タイヤ

石油で潤うテキサスの田舎町
脱獄人が舞い戻ってくるという噂を引き金に、町の住民たちが一斉に狂乱行為に走る

悪夢のような一夜を通して、人間のエゴや群衆心理を描いたクライムドラマ

ウカれてる、楽しそう
町の雰囲気がスゴいです

そして、住民たちの不安が一気に
終盤はカオスでした

黒人差別もあり

女性たちがそれぞれ印象的

キャストも豪華でした

石油成金が牛耳るタールの町に、逃亡した囚人が帰ってくるとの噂が。
住民はその噂に各々行動をとる。

「リトル・チルドレン」に非常に似ているが、そのテーマはかなり時代性が反映されている。
1960年代は黒人差別が色濃く残る時代。
たった一人の黒人が脱獄者の居場所を知っていただけに、町のごろつきは狙いを定めて暴力を厭わない。

田舎町というのと、恐怖というのは他社の介入を良しとしない。
それが行動に出ると悲劇は起きる。

マーロン・ブランドやロバート・レッドフォードなど、かなり豪華なキャストが出ているが、皆しっかりと存在感あるのは流石。

WOWOW録画鑑賞
（かなり前の録画DVD）

　“人生って…待ってばかり…”

ロバート・レッドフォード出演作で初鑑賞｡準主役でイケメン・オーラは少な目の汚れ役だが、この後、彼のオーラは輝きを増していく♪♪♪

主演はマーロン・ブランド｡脇役にジェーン・フォンダ、ロバート・デュバルなど後々の名優揃いで楽しめた人間ドラマ｡
隠れた名作｡

噂をきっかけに町がたちまち騒然となる様子を、人間の群集心理の恐ろしさを浮き彫りにしながら鮮烈に綴った異色ドラマ｡

原題　『The Chase』

1966年米作品135分
監督　アーサー・ペン
脚本　リリアン・ヘルマン
原作　ホートン・フート　『The Chase』
製作　サム・スピーゲル
音楽　ジョン・バリー
撮影　ジョセフ・ラシェル　ロバート・サーティース
出演者　マーロン・ブランド　ジェーン・フォンダ　ロバート・レッドフォード　E・G・マーシャル　アンジー・ディッキンソン　ロバート・デュヴァル　ジェームズ・フォックス

日本語字幕　日高照子

（WOWOW番組内容より）
ババー（レッドフォード）が、もう1人の囚人と刑務所を脱走したという知らせが、テキサスの田舎町タールに届く｡
町を牛耳る石油成金のヴァル（マーシャル）は、最近は息子ジェイク（フォックス）と金を巡って対立が激化｡ジェイクはババーの幼なじみだったが、ババーが服役している間に、その妻アンナ（フォンダ）と不倫関係になっていた｡ババーが脱獄したという知らせに、町民たちの間では、ババーを捕まえてリンチにかけようという気運が高まり……｡

劇作家・脚本家ホートン・フートの『The Chase』を原作に、こちらも劇作家・脚本家のリリアン・ヘルマンが脚本化｡

ホートン・フートは『アラバマ物語』（1962）でアカデミー賞脚本賞受賞｡
本作でも良心に基づき法を執行しようとするカルダー保安官は、弁護士アティカス・フィンチを思い出させる｡

リリアン・ヘルマンは、
私生活ではハードボイルド小説で有名なダシール・ハメットと生涯を共にした恋人｡それまでにアカデミー賞脚本賞ノミネート2回｡
赤狩りでは、証言を拒否した結果、長期にわたってハリウッドの映画産業界のブラックリストに掲載されることとなった。
映画『噂の二人』（1961）の原作『子供の時間』　オードリー出演作だが未鑑賞｡
映画『ジュリア』（1977）原作『ジュリア』（1973）　過去数回鑑賞、主演はジェーン・フォンダ♪♪ヘルマンと縁が有りますネ⁈

群集心理が次第に暴力的にエスカレートしていくのは、この非米活動委員会での赤狩りの経験が脚本に反映されているように感じる｡

主演のカルダー保安官役にマーロン・ブランド｡良心に基づき法を執行しようとする役柄を熱演｡リンチにあうシーンはスローで撮影されたそう｡結構ボコられます｡

脱獄者ババー役ロバート・レッドフォードは、彼の初期出演作ながら、もうクレジット3位の扱い｡
役柄は汚れ役ながらの熱演だが、イケメンオーラは少なめ⁈
1人で逃げるか、貨物列車で会うメキシコ人一家との短い場面などで登場するが、主要キャストと一緒に登場するシーンは、映画の半分以上過ぎてから｡

本作でのババーの逃亡シーンは、引退前の彼の最後の映画『さらば愛しきアウトロー』(2018)の脱出モンタージュで使用されてましたネ〜‼️

その他、脇役も、
ババーの妻アンナにジェーン・フォンダ｡
レッドフォードと共演3回の1作目♪♪
　『裸足で散歩』（1967）
　『出逢い』（1979）

カルダーの妻ルビー役にアンジー・ディキンソン｡カルダーを支える役柄｡後年のお色気はまだ無い｡
TVシリーズ「女刑事ペパー」（1974）の主人公ペパー・アンダーソンですネ♪♪
懐かしい〜

石油王ヴァル・ロジャースに名優E・G・マーシャル｡
銀行員スチュワート役にロバート・デュヴァル｡後に『ゴッドファーザー』でブランドと共演｡



↓ 以下ネタバレあり
お話は……
テキサスの田舎町タール｡
町は、石油王ヴァル・ロジャース（マーシャル）が有力者であり、町のほとんどの人は、カルダー保安官（ブランド）はヴァルの操り人形だと思っている｡
カルダーは妻ルビー（ディキンソン）と将来、農場を始めるため質素に暮らしているが、ヴァルがルビーにドレスを贈ったりと恩着せがましい行為に嫌気｡
町の人々の偏見も鬱陶しく感じ、町の男たちから嫌がらせを受けている｡

そんな時、地元出身のババー・リーブス（レッドフォード）が刑務所を脱獄したとの知らせから町の住人たちは疑心暗鬼となっていく…｡

ある日、ヴァルの誕生パーティが盛大に催されるなか、それぞれの個人の問題が浮き上がってゆく｡この辺りの人物描写も良くできた脚本｡

ヴァルの息子ジェイク（フォックス）はババーの妻アンナ（フォンダ）と不倫の仲｡
ジェイク夫妻は破局間近｡また父ヴァルとジェイク親子の折り合いも悪い｡
また父は息子とアンナとの関係も未だ知らない｡

また銀行員スチュワート（デュヴァル）はババーに濡れ衣の罪を着せたことから復讐を恐れている｡

その他、不倫カップル、詮索好きな老夫婦、ババーの年老いた両親、毎日パーティに明け暮れる富裕層の高校生たち…

町民の多くは、ババーが町に帰ってくるのでは？と戦々恐々とするそれぞれの理由｡

密かに町にたどり着いたババーが、妻アンナとの連絡役を黒人の知人に頼んだことから事態が悪化していく…

カルダー保安官の目的は、
ババーを無傷で捕まえ、そして正義を求めること｡
そして、町の有力者ロジャースに反対し、また一部の暴力的な住民に対峙する必要に迫られる……｡

・ドロドロの人間関係

・スキャンダルにまみれた人々

　”何かというと恩に着せる！“

・保安官事務所を取り囲む野次馬たち、終盤、何かが起こる不穏さ｡

・アンナがつぶやく

　“人生って…待ってばかり…”

　ラスト、アンナの哀しみの表情に
　このセリフがしみる…

中盤少しダレ気味、最後は予想の展開かもしれないが、人々の醜さが露わになる群集心理の恐ろしさ‼️

キャスト、スタッフの豪華さもあり楽しめた、隠れた名作かも⁈


余談
・ババー役にプロデューサーの初期の選択としてスティーブ・マックイーンが候補に挙がっていたそう⁈

・イギリスの作曲家ジョン・バリーの最初のアメリカ映画スコア。



【忘備録】ネタバレ含む
（キャスト）
・カルダー保安官　Calder
（タール市の保安官）
マーロン・ブランド

・チャーリー "ババー"・リーヴス　Bubber
（故郷のタール市に向かっている脱獄囚） ロバート・レッドフォード

・アンナ・リーヴス　Anna
（ババーの妻でジェイクと不倫中）
ジェーン・フォンダ

・ルビー・カルダー　Ruby_Calder
（カルダー保安官の妻）
アンジー・ディキンソン

・ジェイソン "ジェイク"・ロジャース
Jason_Rogers(Jake)
（ババーの幼なじみでアンナと不倫中） ジェームズ・フォックス
兄も俳優のエドワード｡

・ヴァル・ロジャース　Val_Rogers
（石油成金で町の有力者、ジェイクの父親）
E・G・マーシャル

・エミリー・スチュワートEmily_Stewart
ジャニス・ルール

・リーヴス夫人　Mrs._Reeves
（ババーの母親）
ミリアム・ホプキンス

・メアリー・フラー　Mary_Fuller
マーサ・ハイヤー

・デイモン・フラー　Damon_Fuller
リチャード・ブラッドフォード

・エドウィン・スチュワート 　Edwin_Stewart
ロバート・デュヴァル

・エリザベス・ロジャース　Elizabeth_Rogers
ダイアナ・ハイランド

・ブリッグス
ヘンリー・ハル

・ブリッグス夫人
ジョスリン・ブランド
マーロン・ブランドの姉｡

・ヴァーナ・ディー
キャサリン・ウォルシュ

・キューティ
ロリ・マーティン

・ポール
マーク・スケイトン

・シーモア
ポール・ウィリアムズ

・レム・ブリュースター
クリフトン・ジェームズ

・リーヴス氏
マルコム・アターベリー

・アーチー
スティーヴ・イーナット

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