YukiSanoさんの映画レビュー・感想・評価 - 9ページ目

インクレディブル・ファミリー(2018年製作の映画)

3.7

スーパー家族、今度は子育て篇。

ディズニーの時代を読む嗅覚は、ついに主婦の社会進出と夫の家事子育てにまで向けられた。

特殊能力を沢山持つベビーを見る大変さは、そのまま現実の子育てと容易に重ね合わせ
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ボヘミアン・ラプソディ(2018年製作の映画)

4.6

これは魂の物語。
誰もが抱える孤独。劣等感。自己嫌悪。

それら全てを昇華し、天国へと旅立つ魂の体験を世界中の人に味わわせる作品。

我々はフレディ・マーキュリーの肉体と魂に乗って、自分を許し本当の自
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リメンバー・ミー(2017年製作の映画)

4.4

アメリカでメキシコ差別が吹き荒れる中、ディズニーが果敢にも作り上げたメキシコ文化万歳映画。

凄まじく細かい所までメキシコの文化や歴史を調べあげたと分かる緻密な設定と美術に魅せられる。そしてメキシカン
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AMY エイミー(2015年製作の映画)

3.7

天才音楽家の短い一生を描いたドキュメンタリーと言うと重く聞こえるが、ひとりの傷ついた女の子の哀しい話だった。

ジム・モリソンやショニス・ジョプリンにカート・コバーンなど天才たちと同じ27歳で死去した
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ジュラシック・ワールド 炎の王国(2018年製作の映画)

3.1

あれ?何このミニマムな話。
凄いスケールで炎の王国が描かれるかと思ったら、お屋敷ものスリラーになった…

本当に「インポッシブル」の監督?
スペクタクルシーンと子どもが独自の行動に出る所はポイけど、あ
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ロッキー・ザ・ファイナル(2006年製作の映画)

4.6

ロッキーは、心の「父」だ。

彼は色んな人の心に住んでいる。
沢山の人を励ましてきた。

親父の説教で叱咤激励し、最後に戦う背中で語る。

誰かに馬鹿にされても、それでも挑戦することをやめない。自分を
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パディントン 2(2017年製作の映画)

4.5

全ての人の心を浄化しようとしてくるファミリー映画の傑作。まさに世界を救おうとしている。

全盛期のスピルバーグや宮崎駿、ピクサーに勝るとも劣らない娯楽映画の鑑。

子熊の冒険物語を装いながら、実は移民
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レディ・バード(2017年製作の映画)

4.0

痛い系女子物語。
「フランシス・ハ」でヒロインを演じたグレタ・ガーウィグの監督デビュー作。そしてあの作品のヒロインの過去のようにも見える。

シアーシャ・ローナンが恐らく完璧にグレタ・ガーウィグに成り
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ヘレディタリー/継承(2018年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

この世で最大級の恐怖をつるべ打ちで叩きつけてくる。子どもの死、そして過失でも加害者になってしまう恐ろしさ。精神的エグさが凄まじい。

アリ・アスター監督の実体験を元に作られたという物語。オカルト悪魔教
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ディザスター・アーティスト(2017年製作の映画)

3.8

映画史上最低の作品「THE ROOM」の舞台裏を描いた奇跡のような実録コメディ。
アメリカ版「カメラを止めるな!」とも言える。

自主映画したから分かる舞台裏の熱気とスレ違いが痛々しく胸に刺さって他人
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ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生(2018年製作の映画)

3.8

この作品で一番恐ろしい魔法は「言葉」。
太平洋戦争前に圧倒的なカリスマが、あらゆる差別と不寛容を利用して社会を二分しようとする物語だった。

差別される者、またはする者は、血統であったり、人種、性差、
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gifted/ギフテッド(2017年製作の映画)

3.9

天才子育て映画。
とても心優しい気持ちになれる。

自分も娘を育てているので、客観的に見られないくらいに共感して観賞。

子どもを育てるなら悩んでしまう、本当に大切なことは才能を伸ばしてあげることなの
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パディントン(2014年製作の映画)

4.0

最高級の家族映画。
あらゆる娯楽要素が丁寧に品よくサンドイッチのように積み重ねられていて極上の90分を味わえる。

とにかくセンスが良く、メジャーになったウェス・アンダーソンといった雰囲気の美術や衣装
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2001年宇宙の旅 新世紀特別版(1968年製作の映画)

5.0

IMAX観賞。
凄まじい迫力でオープニングの地球と太陽で大感動。

特撮の細部まで観ることが出来て、改めて半世紀前とは思えぬ緻密なディテールとセンスに脱帽した。

ハイライトのスターゲイトでは、地響き
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君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)

4.5

奇跡のように美しい映画。

少女漫画的な文学を、そのまんま映像化したみたいな作品。音楽も異常に良い。

同性愛を扱っているがLGBT問題の社会的メッセージが無いため、純粋な恋愛映画として見られる。また
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ヴァレリアン 千の惑星の救世主(2017年製作の映画)

3.3

今の若い人たちは知らないだろうが、リュック・ベッソンと言ったらかつてはお洒落映画の代表みたいな人だったのである。

それがフィフス・エレメント位から少しずつB級風味が出てきて、ついに今に至る。10作品
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フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法(2017年製作の映画)

3.9

アメリカはディズニーランドのような虚構を投影しただけのハリボテなんですよ、って言ってる映画。

嘘臭いパステルカラーに染め上げられた魔法の王国に住む子ども達のキラキラな日常と、大人達のギラギラした現実
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息もできない(2008年製作の映画)

3.8

毒舌満載映画。なのに出てくる人物に共感し、同情し、愛しく思えてくる。

最悪な暴力と罵詈雑言しか吐かない主人公と、気が強過ぎる女子高生が心を通わせていく様子はとてもベタベタなのだが、その愚直さが心に刺
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ジュニア(2011年製作の映画)

3.6

RAWの監督処女作。
ネットで検索すると字幕なしで見られる、とても瑞々しい青春作品。
RAWの元ネタであり、これを後にホラーリメイクしたのがあの作品。

町山さんがRAWの有料解説でストーリーの説明を
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デヴィッド・リンチ:アートライフ(2016年製作の映画)

3.0

リンチの創作の原点に迫るドキュメンタリー。

意外と幸せな家庭で育っていたことが明かされて、それが一番の驚愕だった。トラウマと不幸の塊かと思えば、そうではなく大切に育ててもらいながらグレていったことや
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E.T. 20周年アニバーサリー特別版(2002年製作の映画)

4.5

約30年前全く乗れなかった作品。
今こそ、本当に心に響く。

フランソワ・トリュフォーに「子供のために映画を作ってみなさい」と助言されたスピルバーグが比較的低予算で作ったヒット狙いではない作品。公開し
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スター・トレック(2009年製作の映画)

4.0

理想的なリブート。
無個性だけど天才のJJテクニックが異様に光っている。

戦闘するスタートレックというコンセプトにショックを受けて、劇場公開時には好きにはなれなかったのだが新シリーズにも慣れて見直す
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RAW〜少女のめざめ〜(2016年製作の映画)

4.0

少女が大人になる時の戸惑いと嫌悪感をホラーとして表現したメタファー映画。

性とホラーがここまで上手く融合していると感じた作品は珍しい。

全部がメタファーなので筋が通ってまいが、心情が理解できなかろ
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アントマン&ワスプ(2018年製作の映画)

3.9

誰も死なないヒーロー映画。
子ども向けと言ってしまえば それまでだが、心から観客を楽しませようという信念が貫かれて、ニコニコしながら観られた。

マイケル・ダグラスとミシェル・ファイファーの共演って今
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猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)(2017年製作の映画)

4.1

猿版「許されざる者」
重厚な西部劇SFの傑作。

復讐に囚われたシーザーが、自己の中に相対する敵と遭遇する。それは前作で憎しみに囚われた同族コバの影。

そして同じリーダーという立場でありながら、マジ
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タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密(2011年製作の映画)

3.6

スピルバーグの自己模倣映画。
レディ・プレイヤー1で示されたイースターエッグを探し求めて、彼の中でも未見作品の1つをようやく観ることが出来た。

驚くことに彼は30年ほど前から、タンタンとインディ・ジ
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今日、キミに会えたら(2011年製作の映画)

3.4

ハリウッドをこれから支えるであろう新星たちが出ているので、ずっと観たかった作品。

色んなビデオ屋回っても見つけられ無くて、ついにAmazonで見つけた頃には、フェリシティ・ジョーンズはスターウォーズ
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マチェーテ・キルズ(2013年製作の映画)

2.4

寒い。スベってる。
この作品の正しい表現な気がする。

もともとバカ映画を作ると宣言してる作品に、出来をどうのこうの言っても仕方ないのは百も承知。

ただ、そうである以上は笑わせてほしいし、予想を越え
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スワロウテイル(1996年製作の映画)

4.8

心の底から愛してる一品。
好きすぎて客観的に観ることができない。

16歳という青春ど真ん中で観た、この作品はどの日本映画よりも鮮烈でスタイリッシュに映った。観たことない映像と世界観。MVのように流れ
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三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船(2011年製作の映画)

3.4

突っ込みどころ満載エンターテイメント。

空飛ぶパイレーツ・オブ・カリビアンまんまで、他愛もない話だと割り切れば許せる。

小さい頃は突っ込みもせずに、ド真剣にこの手の作品を愛していたなぁ、と感慨深く
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15時17分、パリ行き(2018年製作の映画)

3.8

スクリーンの中とこちらの現実を繋ぐ点。凄い映画はそんな特異点を発生させて、こちらの次元に侵食してくる。

イーストウッドは、最近事実を映画化することで現実と虚構の境目を極限に薄くすることに挑戦し、また
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ミッション:インポッシブル/フォールアウト(2018年製作の映画)

4.1

トム・クルーズ人生の最高峰を目撃した。

彼は何者なのか?
もはやスーパースターではなく怪物である。

いつものトムのナルシスト映画か?
イエス。

しかし極限まで研ぎ澄ましているためにアートとして昇
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リバーズ・エッジ(2018年製作の映画)

3.7

90年代とは何だったのか?
多感な十代を過ごした時代。
あの時生きてる実感を皆が虚ろに探していた。

テレビをつけると病的な事件ばかりで、組まれる特集もセンセーショナルなものが多く、死体愛好本なんかが
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万引き家族(2018年製作の映画)

4.0

とても嫌な感覚と愛しい気持ちが、ない交ぜになって襲ってきた。

是枝監督の作品を見るとき、必ず味わう感情だ。

同じ場所に傷を持った偽りの家族。
孤独に押し潰されてしまいそうになるのを必死で堪えながら
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カメラを止めるな!(2017年製作の映画)

4.5

究極の自主映画。
そして最高に幸せな劇場体験。

大阪の700人以上入るTCXスクリーンの劇場が満員の中で爆笑と拍手が起こる。帰りのエレベーターは長蛇の列で終電やばくなるほど。

かつて自主映画をやっ
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ジャック・リーチャー NEVER GO BACK(2016年製作の映画)

2.3

トム・クルーズのナルシスト全開映画。

夏の納涼ディビッド・リンチ祭をし過ぎて精神の迷宮に陥ったので真夏のトムクル祭に切り替えたら、思ってたより雑な脚本でゲンナリした。

逃亡しながら疑似家族を形成し
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