さわだにわかさんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

さわだにわか

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カメラマンの復讐(1912年製作の映画)

4.5

昆虫が不倫を的なあらすじを読むと童話のように思えなくもないがこの昆虫がノンデフォルメのガチ昆虫だし昆虫と昆虫がやたらセックスしてブチ切れる生臭い話なのでなんらかの妄想に憑かれた人の見る世界のような天然>>続きを読む

人生案内(1931年製作の映画)

4.0

浮浪児どもの風体がものすごい。基本的に猿。ソ連は猿を文明化したのだという偏見しかないプロパガンダだが調教する大人の方にも西洋的なヒューマニズムはないのでガチ感がやばい感じだった。もうどこを見ても今の世>>続きを読む

暗い鏡(1946年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

可憐な感じの女優さんがそんなに好きではないのでオリヴィア・デ・ハヴィランドにはあんま惹かれるものがないのだがこの映画はそのイメージを逆手に取った悪ハヴィランドの悪っぷりが気持ち悪いのでたいへんよいかっ>>続きを読む

ダーリン(2019年製作の映画)

3.4

正直おもしろくはないのだが前作の『ザ・ウーマン』は文明=男性優位社会っていうフェミニズム文明批判を展開したもので、今回の『ダーリン』はそれを敷衍しつつもう少しラディカルに先に進めたような感じなので、フ>>続きを読む

悪魔の植物人間(1973年製作の映画)

3.5

低スコアがむしろ名誉になるようなしょうもない系のカルト映画、というのもまぁ確かなのだが(しょうもないので)、見世物小屋の芸人たちの描写は明らかにトッド・ブラウニングの「フリークス」のオマージュで、じゃ>>続きを読む

ブッシュウィック-武装都市-(2017年製作の映画)

4.0

散々な評価だが米議会占拠事件を経過した今なら以前は散々な映画に見えた人にもまた違った風に見えるんじゃないだろうか。戦場を疑似体験させるシミュレーション映画でもあるし、アメリカ政治の分断を描いたプロテス>>続きを読む

ザ・スリープ・カース(2017年製作の映画)

3.8

中国資本入ってるし抗日ものだしで中国本土でも公開されたんだろうと思ったら検閲に引っかかって本土では公開されなかったと映画評論家のくれい響さんが言っていた。
やっぱ本土だと現代もののスプラッターなホラー
>>続きを読む

我が家の楽園(1938年製作の映画)

4.5

冷酷銀行家が再開発計画のために地域の立ち退きを進めてたら一軒だけどうしても立ち退きに応じない頑固な家があって奇しくもその家の子女と銀行家の跡取り息子はデキていたのであったがその家に住んでいたのが人を殺>>続きを読む

ロアー(1981年製作の映画)

5.0

トム・クルーズは素晴らしいアクションスターだと思うがいくつかのスタントを除けばとくにアクション映画として撮ろうとはしていないゆるゆるムードのどうぶつコメディのはずのこの映画ではそのどうぶつがライオンと>>続きを読む

青銅の基督(1955年製作の映画)

4.3

圧巻のクライマックスはどこが圧巻かというとやたらとカメラと俳優の間に格子(または柵)を置きたがる格子なめショットの巨匠・渋谷実史上最大の格子が炸裂するところが圧巻なのであった。いやーこの竹製の格子はす>>続きを読む

ラスト・パニッシャー(2019年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

違うのよ、復讐劇としてこのヌルさはどうなの〜って声も散見されますが勝手に復讐劇にしたのは日本の配給会社であって、あえて言うならこれは復讐劇のチャンスすら失って生きる目的がわからなくなった男が自分の死に>>続きを読む

松本清張のスリラー 考える葉(1962年製作の映画)

3.8

松本清張ものの映画の中では比較的B級テイストというか、ねちっこい感じがないストレートな小品ミステリーなのだが、ショーウィンドウの向こう側から無音の街路を撮ったり、ドリー・アウトを積極的に活用して立体的>>続きを読む

さらば夏の光よ(1976年製作の映画)

3.6

秋吉久美子の魅力というものは俺にはよくわからんが郷ひろみが意外にもと言っては失礼なのかもしれないがとても味のある芝居をしていてこれが良かった。傷ついた少年の眼差しとあの声ですよあの声。かわいいな郷ひろ>>続きを読む

プリデスティネーション(2014年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

素晴らしい妄想映画だと大感動したので公開時はループ系/タイムパラドクス系の映画として見る向きも多かったがそのうち妄想系としてこの物語の真価が理解されるだろう…と待ってましたがなんだか全然そんな気配がな>>続きを読む

人間解剖島/ドクター・ブッチャー(1981年製作の映画)

3.3

観る前はジャケットに写ってるかっこいいゾンビが『墓地裏の家』のフロイトシュタイン博士みたいな感じでドクター・ブッチャーなのだろうと思っていたので実際のドクター・ブッチャーが画面に現われた瞬間のお前かよ>>続きを読む

はりぼて(2020年製作の映画)

3.7

メディアの自己批判がないから映画としてダメって思うんなら自分なりに調べて自分の頭で批判すりゃいいじゃない。だいたい客を喜ばせる自己批判なんか自己批判ではなくサービスでしかないし、ただ自分が客であるとい>>続きを読む

戦慄のスパイ網(1939年製作の映画)

4.0

これは面白いなー。ナチとの情報戦を描いたアメリカのプロパガンダ映画で、よくできたプロパガンダ映画はしばしば敵役の方が魅力的に見えてしまうように、諜報と宣伝を一体化した情報戦略を採用する宣伝省のヤバさ怖>>続きを読む

今日もまたかくてありなん(1959年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

倦怠主婦がつまらない日常から追い立てられて向かった故郷の軽井沢には何をしているのかわからないがとりあえずやばそうなヨソ者の悪党どもと南方帰りの死に憑かれた戒名書きが子供をおぶってそこらへんをうろついて>>続きを読む

46億年の恋(2005年製作の映画)

4.2

男になるため浜辺に行って男の精を喉に受けよと長老的なやつに言われた少年はそうして男になることに怯えているようでも興奮しているようでもあったがどちらにしてもその感情の底には深い孤独が横たわっているように>>続きを読む

ジュブナイル(2000年製作の映画)

3.0

小学校か中学校のときにこれと「リターナー」がクラスで流行っていて当時の俺は中島義道とかを読む嫌なガキだったのでこんな子供騙しに喜んじゃってガキっぽい奴らだなと思って眺めていたがやはり人間素直がいちばん>>続きを読む

二人だけの砦(1963年製作の映画)

4.3

十年ぐらい前に観たときの記憶だとアイ・ジョージが黒猫を追って猟銃片手に団地を駆けずり回るも見失ってしまい宙に向かって猟銃をぶっ放す場面があったと思ったが、そんなものはなく、代わりに岡田茉莉子とウィリア>>続きを読む

白い牙(1960年製作の映画)

3.5

息子が親父に金貰うのは嫌なんだけど遊ぶ金は欲しいから(そして多少の復讐心もおそらくあって)母親に金せびりに行ってその自分の情けなさに自己嫌悪を覚えるところ、超あるあるでよかった。あと母親が風呂に全裸で>>続きを読む

狩りの時間(2020年製作の映画)

4.5

一見なんのことない凡庸なSFクライム・サスペンスっぽいのですがある種の二重構造になっているのが面白いところで、背景としては韓国の二度の通貨危機があり、とくに1997年の通貨危機とIMFの介入が世界観の>>続きを読む

田園詩(1976年製作の映画)

4.0

イオセリアーニの映画は何を見ても本当につまらないし名前も全然覚えられない。今だってオセタリアーニとかイオセリターニとか書こうとしてしまったのでついコピペしてしまったほどだ。それはともかくとして全然おも>>続きを読む

嘆くな!(1970年製作の映画)

3.5

ゲオルギー・ダネリヤの作風なのかジョージア人の気風なのかは知らないがダネリヤ映画に出てくる人々のほのぼのした塩対応がなんとなく沖縄っぽくて好きなのでそういうのがたくさん観れる、っていうか映画全体に沖縄>>続きを読む

ボリシェヴィキの国におけるウェスト氏の異常な冒険(1924年製作の映画)

3.8

プロパガンダ映画は時代背景を抜きにしては本当の面白さがわからないので歴史ガッカリ人間の俺にはなかなか難しい映画ではあったが、凍結した未舗装路で馬車とバイクのチェイスをやったりビルの屋上で綱渡りしてくれ>>続きを読む

からたち日記(1959年製作の映画)

3.8

年季奉公に出されて芸者屋に売られて戦争成金の山形勲に買い上げられて戦時下の総動員体制で女工として独立を図ったら芸者芸者と同僚女工から陰口を叩かれてそいつらの鼻を明かすために女工の指導をしていた兵隊さん>>続きを読む

私刑(リンチ)(1949年製作の映画)

3.5

池部良特集で観たのでシアター入って5分で池部を勝手に期待していたが待てど暮せど池部が出ない。そこで寝てしまったのでストーリー理解に大いに支障をきたす痛恨のミスだったが、池部が登場してからは一睡もしなか>>続きを読む

不審者(1951年製作の映画)

3.8

窓際に現れたローブ姿の女をカメラが窓の外から盗み見していてその視線に気付いた女がキャー!と叫んだところで制作会社のクレジットが出るものだからこの会社はこういうムービングロゴなのか!なんて品のない!最高>>続きを読む

二重結婚者(1953年製作の映画)

4.0

前にもこんな風景を見たと思って記憶を辿ると映画版の『燃えつきた地図』が浮上した。子供がいない以外は何不自由ない毎日を送っていた主人公の男がふとT字路を曲がっていつもと違う道に入ってしまう場面、安部公房>>続きを読む

WXIII 機動警察パトレイバー(2001年製作の映画)

4.0

最初に観た時には少しも面白くないばかりか陳腐な内容に腹が立ちさえしたがオールナイト上映で観直したら全然良くてびっくりしてしまった。

劇パト2のスタイルを踏襲しているとはいえ押井映画と決定的に異なるの
>>続きを読む

ATM(2012年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

あのオチが俺はすごく怖かったのだが、その前に確認しておきたいのは警察に連行された主人公がその後起訴されたのか、起訴されたとしたら監視カメラが物証になって有罪になったのか、などはオチでは一切描かれていな>>続きを読む

死んでもいい経験(1995年製作の映画)

4.0

H・G・ルイスのへっぽこ残酷映画から血糊を抜いたような行き当たりばったりの即席感あふれる作りでなにがなんだかわからないが、キム・ギヨンの映画は社会のシステムの記述だと思っているので、これも、自動車教習>>続きを読む

高麗葬(1963年製作の映画)

4.0

オープニングのクレジットがかっこいい。漢字とハングルの混在文字が経文みたいに画面いっぱいに広がって、そのうち特定の文字列だけを残して他の文字が画面から消える。それがスタッフ・キャストのクレジット。それ>>続きを読む

異魚島(1977年製作の映画)

4.0

よくわからなかった。なんでも済州島の沖の方に古くから伝わる信仰と奇習に支配された島があって(ウィッカーマンみたいな)、異魚島というのはそこの島民が存在を信じている常世の国のようなものらしい。島の漁師の>>続きを読む

ゾンビ-日本初公開復元版-(1979年製作の映画)

4.5

アルジェント版は編集もサントラもイタリアンに豪快なので各バージョン中いちばん完成度が低いと思っているが、その粗雑さが疾走感と高揚感を生んでいるところもあり、なにがなんだかわからんがなんかすごいもんを観>>続きを読む