼べるの?)、リュミエール兄弟が初めて映画を上映したのと同じ年。
首が取れるのを人形に置き換えていて、映画史上初のトリック撮影。編集の概念が生まれたの
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ロマンスドール(2019年製作の映画)

3.9

奇を衒った映画を想像していたらかなりオーソドックスで驚いたけど、自分の物語だと感じられるくらいのリアリティ。

序盤はきたろうさんのシチュエーションコントがバッチリはまっている。笑いの取り方はベタだけ
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1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)

4.0

試写会。登場人物の熱量と同時に製作陣の熱量が強く伝わってくる映画、良くも悪くも。「画面の外の技術やスタッフを意識させない映画が望ましい」とよく言われるけど、ここまでのクレイジーな情熱があると圧倒されて>>続きを読む

ビニール袋の夜(2018年製作の映画)

3.5

ビニール袋に襲われるというモチーフがアニメ表現の必然性を与えていると思っていたけれどむしろこの誇張を実写で観たいような気にもなる。キャラの顔や風景を含めたモノクロ表現やタッチが妙に現実的で、『海獣の子>>続きを読む

8150(2019年製作の映画)

3.7

親友と彼女のぎこちない関係性の変化と回帰が自分の生活と重なってリアル。ほぼ一室の物語だけど人の動かし方・空間の切り取り方が面白いので飽きない。キッチンの対話をはじめとして印象的な画が多くて、創作意欲を>>続きを読む