泳ぎすぎた夜の作品情報・感想・評価

「泳ぎすぎた夜」に投稿された感想・評価

お茶

お茶の感想・評価

4.3
抱きしめたくなるような映画だった

真っ白な雪がしんしんと降る、真っ黒な夜更け

6歳の男の子は、お父さんが仕事に出かける物音で目を覚ます

眠れなくなって、スケッチしたのは魚の絵

この絵を届けたい

学校からまっすぐ家に帰らず、お父さんが働いている魚市場を目指す

真っ白な雪の世界
一歩一歩踏み出す小さな少年の、大きな冒険

音がほとんどない
セリフもない

それなのに、表情や行動の1つ1つに心が揺さぶられた

途中眠くなって、うつらうつらして色んな所で寝ちゃう姿が可愛い

静かな、静かな、あたたかい映画だった
MikiKato

MikiKatoの感想・評価

4.3
真っ白い、ふっくらとしたゆきと肌
柔らかい水色の空に、りんご色のほっぺた

手袋落としちゃったし
車怖くて横断歩道は全然渡れないし
急な睡魔に素直にコットリしちゃうし
観ててふふって微笑む可愛さ。

お父さんの市場を目指す
目的はそれだけなのに
少年にとっては寄り道と発見の大移動
とりあえず無事でよかった
よく歩いたね、おつかれさま。
櫻

櫻の感想・評価

-
窓辺を暗く染めていた夜空は、いつのまにか水色に変わったり、雲がもくもく白く覆ったりしていて、幼い命をやさしく照らしている。しろいものに命あれと、踏みしめられた雪は、ざくざくと音を立てて鼓動する。その足跡は、たくさんたくさん歩いた証。小さな体は簡単に埋もれてしまうけれど、夜を後ろに引き連れて、眠い瞼をこすりながら泳ぐ泳ぐ。空の光がだんだん薄くなってきて、後ろにいた夜が顔を出した。ながいながい一日だったね、疲れちゃったね、よーく休むんだよ。
『息を殺して』があまりにも好みだったので、慌てて五十嵐監督のその他の作品も借りてきました!

『泳ぎすぎた夜』
フランスの新鋭ダミアン・マニヴェルとの共同監督作品。(ダミアン監督作品未見です…)

これはですね…、

おはよう
幼い、まだ小学校入ったばっかりくらいの男の子が、その日は学校に行くのやめて、お父ちゃんの働く魚市場にひとりで行く事にした。上手に描けた絵を見せるために。
…大変だった。結局間に合わなかった。
おやすみ🐟

…というお話です。今作もストーリーがどうとかって事ではなく、ただ、主役の男の子が絵を描いたり、おミカン食べたり、犬に(!)吠えたりしてるのを見つめるだけの79分!…しあわせ。

舞台は青森。雪深い田舎の風景。お父さんはうんと早起きしてまだ魚市場に出勤します。
男の子は変な時間に目が覚めちゃって、ひとり薄暗い台所でお菓子ボリボリやったり、お布団の上にオモチャ並べて写真(多分おさがりのデジカメで)撮ったり、お魚の絵を描いたりしてます。あー、可愛い。
結局そのまま眠れなくて、朝の食卓でうとうと…。お姉ちゃんがお人形の着せ替えみたいに服を着せ替えてくれました。
お姉ちゃんの後をついて学校に行く…筈が、途中で道をそれて雪遊びを始めてしまいます。暫く一人遊びに興じた後、思いついたように駅に向かいます。

と、…言ってみれば、初めてのおつかいみたいなものなんですけどね、兎にも角にも主演の男の子の“子供っぷり”の良さにノックアウト(肘有り・首相撲有り)ですよ!変な姿勢で写真撮ってる時。電池が切れたみたいに雪に倒れこむ時。柴犬に吠え返してニッコニコの時。もう、完全なる可愛げの塊!
そして、その魅力を余すとこなく写し取る撮影の的確さたるや…。シーン毎の尺も絶妙です。ビバルディが流れる車中のシーン!ジャスト。予め正解が分かってるみたい。これは天賦の才と言わざるを…のヤツです。
廊下でポツンと佇むコロコロした柴犬がめちゃくちゃキュートです。このモチーフ、『息を殺して』でも有りましたが、果たしてその意図は?単に犬好き⁇

ストーリーはこの上なくささやかなで、他の多くの劇映画の様に主人公の男の子の成長が描かれたりはしない、…どころか始まりと終わりが円環構造なものですから、同じ事が繰り返される予感ばかり強く感じられてしまうのですが、それでもこんな事を繰り返してる内に、あの子は成長していくのだろうな、と勝手に親身になって目を細めてしまいますよね…。
閉じることによって拡がりは無限に。

共同監督作なので、全てが五十嵐監督のテイストという訳ではもちろん無いと思うのですが、前作同様、人を見つめる視線・対象との距離感といった“目の良さ”はビシビシ伝わってきました。やっぱり五十嵐監督相当に良いよ!
…あと、私は猫原理主義者ですけど、柴犬可愛いなぁ。まいったまいった。
じゅんP

じゅんPの感想・評価

3.8
どこまでだって歩けるんだ、この足で。
どこまでだって描けるんだ、この体で。
どこまでだって泳げるんだ、この頭で。

今日を生きたぼくの絵日記。
画用紙の端っこの先の先へ。
かほ

かほの感想・評価

3.9
小さい頃は、知らないところに行くのは大冒険で、ぜんぶが新しくて、ちょっとしたことで驚いたり怖くなったりこの世界を独り占めしてるような気分になったり、、わたしもそうだったな。
O2

O2の感想・評価

4.2
小さな男の子の、大きな冒険。
青森・弘前の美しい銀世界が
男の子の純粋さをそのまま写しているようでした。

久しぶりに歩いた小学校への通学路は、
大人になって「こんなに短かったっけ」
と驚いてしまう。

眠れない夜の長さ。
歩いても歩いても終わりの見えない長い路。
知らない場所へ踏み出す高揚感。

小さなころの忘れかけた感覚のカケラを思い出させてくれるような作品でした。

黒の柴犬ちゃんが可愛すぎるのも◎

出演者の方々が本当の家族四人って、すごい!
砂

砂の感想・評価

-
すごく穏やかで可笑しげのある「まなざし」の映画だった。
けっこう珍しい映画である。

舞台は冬の青森・弘前で、主人公の男の子の小さな冒険の物語…と書くと冒険譚っぽいのだけどそうではなくて、もっと素朴に子供とそれを囲む我々の世界を優しい目線で観測した話、といったほうが近い。

雪国では常の雪降る夜、なんだか眠れない男の子はあれこれしながら夜を明かす。この眠りたいのに眠れないときの行動がすごくリアル。家の外の降雪はさながら一瞬が反復するかのような永久性を見せるが、朝は何事もなくやってくる。そこからやはり寝不足、学校に行く支度をすることから平日だとわかる。が、登校寸前で男の子は隠してあったミカンを手に取り街中へぶらりと一人旅…

連続する3部構成となっており、2部の冒頭で男の子が目指している場所が明らかになる。そこからも緩やかに、まるで「はじめてのおつかい」を遠目で観るように、彼は目指す場所をぶらりと目指す。

本作の特徴はいくつかあって、まず台詞がないこと。そのためにかえって人々の所作や生活音などに意識が集中される。少年はとても元気で、ときおり寝不足で白昼夢のようである。うたた寝もしばしば。

次に広角の固定ショットが多用されること。雪国ということもあるのだけど、人の写らないごくありふれた景色で動く電車や車、家々はまるでミニチュアのような不思議な印象を与える。

そしてほとんどが引きのアングルであるということ。それゆえ男の子を劇中の通行人などと同じ視点・距離感を持って観測しているようだ。見守っている、という印象に近い。引きと思ったら男の子(や、犬)の目線になったりと、そこらへんの転回が絶妙。

話の内容はとてもシンプルではあるのに、それゆえワンカットごとの魅力が際立っているようだった。日本全国ごくごくありふれた光景、例えばショッピングモールの中などもまるで子供の目線になって体感しているような懐かしさ。日常において当たり前のものが、子供の目線へと同化する瞬間に不思議なものへと変化した。街の見え方が一変する。

構図のうまさや画面内の配色など、ラフなようで練られた画作りなのだけどそれにきどりがない。出てくる大人も優しさがあり、きっと子供は気づかないけれど沢山の素朴な優しさに見守られているのだろうな、と穏やかな気持ちになる。ワゴン車の車内BGMがヴィヴァルディ(雪国なのに春)だったり、随所でクスりと笑えるユーモアが心憎い。

ちなみに出演者は男の子はじめ、一般の方で実際の家族のようだ。
だとしたら家の既視感ある生活感も納得だ。お父さんは実際に漁業市場で働かれているとのこと。なので半フィクションということになる。
(家のわんちゃんは、はなちゃんというらしい。かわいい)

個人的には予算規模の小さい邦画はこういう、日常で見えなくなってしまう素朴さへ焦点をあて繊細に紡ぐほうがあっていると思う。
いい作品だった。
sakikas

sakikasの感想・評価

3.0
犬がいちばんいい仕事してた。
こどもと静寂の組合せに不自然さというか不気味さを感じました。
ワンシーンワンカットで子供を主とした、偶発的な運動を記録するのに賭けたような映画だけど、想定の範囲内で、特に驚きはなかった。
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