カッコよくて泣けて面白かった112分。
シリーズ1.2は未見。

(良かったところ)

・池松壮亮の狂気

・メイン2人の銃撃・ナイフ・肉弾戦の本物のアクション

・エグい殺しと緩い女子会話の緩急

・その他のゆるいキャラたち(マッスル七瀬、不思議な宮内さん、内気な田坂さん、フリーの殺し屋仲介人、猫拳法の笠松など)

(見直したところ)
・殺し屋協会の先輩の平成お局キャラの入鹿みなみを演じる前田敦子と殺しのターゲットのかいばしらが好きじゃなかったけど、役に合っていて良かったこと。

1カ所だけ腑に落ちない箇所があったので、見た方、ご存じの方は是非教えてください。
(ネタバレ備忘録は欄外。)

殺しても、忘れない。

阪元裕吾監督、脚本、髙石あかり、伊澤彩織主演によるアクション・コメディで、同監督によるシリーズ三作目。
主人公となる殺し屋コンビが史上最強の敵と対峙する姿を描く。
前二作は鑑賞済み。
主人公となる殺し屋コンビ・ちさととまひろを言わずもがなの髙石と伊澤、最強の殺し屋・冬村かえでを池松壮亮、先輩の殺し屋・入鹿みなみを前田敦子、みなみの相棒・七瀬を大谷主水が演じているほか、シリーズの定番キャラとして、水石亜飛夢、中井友望、飛永翼等が引き続き登場。
物語は、ミッションをこなすため宮崎に出張してきた二人が、宮崎県庁内で冬村と鉢合わせるというスタートなのだが、この冒頭から、かなり長めのアクションとなっていると同時に、県庁内でバトルが繰り広げられていたため、宮崎県の懐の広さを感じたところ。
以降、前作がコメディ色を強めていたのに対し、ゆるふわな笑いの部分は、現在放送中のドラマ版で堪能してくださいと言わんばかりに、本作品ではバトルシーンが多くなっており、またそのバリエーションも豊富であることから、アクションに目が肥えた映画ファンでも納得のいくものに仕上がっている。
何より、史上最強と冠された冬村を演じた池松が素晴らしく、銃撃戦に肉弾戦、そしてナイフバトルとキレキレの動きを見せている反面、それに似合わない繊細な表情や仕草が、より一層不気味さを醸し出しており、現在公開中の奥山大史監督『ぼくのお日さま』での出演と同じ人とは思えない演技の幅の広さは、圧巻の一言。
また、イヤイヤながらもタッグを組むこととなった先輩コンビを演じた前田と大谷も良い味を出していたのだが、任務のターゲットとなった松浦や、殺し屋の仲介人を演じていたのが、人気YouTuberだったようで、殆どYouTubeを見ることがない私としては、少し時代についていけていなかった次第。
クルマ好きの視点からすると、中盤にあるホテルの駐車場でのバトルで、トヨタ・センチュリーに、日産・セドリック（もしくはグロリア）、そして通称ケンメリと呼ばれる日産・スカイラインという、もはや旧車とも言える三台が、一つの画角の中に収まっていたのは見逃せないポイント。
宮崎で観光ついでに殺しをし、休日を満喫するはずだった二人が、最強キャラと出会ったことからバトルせざるを得なくなった葛藤も本作品の見どころで、南国らしく、少し生ぬるい温度の空気が漂う中、コメディ控えめ、アクション全開に舵を切ったのは正解であるとともに、ドラマ版も見ることで、より一層二人の関係に厚みが出てくるのに加え、この日の午前中に観た黒沢清監督『Cloud クラウド』で、素人のサバゲーバトルをグダグダと見せられただけに、お口直しにはピッタリだった良作。

今日は何もしない、一日中筋トレ、どっちだよ！

【コミュ障のモラトリアムvs.コミュ障のオタク】

特定の事業の自主規制団体として、”〇〇業協会”ってのは世の中にたくさんある。

法律で雁字搦めにしないで自主規制を作り、道徳的な視点や、時代の変化に応じた柔軟な規制のあり方を考える上でも重要な組織なのだが、場合によっては新規参入の障壁になることもある。

まひろの着ていたブレイカーはNIKEのやつvs.冬村かえでの着ていたスウェットはPUMAのやつ

都会の組織vs.地方の組織。

組織vs.一匹狼

古参vs.Z世代

そして、

コミュ障のモラトリアムvs.コミュ障のオタク

誹謗中傷のネチズン（ネット民）を始末するはずが、様々な対立を呼び込みながらひっちゃかめっちゃかだ🤪

これまでのシリーズも楽しめたけど……、でも、オタク殺し屋・冬村かえでを演じた池松壮亮さんの演技と身体能力、入鹿みなみ演じた前田敦ちゃんのコメディタッチの立ち居振る舞いは、この「ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ」に映画作品としての厚みをもたらしているように思える。

まひろ演じた伊澤彩織ちゃんの身体能力はやっぱり目を見張る。

面白かった。
参入障壁はダメだと思うけどね。

ナイスデイズというより、ナイスデイでした。