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対話のゆくえ 京都大学吉田寮の作品紹介

対話のゆくえ 京都大学吉田寮のあらすじ

百年の自治の記憶を宿す日本最古の学生寮。老朽化を理由に退去を迫る大学に対し、場所の存続をかけ、寮生たちは「対話」を軸にその未来を問いかける。

対話のゆくえ 京都大学吉田寮の監督

藤川佳三

原題
The Future of Dialogue: Yoshida Dormitory at Kyoto University
製作年
2025年
製作国・地域
日本
上映時間
100分
ジャンル
ドキュメンタリー

『対話のゆくえ 京都大学吉田寮』に投稿された感想・評価

東大・駒場キャンパスでの、現役の吉田寮寮生の方や藤川監督も交えたティーチイン付きの上映にて。

このドキュメンタリーを観て、思わずブラジルの高校生たちによる自分たちの学校存続をかけた闘争の記録『これは君の闘争だ』を思い出した。

あの作品はまだ16、7才の少年少女たちが自発的に学校をジャックして自分たちの主張を自治体・学校関係者に認めてもらうという、途轍もなくアクティブな行動を捉えていた。そういうアクションに有りがちな、眉間に皺を寄せて闘っているような雰囲気を微塵も感じさせず、むしろ明るく自分たちのステイトメントを発している様に畏敬の念をおぼえたほど。

この吉田寮での突然の退去命令による騒動を収めたドキュメントは、それとは雰囲気が違う。

吉田寮の人々は、とにかく「話し合い」を繰り返す。何度も何度も、属性の違う人同士が、どんな人の意見も受け入れて。

だからこそ、その「話し合い」のテーブルにさえ就こうとしない大学側の誠意に欠ける対応に、どうしても腹が立ってしまう。

昨今この国はことごとく、数字にできる利益というものばかり考えて、本来それよりもっと大切にしなくてはならないものを葬り続けている気がするのだけれど、吉田寮での問題もまさにそれだと感じた。

そして大学側の一方的で強権的なやり方は今後の寮の存続を危惧させるものだ。

作中、とある寮生の方が述べる「この寮は誰でも乗ることができるボートなんです。」という言葉が心に響いた。
女性の方が涙流して、森下くんと話してるシーンが印象に残っています。
「歴史」や「伝統」など、時間が観点として重みを持つ時、そこには合理性や数字では割り切れないなにかがたしかに存在する。

目的はなにかを考え、そこに対しての合理性を考えるのではなく、大切な価値を未来に残したいという意思がある。

そしてその価値は歴史を紡いできた人達の個別のものであると同時に、どこか普遍的な価値を有する。その辺りが共有できるかどうかがこの問題を私事に思えるかどうかの差なのかもしれない。

経済的に恵まれていない学生のための福利厚生施設としての役割に留まらない「価値」。未来を過去・現在の延長と見るのか、破壊と創造をもって未来となすのか。

一般化した答えのない課題にも思えた。
またこうした合理性だけに帰することのできない課題は判断が難しい。特に公共性や安全という概念が関わるとさらに難易度は増す気がする。

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