さわだにわかさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

さわだにわか

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群盗、第七章(1996年製作の映画)

3.7

寝ない映画は一本もないイオセリアーニ映画なのでもちろんこれも寝ながら見ることになったが今まで見たイオセリアーニ映画の中では一番睡眠時間が少なかった。イオセリアーニ映画のなにがそんなに眠くさせるのかとい>>続きを読む

書かれた顔(1995年製作の映画)

4.3

ベラベラとわかったように感想を書く気を失くさせる陶酔の映画。見事。

悲愁物語(1977年製作の映画)

3.6

オープニングシークエンスとかやっぱカッケェんだが原作梶原一騎だしゴルフの映画かと見ていると鈴木清順というより脚本の大和屋竺がなにか悪さをしたのか途中からあらぬ方向へ脱線して最後は若松映画調の青年の(少>>続きを読む

蝶採り(1992年製作の映画)

3.7

『田園詩』みたいに田舎の生活がセリフもなくドキュメンタリータッチでこれでもかこれでもかと淡々延々つづくのでそういうやつかぁと思っていたら終盤突然の爆発から怒涛の展開、イオセリアーニがどの程度その面白さ>>続きを読む

悪魔の街(1956年製作の映画)

3.5

ノワールな登場人物たちが札束を覗き込むのを札束の位置にカメラを置いて真下から煽りで捉える『アスファルト・ジャングル』みたいなショットがあったからあのへんが元ネタなんだろうという清順日活時代のわりと普通>>続きを読む

D坂の殺人事件(1997年製作の映画)

3.6

日本家屋の暗さが素晴らしい。ストーリーはなんてことない原作をかなり大胆に改変しつつも結局大したものにはなってないので雰囲気がすべてと言っていいほどで、薄暗い日本家屋の闇の中で、通りから柵ひとつ隔てた書>>続きを読む

帝都物語(1988年製作の映画)

4.0

面白いか面白くないかで言えばあんま面白くないのだがこういうフィルムの中にひとつの世界がある映画は曰く言い難い魅力がある。帝都物語というだけあって帝都そのものが主人公、あくまでも帝都そのものを出し物とす>>続きを読む

操られた目撃者(1946年製作の映画)

3.6

殺人現場を目撃した女がショックから硬直状態になってしまうという導入部の無茶加減は製作年を考慮しても相当なものだが、突飛なのはそこだけで女が殺人者であるこの医師のクリニックに入院させられ医師と看護婦の隠>>続きを読む

赤い夜(1974年製作の映画)

3.5

これの前に『ジュデックス』観てたんで晩年のフランジュはフランスの古典活劇を現代に蘇らせようとしていたんだなというのがわかって変なものを観た感覚はあまりなかった。ゆったらフランジュ版の『シン・ウルトラマ>>続きを読む

Chicago Calling(原題)(1951年製作の映画)

3.6

電話代未納で固定電話の撤去を宣告された男が滞納していた52ドルを娘の手術結果を知るためだけに工面しに走るという話の小ささ!これはあまりにも小さい!当時の52ドルだから現在のお金に換算したら5万ぐらいだ>>続きを読む

目玉の怪物(1967年製作の映画)

3.4

ジャケ絵にはバックベアードみたいなのが描いてあってわくわくさせるが実際に出てくるのは口をぐわーんと開けて全身に腫瘍がある人型宇宙人でこいつはアップで見るとなかなかグロテスクで迫力があるが引きの絵でのっ>>続きを読む

女はコワイです/恋する男(1962年製作の映画)

3.6

両親からのお前もさっさと結婚しろ圧を受けて多少おかしくなったアラサー童貞オタクがアイドルに激ハマりしてしまう展開の今日性に笑う

ジュデックス(1963年製作の映画)

3.6

途中ちょっと寝たら誰が誰の味方で誰と誰が死んでいて誰が何をしようとしているのかよくわからなくなってしまったがカッコつけずに本当のことを言えば最初の方で誰か(誰だろう)が車で浮浪者?を轢き殺した時点でな>>続きを読む

クレヨンしんちゃん バカうまっ!B級グルメサバイバル!!(2013年製作の映画)

3.7

B級グルメ讃歌が嘘っぽくならないのはクレヨンしんちゃんというコンテンツ自身がB級だからだよなっていう映画。ギャグも展開も作画も演出も何一つ飛び抜けたところはなくて、これを映画クレヨンしんちゃんの中でも>>続きを読む

冬の旅(1985年製作の映画)

4.3

アニエス・ヴァルダは市井の人々のポートレートに強い関心を抱き続けた映画監督で、冒頭で主人公が既に死んでおりその死に至るまでの道程を彼女と出会った人々の取るに足らない証言から浮かび上がらせていく…という>>続きを読む

サマー・ストック(1950年製作の映画)

3.9

舞台劇なものを意図しているのだとしてもカメラや演出は凡庸で面白味がなくテクニカラーの特性も生かされていない、はっきり言ってチープな映画だと思うのだが、農夫一筋のジュディ・ガーランドが突然の劇団襲来によ>>続きを読む

リッスン、ダーリン(1938年製作の映画)

3.5

有り余る行動力と果てのない思い込みにより母親を誘拐した上に自分たちでいい感じの独身男を見つけて再婚させようとするジュディ・ガーランド、フレディ・バーソミュローの年長キッズ二人に加えて一秒たりとも大人し>>続きを読む

続・東京流れ者 海は真赤な恋の色(1966年製作の映画)

3.5

無茶な続編ものだが締まらないパンの多用とやたら性急な編集のおかげでストーリーというかキャラクターの行動理由を追うのにわりと苦労させられ、偶然にも(?)なにやらアヴァンギャルド。アクションシーンの演出も>>続きを読む

“それ”がいる森(2022年製作の映画)

3.3

そもそもこれを大人向けのホラーだと思って観に行ってる人は間違っているのであって、予告の一本でも見れば子供向けのジュブナイルホラーだってことはわかるし、「それ」が何かもわかる。脳みそが子供のまま身体だけ>>続きを読む

肉弾鬼中隊(1934年製作の映画)

3.7

威勢のいい邦題からはなかなか想像できない不条理劇のような戦争映画で、放棄された砂漠の礼拝所に立ち寄った兵士たちが姿なき狙撃手によって一人また一人と命を落としていくが、今際の際の苦しみも後に残る者たちへ>>続きを読む

逃亡者(1947年製作の映画)

3.8

コントラストの強い映像も強烈だが石畳を走り抜ける数十頭もの馬の足音や警官隊が神父隠匿のかどで農民市場を襲撃するシーンの迫力がすごい。形は現代劇だが内容的には宗教寓話で、フォードは寓話性の色濃い作品の方>>続きを読む

ワイルド・スタイル(1982年製作の映画)

4.0

これはカッコイイ映画だな〜。ストリートカルチャーなんかまったく縁がないけれども黎明期のヒップホップやストリートダンスやグラフィティの熱気が封じ込められた時代の記録としてかなり最高。ラップしながらのバス>>続きを読む

拘束のドローイング9(2005年製作の映画)

3.9

阿波おどりの衆が海辺にある巨大な貯蔵庫の間を縫ってやってくる絵面がなんとも異様でやられてしまう。現代のテクノロジーと東洋の伝統芸能(なのか?)と原始に回帰していくビョークが婚姻とセックスを核として渾然>>続きを読む

クレマスター2(1999年製作の映画)

3.8

クレマスター1が前衛映画らしからぬポップな音楽で幕を開けたので正体不明の怪しいガラスのオブジェのクローズアップに不協和音が乗るオープニングにそうそうこれこれ!これが前衛映画ってもんだよな!と謎の安心感>>続きを読む

クレマスター1(1995年製作の映画)

3.5

前衛映画なのにオシャレな音楽で映画が始まってびっくりする。奇妙な家具、エロいファッション、対のモチーフ。ミュージックビデオみたいだと思ったが発表年からすれば逆でミュージックビデオがこの世界観に影響を受>>続きを読む

クレヨンしんちゃん 超時空!嵐を呼ぶオラの花嫁(2010年製作の映画)

3.5

AKIRAみたいになった未来の東京と埼玉の話なので大人になったかすかべ防衛隊が出てきて笑えるがボーちゃんと風間くん以外はあんまり物語に絡まないし大人になったかすかべ防衛隊の関係性の変化とかにも触れられ>>続きを読む

クレヨンしんちゃん ちょー嵐を呼ぶ 金矛(キンポコ)の勇者(2008年製作の映画)

4.1

この妙な起伏のなさやいちいちズレた会話は確信犯的にシュールなアートコメディを狙ってやってると思ってるのでこの時期のしんちゃん映画としては別格というか別枠。しんちゃん映画すべてひっくるめても似た映画が見>>続きを読む

カルロス(1991年製作の映画)

3.4

この頃のきうちかずひろ映画を観ているとこの人はたぶん石井隆と同じようなポジションを期待されていたんだろうなと思うところがあり、というか、そのポジションに合っていたのはむしろきうちかずひろで、石井隆は周>>続きを読む

共犯者(1999年製作の映画)

3.6

前作が『殺人遊戯』風の漫画タッチなハードボイルドならこちらは『処刑遊戯』風のシリアスなハードボイルドで、『GONIN』の影響大に違いない大沢樹生と内田裕也の目立ちすぎる殺し屋コンビはさすがに見ていてア>>続きを読む

野獣死すべし(1980年製作の映画)

3.7

ブツを積んだボートが何隻も海に出ていく冒頭場面はボートチェイスの迫力もさることながらカメラ手前に3人のギャングが乗ったボートを配置しその後景に滑り込むようにして二人乗りの別のボートが入ってくる、すると>>続きを読む

零へ(2021年製作の映画)

3.3

前衛映画ファンというわけではないので俺はこの映画を語る言葉をほとんど持たないが単純にホラー的な演出が面白かったのでよかったです。

若き日のリンカン(1939年製作の映画)

4.2

殺人の瞬間さえ劇的に映さないのっぺりと進む映画なので終盤の大逆転にびっくりしてしまった。『十二人の怒れる男』のヘンリー・フォンダ起用はそうかここからか、と実際のところは知らないが勝手に深く頷く。最後ま>>続きを読む

デッドライン〜「恐怖の極限」とは何か?あるホラー作家の衝撃の体験!(1980年製作の映画)

3.5

見ていて思い出したのはノベルゲーの名作『街』の一編、ダンカン演じる俗悪トレンディドラマのプロットライターのエピソードで、かつて純文学の賞を獲ったダンカンは自分の本業は純文学作家でありプロットライターは>>続きを読む

太陽の夢(2016年製作の映画)

3.9

『天使』は怖い映画で苦手だったのでどうかなーと思ったんですけどこちら『太陽の夢』はわりと楽しい映画で、切断と反復が『天使』なら『太陽の夢』は継続と転調、リズミカルな映画なのでゆらっと身を委ねることがで>>続きを読む

ムーンフォール(2021年製作の映画)

3.8

どうエメリッヒの新作をイジれるかにしか興味がなく画面なんかろくに見てやしない残念な方々も散見されますがこれは「トンデモ」ではなく「SF」です。ツッコミどころがどうのとはしゃぐ連中はSF映画を観たことが>>続きを読む

ジャバーウォッキー 4Kレストア版(1977年製作の映画)

4.3

言葉遊びの要素もいくらかあるとはいえジャバーウォッキーというよりもヒエロニムス・ボスの絵画世界を実写化したような、狂騒的でカオティックでマイケル・ペイリン演じる主人公の明るいキャラのおかげで笑えるけど>>続きを読む