さいとぅおんぶりー

怪物のさいとぅおんぶりーのレビュー・感想・評価

怪物(2023年製作の映画)
-
モンスターペアレント・DV・ネグレクト・LGBT・学級崩壊・事勿れ主義・パワハラなど様々な現代日本の問題が前景化されており人間の持つ両義性を描いている作品。

興味深いと感じたのが依里の父親の存在で、どの登場人物も多面的な人物像を写していたが彼は一方的な怪物として描かれていて単なる悪役として二元論的に処理されそうな存在がこの映画を観た後だと映画内で一切描かれていない別の側面を想像させる余地が生まれたのが良かった。

最初のビルの火災から始まるショットはネット炎上の暗喩に見え「豚の脳」など虚構の情報が伝播してく様が近年のSNSを映しているように感じました。主要な登場人物の大人達も「母親はクリーニング屋で汚れている物を見つける仕事」「担任は出版物の誤植を見つけるのが趣味」「校長は床を掃除する事に夢中」など社会の潔癖性を求めて汚いものを見つける事に縛られている様子はSNS社会を反映していると受け取りました。
断片的な情報のみで判断せざる得ない現代社会の構造と人間の性質を捉えた社会派スリラー映画。
3件
  • 伊達巻

    「よごれ」を探している現代人の考察、すんごいなるほどです…。そこまで考えられてなかったので感激ですさすがです🥹今思うと、キャラクターを描くためというより、話をつくるために細かいところまで要素を詰め込んでいるなぁという印象をぼくは受けます、金魚とか、依里の父親とか…まだまだ考えられるところはほんとにたくさんありそうですね

  • 人間は本能的に間違い探しが好きな生き物なんですよね…。転覆病の金魚が持つ意味とか相当練られた脚本なので色々考察する余地がありますね! ただ子供達の作中の扱いがどうしても気になって芸術作品の為にどこまで子供の人生に介入していいのかメタ的に考えちゃいましたね…。

  • 伊達巻

    その視点から理解が深まりました…。同化と排除がどこでもどこまでも繰り返されていますね…なんだか思い返せば返すほどドヨーンとなってしまう作品です(^ν^)こどもについても、ぼくもそう思います。逆にいうと後半などはどこまで芸術としてみたらいいのかもわからなくなってきました、ことあるごとに叫びまくる大人の態度に嫌悪感や違和感もあって。

いいね!したユーザー

さいとぅおんぶりー

さいとぅおんぶりー

色々観ます。

引き続き利用いただくには

広告をご覧いただくと引き続きご利用いただけます。