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メモリィズの作品紹介

メモリィズのあらすじ

雄太が九州の⽥舎町へとやって来たのは、脚を⾻折した義⽗が回復するまで⾝の回りの世話をするためだった。義⽗が営む昔ながらの写真館の仕事を⼿伝いながら、東京にいる妻と娘との間で、スマホで撮った映像を交わす。⼤きな事件は何も起こらないが、⽇々の些細な出来事と、その記録と記憶の連なりに、家族の⼈⽣という⻑い時間の存在が、静かに、鮮やかに浮かび上がってくる──。

メモリィズの監督

坂⻄未郁

原題
公式サイト
https://memorizu.jp/
製作年
2026年
製作国・地域
日本
上映時間
97分
ジャンル
ドラマ
配給会社
リトルモア

『メモリィズ』に投稿された感想・評価

kuu
3.9
『メモリィズ』
製作年 2026年。上映時間 97分。
映倫区分 G 製作国 日本

柄本佑が主演を務め、家族の記憶と記録をテーマに描いたドラマ。

物語の前半は、驚くほど淡々と進む。
柄本佑演じる雄太が、義父であるイッセー尾形の介護のために田舎町へ赴き、静かに写真館を手伝うだけの日々。
劇的な事件は何も起きず、固定されたカメラが映し出すのは言葉数の少ない二人の日常。
正直、映画として盛り上がりに欠けるのではないかというネガティブな感情が頭をよぎる。
しかし、その退屈さは物語の核心へ進むための心地よい余白へと変わっていゆき、雄太が東京の妻子とスマートフォンで動画を送り合う姿と写真館の古い写真、この二つが重なったとき、映画の持つ意味がガラリと変わった。
 
我々のポケットには今、何千枚もの瞬間が眠っている。
スマホの画面を滑らせれば日常が際限なくスクロールされるけど、それらは指先ひとつで簡単に消去できる。
まるで、北斗神拳のように。
実際、小生はあまり写真は保存しないが。
失敗すれば撮り直せばいいと、そう割り切れるスマホの写真には、日常を実況中継するように消費される現在の記録としての価値がある。
一方で、小生の手元には幾度もの世界津々浦々旅をかけ、引っ越しや時の荒波をくぐり抜けて生き残ってきた、数枚の古いフィルム写真がある。
死に目にも会ってない両親、何十年も会わずにいる兄、姉、そして幼い鼻垂れ小僧の小生が並んで笑っている家族の写真たちです。
それはスマホの写真のよに、簡単に消すことがどうしてもできない。
 
フィルム写真には独特の重みがある。
当時のカメラはシャッターを切る行為そのものが一発勝負やった。
フィルム代や現像代を気にしながらファインダーを覗き、息をのんで一瞬を切り取る。
そこには、撮る側のこれを残したいという強い意志と祈りが込められているのかもしれない。
また、現像されるまでどんな風に写っているか、目を瞑ってるならまだしも、白目剥いた己の写真など黒歴史以上に消し去らねばとハラハラし、分からないもどかしい時間さえも、その紙のなかに閉じ込められている。
さらに云えば、その写真が今、ここにある事実そのものが奇跡に近い。
色褪せた静止画のなかに流れる空気、両親の若い頃の眼差し、兄姉たちの体温。
それは単なる記録ではなく、今日までその写真を携えて歩んできた小生自身の人生という時間の証明書なのだと思う。
 
余談が過ぎましたが、今作品の終盤、それまで何気ないと感じていた田舎町の景色や静かな会話のすべてが、まるで一枚の美しい家族写真のように焦点を結び、代わり映えしない日常こそが、実は最も愛おしく、かけがえのない時間の積み重ねやったのだと胸が熱くなった。
見終わった今、最初の退屈さは消え去り、自分の人生をも優しく包み込んでくれるような圧倒的な多幸感に満たされている。
映画館を出たあと、大切な人の姿を写真に残したくなる、温かい肯定感に満ちた作品やった。
 
作中の機材たちが監督が全国の廃業した写真館を巡って集めた本物やそうです。
古びた道具から漂う無数の人生の気配は、時間を閉じ込めた記憶の器そのものやと小生は信じているし、スマホの写真はいつでも撮れるからこそ今を軽快に肯定し、フィルム写真は二度と戻らないからこそ過去を永遠に愛おしませてくれる。
デジタルカメラの解像度がいかに上がろうとも、何十年もの時間を小生と共に旅してきたあのフィルム写真の、ざらついた手触りと温もりを超えるものはない。
流れ着いたその小さな紙片は、今日も心の片隅で、静かに、しかし力強く、家族の絆を灯し続けている。
 
柄本演じる雄太が、所在なげな状態から少しずつ土地の呼吸に馴染んでいく姿はとても自然で、大袈裟な芝居を削ぎ落とした佇まいに人間味あふれる生々しさを見た。
イッセー尾形演じる義父の、老いと忘却に抗う静かな背中にも深く胸を打たれたし、二人が交わす沈黙やお茶をすする微細な生活音こそが、どんな台詞よりも雄弁に、どこか懐かしい温もりとなって小生の心へ響き渡ってました。
 
デジタルとアナログが交錯する今作品の背景には、現代の記憶のあり方への優しい問いかけがあると受け止めている。
瞬時に消費されるデジタル動画の光と、暗室でゆっくり像を結ぶアナログ印画紙の闇。
映画がこの二つに優劣をつけない点に強く共感する。
この体験をあえて手繰るなら、私という時間は区切られた記号ではなく、過去と現在が優しく染み込み合う持続そのものだという思考に行き着く。
前半の平坦な時間は、見失いがちな人生の本当の時間の流れに身を浸すための、不可欠な静域となったし、写真を残す営みは時間を暴力的に止めることではない。
激流のような日常の底から、最も純度の高い愛おしさを掬い上げ、永遠のものとして大切に保存する行為なのだと小生は思う。
 
今作品が心に灯したのは、難しい理屈を飛び越えた圧倒的な生の肯定感で、劇的なドラマがなくとも、大切な誰かがそこにいて、その姿を記憶に留めようとする意志があるだけで、人生はすでに十分に美しく、満ち足りている。
スクリーンを見つめていた小生は、いつしか小生自身のささやかな記憶へと連れ戻されていたし、あの静かな写真館の扉を閉じた今、目の前に広がる世界は、昨日とは全く違う、温かく愛おしい光に満たされています。


東京で妻子と暮らす雄太は、足を骨折した義父・誠が回復するまで身の回りの世話をするため、九州の田舎町へやって来る。雄太は義父が営む昔ながらの写真館の仕事を手伝いながら、東京にいる妻と娘との間で、スマートフォンで撮った映像を交わす日々を過ごす。大きな事件は起こらなくても、日々の些細な出来事の記録と記憶の連なりに、家族の人生という長い時間が静かに、鮮やかに浮かび上がっていく。

父の世話を雄太に託して東京で仕事と子育てを続ける妻・ゆきを「SHOGUN 将軍」「少女邂逅」の穂志もえか、雄太との日々を言葉少なに過ごす義父・誠をイッセー尾形、家族の大切な記憶を象徴する人物を香椎由宇が演じる。京都造形芸術大学在学中から短編作品で注目を集め、卒業後は石井裕也監督作の助監督や土井裕泰監督作のメイキングカメラマンなどを務めてきた坂西未郁監督が長編初メガホンをとった。
ぶみ
4.0
どうかこの瞬間を忘れませんように。

坂西未郁監督、脚本、柄本佑主演によるドラマ。
義父の世話をするため妻の実家にやってきた主人公の日常を描く。
主人公となる雄太を柄本、妻のゆきを穂志もえか、ゆきの父親である誠をイッセー尾形が演じているほか、香椎由宇、梅沢昌代、伊佐山ひろ子、成田裕介、占部房子等が登場。
物語は、船の大きな窓から外を眺めたり、テーブルに座っている人々が次々と映し出されるショットでスタート、その後、その窓をフレームに見立てたかのようにタイトルが浮かび上がり、この時点で、本作品が示す世界観に一気に誘われるオープニングとなっている。
次には、港の待合室で、2か月家を開ける旨を娘に伝える雄太、それを撮影する妻のゆきという何とも微笑ましいシーンになると同時に、雄太が家を離れる理由が、仕事なのか、それとも他の理由なのか、明確な説明がなされないので、何故なのか頭を捻ったところ。
すると、今度は、田舎の風景が映る窓の側にあるベッドで包帯を巻いた足を上げ下げする男性が登場、ここでも特段説明がないので、本作品はこのようなスタンスでいくのだなと悟った次第。
実は、雄太は、足を骨折した写真館を営む義父の誠の身の回りの世話をするため、大分の田舎町にやってきたという設定で、その状況が、徐々に読み取れていき、以降は、そんな雄太と誠の日常を中心として展開、一方では、ゆきが東京で外国人旅行者を対象としたツアーガイドをやりつつ、娘の子育てをする様が同時並行で描かれることに。
そんな雄太の日常は、放牧されている馬を見て、犬を連れて散歩し、その途中では、洗濯物が干され、庭木の剪定をしている横を通り、畑では知り合いに声をかけられ、自転車の女性に追い抜かれるという、なんてことのない光景の連続なのだが、そんな変わらない日常でも、日が変われば微妙な変化が生じている様子は、同じ日なんてないことをあらためて感じさせてくれるもの。
何より、誠の家業が写真館であることがフックとして効いており、イベントや記念日といった特別なことは写真に残すも、何気ない日常は記憶からあっさりと削られてしまう中、終盤にある映写機によるスライドショーの見せ方が素晴らしく、唸らせる仕上がりを見せてくれている。
クルマ好きの視点からすると、雄太が運転する「ミナミ写真館」と文字が入ったスズキ・エブリイの車載カメラにより映される高原の一本道を走るシーンの美しさが際立っていたこと、また、集落の中に映り込んでいたダイハツ・ムーヴにコーナーポールが立っていたのは、高齢者世帯が住んでいるのだなという絶妙なリアリティを感じたポイント。
とにかく、随所に登場する前述のような窓をフレームに見立てたかのようなショットやカメラワークが美しく、本作品が初の長編作品とは思えないほど監督の手腕が光っていたのに加え、実の父ではなく義父という、微妙に会話が続かない空気感に、あるあると思うことが多々あり、そんな雰囲気を醸し出す柄本やイッセー尾形、穂志に娘役の子等の自然体の演技に癒されたとともに、日曜のレイトショー、まさかの貸切鑑賞という贅沢な時間を映画らしい作品で過ごすことができた良作。

昨日の昼食も思い出せないです。
この映画は、義理の息子と義理の父親の物語。
​東京で妻子と暮らす雄太は、足を骨折した義父の誠の身の回りの世話をするため、
大分県の静かな田舎町へやって来る。
誠が営む昔ながらの写真館の手伝いや飼い犬の散歩をこなし、地元の人々と少しずつ交流を重ねていく雄太。

一方で、東京に残した妻のゆきや幼い娘とは、
互いにスマートフォンで撮影した何気ない日常の映像を送り合い、画面越しに連絡を取り続ける。
義父と義息子は不器用な共同生活を送るのだが、、、というお話。

爆睡を超越して快眠の域にまで達した。おかげさまで疲れが取れた。
(-_-)zzz

ひたすら​静謐で抑揚がなく、何も起こらない映画なので、疲れているとすぐ眠くなる。
ハリウッド的な事件が起こるわけでもなく、感情を揺さぶる劇的なBGMは徹底して排除されている。
カメラは、犬が匂いを嗅ぐ時間や、義父が足を引きずって歩く時間を、ただじっと待ち続ける。
この過剰なまでの引き算の演出は、エンタメとしての刺激を求める者にとっては退屈そのものであり、
生理的な眠気を誘うのは極めて自然な反応と言える。

​だからこそこの映画は、フランス映画好きか、自称シネフィルだけが喜びそうな、
選民意識を刺激しそうな映画という側面を強く持つ。
スマホのタイムラインと16mmフィルムの質感の対比といった高尚なテーマは、
映画の記号や文脈を読み解く訓練をしてきた層に、
「この余白が理解できる自分」という優越感を与えやすい構造になっている。
( ´,_ゝ`)プッ

また、いかにもキネマ旬報の評論家どもが高評価しそうな意識高い系映画だった。
┐(´д`)┌
実際に今作は、トライベッカ映画祭で新人監督賞を受賞するなど、海外や批評家筋のウケが抜群だ。
多分今後の日本の賞レース戦線でも名前が出てくるかもしれない。
商業主義に媚びず、柄本佑という、佇まいだけで映画を成立させる俳優の身体性に頼り切った演出は、
玄人好みの絶好のプロットであり、「批評のしがいがある映画」の典型例だと言える。

ただ、​大衆娯楽映画ではないので、映画初心者や年1〜2本しか見ない人にはオススメしづらい作品。
こういう万人ウケが絶対しない作品は、個人的にあまり良い印象を持たない。

なぜなら、映画に「日常からの脱却」や「爽快なストーリー」を期待する人にとっては、
お金を払って他人の退屈な日常を覗き見させられる苦行になりかねないから。
マーベルのシリーズモノと同じで、初心者に優しくない映画は、褒めれば褒めるほど、
映画人口を減らすだけの愚行だと思うので、よっぽど面白くないと、良い映画だったとは言わない。

良かった演者
柄本佑
イッセー尾形

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