人種差別を風刺しているのかな？

字幕で観たのだが、何故か字幕が付いているのが英語での会話のみで、他の言語には付いていなかった（笑）

記録。
直せるけども話せない。ブラザーと呼ばれた異星人が目にするNYの姿と溶け込んでいく日常。

NYの黒人街に不時着した異星人。話は理解できるようだが喋ることは出来ない。一言も声を発せず、首を振ったり身振り手振りでコミュニケーションをとる。

彼は手をあてるだけで、傷を治したり機械を修理する特殊能力の持ち主で、酒場の常連をはじめとした住人と打ち解けてゆく。

そんな中、黒ずくめの怪しい二人組がブラザーを追って地球に降り立つ。実はブラザーは異星から逃亡した奴隷であった…

不思議な感覚の低予算SF映画。
調べてわかったけど、ブラザーが奴隷ってのは劇中で明確な言及は無かったと思う。そういうとこ説明しない感じの、センスに訴えかけるタイプの映画。

登場人物の大半は黒人であり、ブラザーの容姿も黒人。彼を追うMIB的な黒ずくめ二人組は白人(しかも片方はジョン・セイルズ監督)だ。
ドラッグの蔓延や黒人街の人々が抱える問題を日常としてさらっと描写していたり、奴隷制度からの解放の物語であるようにも見える。

実はSF映画の皮を被った社会派ブラックムービーなのかもしれないな。

そういやサン・ラーって『ブラザー・フロム・アナザー・プラネット』じゃんなんて事を思ってみたら案の定似ている作品に名を連ねていたが、結果としてほぼ『サン・ラーのスペース・イズ・ザ・プレイス』であった、ただしこちらにはサン・ラーが出て来ない。N.Y.ハーレム125番街に不時着した黒人そっくりの風貌をした宇宙人、彼は「ブラザー」と呼ばれる様になり、この地に溶け込みそして「修復」する為に様々な事を学び、奮闘を始める。実は逃亡奴隷である彼を追うヘンテコ奴隷ハンターをジョン・セイルズ自身が演じているが、彼等は後にウィル・スミスとトミーリー・ジョーンズへと姿を変える事になる。ハーレムの住民を麻薬をもって支配する憎き白人支配者を成敗つかまつるブラザー、そんな彼の元にハンター達の魔の手が迫るが、彼と同じ様にこの地に逃れて来た者達の連携が光る。他人種との融和、HATEでなくLOVEの重要性、チープと言えばチープな作りであるが、アイデアひとつで予算など軽々飛び越えられるその証明として若き映画制作者諸君には参考資料的にご覧頂きたい。眼球をぽいっと外し監視カメラにするブラザー、花粉症にお困りの貴方が求める物がここにはきっとある。