(藤井道人監督・脚本作品)

重いテーマを扱う社会派サスペンス映画。

日本各地に潜伏して間一髪の逃走を繰り返す指名手配犯・鏑木(横浜流星)の488日間。

彼の正体とは？

(きっかけ)
染井直人の原作📚に惹かれて。

また藤井道人監督・脚本の作品と言うことで鑑賞。


(私が好きなところ)
・原作のエピソードの取捨選択がうまい。

600ページを超える原作を、今と当時の状況を継ぎ目無しにつなげたワンカット風の演出・編集でコンパクトにまとめているので観やすい！

・横浜流星、吉岡里帆は映画初見だったが、会話がリアルで演技が上手すぎて、惹き込まれた。

・原作📚に匹敵する面白さ(原作者もこの映画を絶賛している。)

・原作とは異なるラストの結末・展開

・藤井監督がよくやるドローンの空撮ショット

ぜひ🎦日本アカデミー賞に食い込んでほしい。

以上

ある男　の　狐狼の血




公開前に『第49回 報知映画賞』が発表され作品賞、主演男優賞、助演女優賞を受賞したということで。
ホントは公開初日に観たかったのだが、大寝坊してしまった。😓😪
横浜流星君は'22年の「流浪の月」の助演 '23年の「春に散る」での主演に続いての受賞で 3年連続の受賞は49回の歴史上で史上初の快挙だそうで。👏


さて本作　⚠️ネタバレあり⚠️


一度 亀梨和也君主演でドラマ化されているそうで、そちらも原作も目にせず本作を。

冤罪で死刑判決を受けた青年が脱走し無実の罪を晴らす為、冷たい世界で温かい人々と出会い人間性を取り戻して行く悲しき逃走劇。
昔からよくある古典的なストーリーを現代に復活させた邦画エンタメ作。
オッサン世代の人はすぐにハリソン・フォード&トミー・リー・ジョーンズ共演の傑作サスペンス「逃亡者」を思い浮かべる方も多いのでは。

まぁ、ほぼ大筋はこの「逃亡者」。😅

主人公は逮捕時はまだ未成年で逃走中は21〜2歳。
真の友人もいなかったし彼女もなし。
お酒も飲んだ事のない純粋な若者。
そんな彼が皮肉にも逃亡中に『人生』を学んでいく成長物語なのが大きな違い。

横浜流星君はこの難しい役柄を完璧に演じ切っていて感心した。
こんな凄い子だとは思わなかった。😅
助演女優賞を受賞した吉岡里帆ちゃんもとても上手い。
あんな女の子に優しくされたら年齢関係なく男は メロメロ になるよ！😍
その他本作は隅々までキャスティングに成功しているのが一番の魅力。
ただ、山田君演じる悩める刑事はもっと深く描いても良かったような。

SNSを駆使してクライマックスを大きく転回させるのもいかにも現代的で名作「逃亡者」の頃には出来なかった技法も時代を感じる。

涙を誘うシーンもアクション満載の逃走シーンも随所に用意されていて終始 飽きる事なくラストまで展開していく演出は監督の手腕のおかげ。

改めて『冤罪の怖さ』と現代に生きる『若者たちの苦悩』を身につまされた作品だった。
社会保険の義務化、物価高、上がらぬ賃金、増える日雇いバイトする若者たち。
生活に苦しむ若者達を何人も見て来たので本作も観ていて胸の痛いシーンの連続。
そんな人生に刺す『一筋の光』がなんとも愛おしい。

『君を信じます』と言われ涙する青年。
この瞬間を大切に残りの人生を過ごしてほしい。

その『瞬間』は『永遠』にあなたを支えてくれる
はずなので・・・



2024年 12月2日 11:25〜
Tジョイ エミテラス所沢screen 7
💺118席 ♿️3席
客入り　半分以上埋まってた。👏

今年(2024年)9月24日に埼玉県所沢市にグランドオープンしたTジョイ エミテラス所沢に行って来ました！
12スクリーンある綺麗なシネコン。
初めて 所沢 に行きました。😅
駅周辺もキレイ。
『駅から直結 徒歩4分』と何かに書いてあったが、2回くらい外(街)に出ちゃってるので、あれを 直結 と言うのかな？😅
(ショッピングモール『エミテラス』入口から館内の4Fにあるシネコンまでは4分以上歩くよ！)😅🚶‍♂️‍➡️

信じる、君を。この世界を。

染井為人が上梓した同名小説を、藤井道人監督、横浜流星主演により映像化したサスペンス。
殺人事件の容疑者として収監された主人公が脱走、逃走を続ける姿を描く。
原作は未読。
主人公となる死刑判決を受けた鏑木を横浜、事件を捜査する刑事・又貫を山田孝之、逃走中の鏑木と出会う人々を吉岡里帆、森本慎太郎、山田杏奈が演じているほか、松重豊、原日出子、田中哲司、木野花、駿河太郎、宇野祥平、西田尚美、山中崇、矢柴俊博等が登場と老若男女豪華なメンバーが集結。
物語は、冒頭鏑木が脱獄しようとして病気を装う様子と、警察に取り調べを受ける人々の姿が描かれるが、ここだけでサスペンス感は満点であり、この後の展開に期待が持てるものとなっている。
次には、実際に鏑木が救急搬送されている救急車から逃げ出すシーンとなるのだが、ここが思いのほかハリウッド作品も顔負けのアクションとなっていたのは、正直本作品に対してそのような内容は期待していなかっただけに嬉しい誤算。
また、その救急車のナンバーが「8206」となっており、「始まる」と読めたのはオープニングに相応しく、思わず勝手にニヤリとした次第。
以降、大阪の住之江、東京では新宿、そして長野の諏訪と、鏑木が名前や人相を変え職を転々としつつ、逃亡先で生活する様が中心となり、少々予定調和な点が散見されるものの、いつその正体がバレるのかというハラハラ感と、場所が変化していくことでロードムービー的な雰囲気がダブルで楽しめる内容であり、中でも途中にある警察の追手からの逃走シーンが何気に長回しとなっており、その臨場感はやはり映画ならではのもの。
クルマ好きの視点からすると、又貫が乗る捜査車両が、日本での販売は振るわなかったものの、一時所謂覆面パトカーとして全国に配備が進められていたスズキの当時のフラッグシップモデル・キザシであったこと、またテレビに映し出される護送車が日産の二代目となるエルグランド、そして吉岡演じる記者のクルマが、実直でありながら拘りも感じられるフォルクスワーゲン・ゴルフだったのは見逃せないポイント。
加えて、鏑木の逃走シーンで一瞬映り込む商用車に、流石に実名は出せなかったのだろうが「TAGAWA EXPRESS」と、あの企業を彷彿とさせるものであったり、実際には長野県では放送されていないものの東海三県におけるTBSのローカル局であるCBCの情報番組が放映されていたりと、前述のキザシやエルグランドも含め、絶妙なリアリティラインがあったのは、流石の一言。
欲を言うならば、もう少し尺が長くても構わないのでキャラクターの深掘りがもう少しされていても良かったかなとは思ったり、脚本の杜撰さを、全体の完成度で押し切られた感は否めないものの、逃走劇というサスペンスに、出会う人々とのドラマ、そして事件の真相に迫るミステリと、エンタメ作品としての要素が絶妙なバランスで配されていたことから、その間口の広さは好感が持てるところであり、窓に反射する人影を始めとした陰影の使い方も上手く、細部まで作り込まれた映像、無音も含めた演出は、藤井監督がとあるインタビュー記事で、コンテンツを消費するだけの風潮への対抗心として「1.5倍速で見たら、ついていけないものを作ればいい」と語っていたのも合点がいく仕上がりで、サスペンス作品の一つの解と言えるともに、WOWOWドラマとして鏑木役を亀梨和也が演じ、中田秀夫と谷口正晃が監督したドラマ版がAmazon Prime VideoやNetflixで配信されているため、その出来栄えも気になってきた秀作。

もっと生きたい。