さわだにわかさんの映画レビュー・感想・評価 - 9ページ目

さわだにわか

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ファニーとアレクサンデル(1982年製作の映画)

4.0

『狼の時刻』のDVDに入ってるドキュメンタリーで評論家かなんかが「『狼の時刻』はベルイマン唯一のホラー映画で…」とか言っていたので完全に油断していたが嘘つけこれもホラーじゃないか!主に第四部と五部です>>続きを読む

キリング・サラザール 沈黙のミッション(2016年製作の映画)

3.8

セガールが動かないしそもそもあんまり出てこないというのは近年のセガール映画の大前提ではあるが、それにしてもこの映画のセガールの動かなさ、カメラに映らなさは特筆に値する。

基本的にいつもと同じファッシ
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2300年未来への旅(1976年製作の映画)

4.0

飽食の時代に育った現代っ子なのでこのビジュアルは誠に衝撃的で、考えられないダサさと統一感のなさ、氷の洞窟で腕が蛇腹の殺人ロボットが出てきた時には美術スタッフを含めて現場スタッフが全員死んだのかと思った>>続きを読む

高校2(1994年製作の映画)

4.8

このセントラルパーク東高校という学校は対話と論理を超重視したウルトラ民主主義的カリキュラムを組んでるのでミニチュア裁判みたいな形式で下級生の喧嘩の仲裁なんかを教師ではなく上級生が担当する仕組みまである>>続きを読む

影の爪(1972年製作の映画)

4.5

脚本は白坂依志夫・大野靖子・桂千穂の三人連名だがこのニューロティックな展開は桂千穂の色が特に良く出たものではないかと思う。

酔った男を轢き殺したプチセレブの家に遺族(岩下志麻と鈴木光枝)が転がり込ん
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エデン、その後(1970年製作の映画)

4.0

これでようやくロブグリ特集上映を制覇。体調的には一番悪かったがたぶん全作中いちばん睡眠時間が少なかった。他のロブグリと比べて映像にメリハリがあるからだろうと思われる。ちゃんと見分けが付く顔顔顔が同一画>>続きを読む

白い粉の恐怖(1960年製作の映画)

4.0

粉末ヘロインを溶かすのにひっくり返した茶碗の高台を使うとか国外産のドラッグ映画で絶対に学べない豆知識なので少しも役に立たないがなんとなく得をした気分になる。

内容は刑事ドラマ仕立ての薬物啓発映画とい
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怪談(1965年製作の映画)

4.5

静止画の志向、不合理な掟と意図せざる掟の侵犯、その厳罰、なすすべもなく魔に取り込まれていく人間、線状的時間の否定、とかそのあたりの要素にルチオ・フルチの映画がダブってしまったので末期。
ぼくはフルチの
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超能力者 未知への旅人(1994年製作の映画)

4.0

中国の気功研究所でワルツでも踊るように気を発する白衣のリアル気功師(気功がリアルとは言ってない)たちの勇姿!…とかいうオープニングが既にすごいのに、三浦友和が実在の超能力者(超能力の実在とは言ってない>>続きを読む

ショックプルーフ(1949年製作の映画)

4.5

今年の映画館初めがこれで、最初からすごい綺麗な人を見たなぁと思って心が動かされてしまったから検索するとパトリシア・ナイトという人、五本の映画と一本のテレビシリーズにしかクレジットされていなかった。
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アタラント号(1934年製作の映画)

4.0

ジャン・ヴィゴという人は新しいものがとにかく好きだったっぽいので蓄音機とかラジオとかテクノロジーが人を誘惑し繋ぎ合わせるかすがいになる。
「錨を降ろせ!」の字幕が「猫を降ろせ!」に見えてしまうほど猫ま
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囚われの美女(1983年製作の映画)

3.8

これだけ日本公開されてたそうですがなんでよりによってこれだけっていうぐらいロブグリ特集で寝たいや見た中ではつまらなくて、ビデオアート的な映像処理とかそれなりに金のかかった廃墟美術とかそんなのロブグリ的>>続きを読む

不滅の女(1963年製作の映画)

4.5

冒頭の聞き慣れない異国の歌を一年中〜銭営業〜に空耳してしまった時点で脳が迷宮入り、睡眠が断続的に訪れりというわけで目を覚ますたびに蠱惑的な女の微笑、絵葉書のように死んだ遊覧船の女、意味の余白と化した浜>>続きを読む

突撃!O・Cとスティッグス/お笑い黙示録(1985年製作の映画)

3.8

「ナッシュビル」の見えざるラスボス、ハル・フィリップ・ウォーカーがブラウン管の中とはいえついにその姿を現す。やつが敵だ!ウォーカー支持者の保険屋をぶっ潰せ!何故(要介護老人の件もあるが)

とんねるず
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マイ・サンシャイン(2017年製作の映画)

4.5

あまりに低評価なんで別のとこで感想書いちゃったんですけどちょっと支援しておく。これは予告編と邦題が悪い。『デトロイト』的な意味での暴動の映画じゃないし、別に心温まる感動作的なものでもないです。

詩人
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モルグ街の殺人(1932年製作の映画)

4.0

最初から犯人(?)が開示されてるのでデュパンが血液を分析する場面と犯行現場を訪れるあたりに多少その名残りが見られる以外にミステリー的な興趣なし。タイトルバックに『魔人ドラキュラ』のテーマ曲な「白鳥の湖>>続きを読む

ヨーロッパ横断特急(1966年製作の映画)

4.0

週一でロブグリ特集行ってる感じになったので気分は週刊ロブ=グリエ。まったりとお戯れアンニュイワールドに浸れてよいですね特集期間がこう長いと。集中的に見ても疲れるだけで別に面白いもんでもないだろう。>>続きを読む

天使のはらわた 赤い淫画(1981年製作の映画)

4.5

地下鉄チェイスの場面について。池田敏春の映画だとよく似た場面が『女囚さそり 殺人予告』とか『ダブルエックス 美しき獣』にもあったと思うが、登場人物の感情が昂ぶると時空が乱れてしまうのが池田敏春の世界な>>続きを読む

花札渡世(1967年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

メロ度数諦念度数ともに強めの任侠ノワールで、『スカーレット・ストリート』みたいな映画だったらそこでエンドロールが出るような劇的に渋甘な別れの後で、これは任侠映画であるからちゃーんと梅宮辰夫の殴り込みが>>続きを読む

プレイタイム(1967年製作の映画)

5.0

シムシティを何年やっても飽きない人は飽きないのと同じで映画館で上映されるたびに観に行っているが面白さは変わらない。
隅々まで作り込まれたモダニズムのフレームの中にモノとヒトを大量投入して自律的に動かす
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多重障害(1986年製作の映画)

5.0

自立した生活を営める人も営めない人も営もうと(あるいはそうさせようと)苦闘する人も出てくるがご飯を食べるときはなんとなくどの人も楽しそうなのであった。ご飯大事。

適応と仕事(1986年製作の映画)

5.0

『チチカット・フォーリーズ』が出発点とはいえワイズマンの映画というのは労働やコミュニティの自明性であるとかそこに属する人間の主体性が基礎になっているっぽいので、障害者訓練施設・学校・福祉作業所を主な撮>>続きを読む

嘘をつく男(1968年製作の映画)

4.5

個人的ファースト・ロブ=グリエ体験は蛭子さんの「去年、マリエンバードで」というまんまタイトルの漫画で、映画も原作も見たことがなかったのであのアンニュイでヘタウマなシュールワールドは蛭子さん独特の天然か>>続きを読む

スプラッター・ナイト 新・血塗られた女子寮(2009年製作の映画)

4.0

とばっちり気味に人が殺されていくアンラッキースプラッター的なシチュエーションが好きなんで面白かったです。あんまり関係ない人間を巻き添えてこそスプラッター殺人鬼。動機も含めてろくでもなくて立派だと思う。>>続きを読む

怒霊界エニグマ(1988年製作の映画)

4.0

少女の生霊が壁に貼ってある「トップガン」のポスターの前に現れるのでスゥと生霊が消えるとそこにトム・クルーズ!まるでトム・クルーズから生霊が出てきたように見えてしまう映画のマジックにフルチの天才性を垣間>>続きを読む

快楽の漸進的横滑り(1974年製作の映画)

4.0

刑事の華麗なターンに幼児気分であははと笑っていたら幼児のように眠ってしまって、眠るというか目は一応開いているが意識が付いてこないので台詞の音は聞こえるし字幕の字は読めるが意味は何一つ理解することができ>>続きを読む

陸軍残虐物語(1963年製作の映画)

5.0

組織ものが好きなので。命令と憎悪の上意下達、情報遮断とダブルバインド、しごく方もしごかれる方もそんな環境の中で等しく疲れ切って等しくクソ溜めに堕ちてしまう地獄絵図。
逃げ出そうにも逃げる先の家族さえも
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ヘルナイト(1981年製作の映画)

4.5

出てるのリンダ・ブレアだしどうせ適当なスラッシャーだろうと思って適当な感じで見てたら結構真面目に作り込まれた映画だったことが途中で判明、ちょっと気になってしまったのでもう一度頭から見直して見るとタイト>>続きを読む

小さき勇者たち 〜ガメラ〜(2006年製作の映画)

4.0

ぼくは昭和ガメラも平成三部作も楽しめるノンポリのガメラバイなので子供向けでも別に構わないんですが最後の人間の盾はそれはねぇだろってちょっと思ったよね。
そこが物語のクライマックスなんだっていう。最大の
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第三世代(1979年製作の映画)

4.0

これなんか見るとゴダールの「中国女」がいかに整然としていて客を意識した分かりやすいオシャレアイテムな映画だったかという気になってくるのでよくない。よくないぞこれは!映画教育的にとてもよくない。

物語
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ストア(1983年製作の映画)

4.0

ワイズマンの「基礎訓練」はキューブリックの「フルメタル・ジャケット」に影響を与えたと前にどこかで読んだので、これも「ゾンビ」に影響を与えていたりするんだろうかと思うぐらいに既視感を覚える空疎に賑やかな>>続きを読む

モデル(1980年製作の映画)

4.5

笑えるがなんとなく締まらない気がしたのはワイズマンのドキュメンタリーの基本形から外れた、中核的な「場」や共同体を持たない映画だったからかもしれない。

タイトルも「モデル」というか「広告」って感じで、
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八つ墓村(1996年製作の映画)

4.0

ナヨっとしたトヨエツ金田一は俺そんなに嫌いじゃないのでなんならもう何本か見たかったぐらいですが、諸々過去作との差別化を図ったのか閉鎖的な田舎のおどろおどろしい湿った空気が消えちゃってやたら風通しのいい>>続きを読む

リトアニアへの旅の追憶(1972年製作の映画)

4.5

シーンの繋ぎとして現れる白四角はなんなんだろうと考えているうちに瞼陥落、ぼやぼや意識の夢うつつで見るスナップ的な断片映像+内省的な監督モノローグの流れはなにがなんだかよくわからなかったのですが、爺か婆>>続きを読む

少年裁判所(1973年製作の映画)

5.0

一仕事終えたオッサンらが部屋を出ていく場面で終わる法廷映画につまらないものはないっていうのは十二人の怒れる男以来の法廷映画セオリーなんで。
ドラッグ、児童虐待、売春、ベビーシッター、武装強盗、クリスチ
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宇宙怪獣ガメラ(1980年製作の映画)

5.0

筆舌に尽くしがたいとしか言いようがない。あまりに予算がないので冒頭のスターウォーズのパクリ場面とかイラスト処理ですがイラストって。一応宇宙船のモデルは作ったが動かしたり効果付けたりする予算はないのでガ>>続きを読む