曲にしても文章にしても風貌にしても 辻仁成のあの曖昧過ぎる美意識はどうも好きになれない事には変わりないけど…
あの"大根"…いや"闘魂"芝居の猪木だけでも 一見の価値はあるはず…

うーん
受け入れる事と引きずる事って どこまでも同意義で どう解釈したって特段変わりもないし 必ずしも時間が解決してくれないのもまた人生なんかな
父親のあらゆる存在意義を どれも半分ずつくらいしか知らない自分としては 燃える男の 強さにも弱さにも優しさにも哀しさにも その全ての要素に ちょっと安堵できたりしたんだけどね

アントニオ猪木の映画。映画としてはかなりダメな作品なのだけど、アントニオ猪木がそこにいるだけで貴重。だから、アントニオ猪木の映画。その価値だけで3.0点。映画としては1点台。

全く演技をしないアントニオ猪木。「こらーーー！」は「元気ですかーーーー！」だし。あとは子供にプロレスを教えてる。演技というよりはプロレスラーとしてのアントニオ猪木の延長線。ただ、それだけで十分価値がある。アントニオ猪木をみる映画。

ただ、映画としては全くダメ。テーマもストーリーも陳腐。アラだらけ。衣装すらわざとらしすぎてダメ。辻仁成って作家としても監督としてもダメだよなあ。函館の夜景や花火よりアントニオ猪木の方が存在感があるってどうよ？映画が役者に負けちゃってる。

困惑の一言。
宇多丸さんのアカシア評聞いて死ぬほど笑わせて貰ったあの頃からいつか見たいとは思ってたけれど。
同時に見たらいけない気もしていて、で、案の定見てしまったらもう見ていなかったあの頃には戻れないほどの衝撃だった。
何故このようなものが生み落とされてしまったのか、困惑...。
見終わって静かにテレビの画面を消した後色んなもやもやぐるぐるを抱えつつ再びレビュー聞いてみたらその全てを宇多丸さんが代弁してくれていて凄い人だ...と改めて思った。

常に「元気ですかーっ」のノリで演技をし強靱すぎる体で静かに微笑むアントニオ猪木は凄く微笑ましくてかっこ良かった。グラントリノのイーストウッドやベストキッドのミヤギさんみたいな。
確かに「む、むぐぉむぐっぐふうぅぅんふぅん（慟哭）」とか「タクローッタクローッ」とか「タクロウあれはけんかじゃないんだよ」のシーンには吹き出してしまったけれど。
でもこれ猪木さんのせいではなくない？
とにかく全力で体当たりする猪木さんのどすこい演技可愛いなあって思うことで何とか見ていたら、最後何故かいつのまにかそのどすこいが昇華され純然たるただのどすこいどすこいになったので夜中に見たということもありただただパニックに。
何これ何このラストって困惑している所に呪怨白い老女的な急なブラックアウト。
ブツッと切れた画面にただただナニコレェ...こ、怖い...という気持ちだった。
とにかく大魔神の元奥さんが出てくるシーン全部怖かった。
特に急に始まるお料理シーン。
さっきまで死んだ顔で重たい話してたのに急に明るい音楽明るいテンションギラギラの笑顔で生肉をまな板に叩きつけコネ包丁の背で叩きつぶしってシーンになるからえ？時間軸戻ったの？楽しかったあの頃？って思ったら普通に地続きだったり。
腹話術の人形いくら何でも肌身離さずすぎ問題やしょんぼりおじさん病みすぎ問題とかもなんだかもう。
取りあえずいじめっ子の台詞が基本「Tｼｬﾂやぶかせろ」ってのはどういうことなんだ。
何だか超体験だった。

• #2017!