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霧子の運命
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『霧子の運命』に投稿された感想・評価

3104
3.5
岡田茉莉子は不幸な表情が似合う。しかしここでの彼女は不幸というより不憫という表現が似合う。それでいて必要以上に「ジメジメ」や「メソメソ」を感じさせないのが彼女のいいところではなかろうか。

生まれの環境に恵まれず、それが影響して後々まで不幸や苦悩、つまずきに見舞われ続ける霧子の運命やいかに・・。

生い立ちや出会った人に恵まれなかったのは動かしようのない事実だが、厄災をしょい込む原因のいくらかは彼女自身の心持ちにもある・・と思わせるような描写(これはこの映画内だけでなく、人生における真理だとも思う)もそこかしこに。トラジディなのにコメディ的な隠し味も伺える、木下恵介による巧みな脚本に乗り物語は進む。

中盤まではいってみれば浮かび上がれない人生の描写の羅列~回想シーンをほぼ挟まず淡々と時系列順に描いているのもあり~だが、吉田輝雄演じる愛人の宇佐美が殺人を犯してからは、宇佐美と2人での「逃避行」がメインとなる。だがこの展開はいささか唐突で、必然性や緊張感があまり感じられないのが少し残念。逃走資金調達のために霧子が故郷に帰る理由づけのために存在したといえば言い過ぎか。加えて宇佐美の役柄の情けないこと・・。
しかし彼になりふり構わずすがりつかれて「それだけで、女は死ねるわ」と言うときの岡田は、この作品の中で最も綺麗で最も素敵な表情をしている。必見(あとは逃走中に宇佐美に首を絞められている時の苦悶の表情も同じくらいに魅力的)。

『嫌われ松子の一生』のような喜劇的要素をも含んだ転落を経て、霧子は墜ちたのかそれとも解放されたのか。かくして映画は幕を下ろすが最後、画面が暗くなったあともエンディングテーマだけが延々と流れ続ける。岸洋子のシャンソン。この〆方は後味悪く独特、そしてことさら奇特である。
岡田茉莉子が首を絞められたあとにつぶやく「生きるのも死ぬのも無意味」。学校に遅刻しそうな冒頭から霧子は走り続けているが、あれはどうしようもない現実からの逃避(その顔や足を移動撮影で的確に捉える川頭義郎の素晴らしさ)。産まれ落ちて継母に育てられ学校では生徒だけではなく教師にも嫌われる霧子。名前が素晴らしい。「きり子」だがバーでの名刺は「霧子」にしたと、儚く美しくそして自ら不運を呼び込むこれ以上ない名。
小学校時代で30分、残りの55分で旅館の女中と気弱な人殺しとの逃亡。子ども時代のすべてが伏線として村(田舎)に戻ってからの後半のくだりに活かされる強引だけど説得力しかない85分。村民の誰からも忌み嫌われている顔に痣がある田村高廣が森まで逃げた岡田茉莉子を追いかける終盤、社会(共同体)から外れた者同士がお互いの暗い目を見て分かり合う瞬間にグッとくる。逃げ切った先で岡田茉莉子ににぎり飯だけを渡して去っていく田村高廣、この潔さ、真っ直ぐなキチガイだが惚れてしまう。
父親は女にとことんだらしなく、善人のように振る舞う教師も陰では人を簡単に見下すクズで、だからといって田村高廣はキチガイで顔が良いだけで空っぽな吉田輝雄は人殺し。岡田茉莉子の孤独な世界には地獄の男しか存在しない。生きても死んでも絶望的に「寂しい」という感情、望まれぬ子は大人になっても恵まれない不幸な人生を歩むしかないという救いなしのラスト。岡田茉莉子のあのどうでもよさそうに話すときの平坦な声の調子、やはり抜群だと改めて思った。
✔『霧子の運命』(3.1p)及び『人情馬鹿』(3.5p)▶️▶️

 日本では映画批評が益々機能しなくなってきてる。一昔前の批評は、贔屓作家でも冷淡に、他者の作や前後作品との優劣や意義比較、作家性の波を論じてたが、今はシンパとしてなんでも褒め·太鼓持ちというか勝手に身内気分を出している観方がすくなくない。一方、対立側の作家には、ろくに観ないで何でも貶し否定する。批評の、作家との対等性が薄らいできた。今秋特集されたフォード特集·つい先日亡くなったゴダールでも、多作な分バラツキがかなりあり、最盛期中の『モホーク~』『タバコ~』、『探偵』『~ヴァーグ』らは褒めてもしょうがないと思うがもてはやされてる。キューブリックや黒澤だって完全·完璧主義には遠く、『シャイ~』から『フルメ~』、『隠し砦~』から『用心棒』辺りは、まともに論じる価値は少ないと思うのだが···。
 只、批評家でもないが、自分も甘すぎになってきてるのかなと不安になる。例えば、川頭に対してだった。が、下のユーロスペースを覗いただついでに上階へ行くと、知らなかったが未見の川津作品をやってた。そのまま観る。珍しく、力強いといえばそれまでだが、少女期の記憶のシーンやイメージが後々までトーンを支配し(「今も未来も何もないを知った」「1人、聞かん坊の名誉張り」→「馬鹿にしあってるだけの夜の世界」「最後に弱み出しすがってきたので、心ゆるし心中とその補助に応じた」)、あまりに人や映画の巾がなく、最高作の一本『笛吹川』を放った後、『永遠の人』とか『香華』とかどうにも変な映画を連発してた頃の腑抜け期の、木下の企画·脚本の一本か。と見れた。
 (ロケ)セットや自然の作り込み、90°変や縦移動の確かさ、屋外シーンの走りへのへばらぬ力強いフォロー移動の軌跡の松竹映画とも思えぬ見事さ、全体にややハイキーめ多く·それからも多い表情CU(切返し)のヴィヴィドさ、等視覚的にはまずまずも、まかり通る下層や継子のあからさま軽視や、男女関係の力関係からの成り行きイージーさに、微かに反発し·弱者故のその正直主張の認め合いが、ズルズル関係の相手の強盗殺人弱さ嵌り、心中前に金算段と憤りぶつけで戻った故郷で追われる中·被差別者の矜持の通じ合いを得る、内容の展開は、職業選び甘んじ、通じるを感じてもあまりに甘い金借りる相手選択、など実際的無理がありすぎ、矜持には素直に繋がってゆかない。失敗作に近きを観てどこか、ホッとする。
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 清水に対する評価も危ない。今年は清水の映画を2本も観た。存在も知らなかった作品だ。戦後荒廃期作と、その一環の東宝争議も落ち着いての、唯一の東宝作品。清水の戦後の戦災孤児の引受け·教育を、実生活と映画題材の二面において推進していた独自性よりは、メインストリームに倣った題材。中身について半信半疑だったが、他の傑作に劣らない驚くべき作品に映った。
 これはまずい、初期サイレント期はまだ隙を突けるが、それ以降なんでも良くなってきてて、判断能力を失ってきた証しではないか。そういえば、大分前観た、大映期の始めの方は確かに凡庸だった。それで確認の必要があるかも。折からの『人情馬鹿』を再見か、再々見だろうか、観る。外での2人の離れた横フォロー移動からいつしか斜めに近づき、横切り逆向き横フォローへとか、アパート内階段を上がってく斜めフォローから上がりきり逆向きに廊下歩くフォローへ、という長い直線的カメラ移動のこの作家の面目躍如の対称形大移動らがあるが、グレー面積広い屋内を、キッチリ切り返し·90°変·縦図·長めFIXめ(大きく広く廻るのも)らで仕切り、自分との結婚に向けその貢ぎに、手付け金と売り物をその資金にして逮捕のバイクのセールスマン本人より、その老母に肩入れし、「無関係」なのに「本物となる事をやり抜く」決意で、検事に聞いての、詐欺にかかった9人全員な、気っ風·度胸と人の良さで、借用書に書換えさせ、起訴を免れさす、という主役らの意気込みと豪華脇の味わいの方が、あるべき映画的社会的主題より見ものの作で、どの作家にもバラツキはある、を確かに露呈もさせてる。それをまだ見極められる、とまた安心す。

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