エレイン・メイ監督によるコメディー作品で隠れた名作です。『おかしな二人』で有名なウォルター・マッソー主演。だから、邦題もウォルター・マッソー主演作の例にならって「おかしな○○」となっています。原題は"A New Leaf"で「新しい植物」と言う意味なのですが、この植物が物語の鍵を握っています。原作はジャック・リッチーの短編『妻を殺さば』です。

ヘンリー・グラハム（ウォルター・マッソー）は遺産を食いつぶす浪費家。資産が産む利益以上の浪費をしてしまうので、いつの間にか資産も食い潰してしまい一文無しになってしまいます。そこで、資産家の女性と結婚して、資産を受け継いでから殺してしまえ！とろくでなしの計画。そこで出会ったのが研究以外は全くポンコツなヘンリエッタ・ロウェル（エレイン・メイ）でした。ヘンリーもポンコツですが、ヘンリエッタはそれを上回るポンコツぶり。果たしてこの結婚はうまくいくのでしょうか？と言う話です。

エレイン・メイはお笑いコンビの「ニコラス＆メイ」で成功してコメディーで有名になります。ウッディ・アレンやスティーブ・マーチンも影響を受けたそうです。コンビを解消してからエレイン・メイは俳優としてだけでなく、脚本や監督業でも頭角を表していきます。特に『天国から来たチャンピオン』（1978年）は脚本家エレイン・メイの代表作ですよね。そして、監督作品としての代表作（であり、初監督作品）が本作になるんだと思います。

ウォルター・マッソーが演じるヘンリー・グラハムはかなりポンコツ男なのですが、エレイン・メイ演じるヘンリエッタ・ロウェルがそれを上回るポンコツぶり。見かねたヘンリーは徐々に優秀な男に変身していきます。この変化の描写がとても自然だし、かわいらしい。ホッコリしてしまいます。

別にこれそのまま嫁さんぶっ殺してその悪事がバレて旦那も地獄に突き落とされるみたいな、どっちも敗者として描くことも出来たろうに、何故か最後win-winの関係になっている…。チェンソーマンの原作を知らないのでここまでのアニメの展開を辛うじて人間性を保っていた弱者男性が性欲を糧にエンパワメントされていく過程で人間としての心を失い悪魔として大成していく…みたいな話だと勝手に理解してんだけど、その点で語ることが許されるのであればこれは全く真逆の物語、性欲は一切関係ないし人間の心を失った悪魔の様な元強者男性（そんな言い方あるか？）が自分よりも劣る相手を前にみるみるうちに新しい才能の芽を開花させていき一人の真人間として覚醒していく。コミュニケーションは壊滅的だし相変わらずのグダリ具合は結構しんどかったけど、これもっとスマートに現代的リメイクしたら大化けするのでは…？ちゃんと2人とも真面目に急流に流されてて笑った、なんだこの憎めない感じ。

ヘンリエッタがかわいい....！！！
意味わかんない構造の服の穴どれが正しいのか問題めちゃわかる！穴の位置はわからない！！

同じ画面内でコミュニケーションのキャッチボールが不具合起こしてたりになってたりライアーゲームが始まってたりして、気付いてない当事者のおかしみがかわいらしいし面白かったです。

お互いの得意分野に相乗効果が生まれる関係性は安定感があって最終的にかなり良いバディなのではないでしょうか！🫰
あと秘書さんがいいキャラ！

ハウスキーパー集団無敵すぎてあの集団のスピンオフが観たすぎる！手前を通過するタバコが似合うファンキーなおばあちゃん何者なんだ....