WOWOW録画鑑賞
【ライフwithシネマ：フランスの名匠アンリ＝ジョルジュ・クルーゾー】

“私に似ている部分が多い。女には縁のないところがね”
〜アントワーヌ警部

レストア版で初鑑賞｡
『恐怖の報酬』（1953）
『密告』（1943）の次に鑑賞｡
前作に比べて戦後の明るい雰囲気、音楽、歌声など開放感を感じてより一層面白かった｡

フランスのサスペンス映画の巨匠アンリ＝ジョルジュ・クルーゾー監督が戦後最初に発表し、第8回ヴェネチア国際映画祭で監督賞に輝いて映画界への復帰を飾ったサスペンス・ドラマ｡

第8回ヴェネツィア国際映画祭・監督賞受賞

原題　『Quai des Orfèvres』

1947年仏作品モノクロ（レストア版）
監督・脚本　アンリ＝ジョルジュ・クルーゾー
脚本　ジャン・フェリー
原作　スタニスラス＝アンドレ・ステーマン　『犯罪河岸』
音楽　フランシス・ロペス
撮影　アルマン・ティラール
出演　シュジー・ドレール　ベルナール・ブリエ　ルイ・ジューヴェ　シモーヌ・ルナン　シャルル・デュラン　

翻訳者　西谷弘

（WOWOW番組内容より）
パリの下町｡年下の若い流行歌手ジェニー（ドレール）と結婚し、彼女のピアノ伴奏を務める夫のモーリス（ブリエ）｡色気たっぷりのジェニーが誰かと浮気するのではと、心配性のモーリスは気が気でなく、2人の間には夫婦喧嘩が絶えない｡ジェニーが自分を売りこむべく、好色で金持ちの老人ブリニヨン（デュラン）に接触していることを知ったモーリスは、拳銃を持って2人の密会現場へ駆けつけるが、そこで彼が目にしたのは何者かに殺されたブリニヨンの死体だった……｡

（解説　Wikipediaより）
ナチスドイツ占領下にあった戦中のフランスで製作・発表された映画『密告』（1943年）で対独協力を疑われ、沈黙を余儀なくされたクルーゾー監督が、ジャン・コクトーらの支援を受けて映画界に復帰し、戦後最初に発表した監督作品｡
また、クルーゾーにとって単独長編監督第1作である『犯人は21番に住む』（1942年）などと同様、スタニスラス＝アンドレ・ステーマンの推理小説『犯罪河岸』（1942年）を原作としたサスペンス作品｡


前作と比べると戦後の自由な空気、音楽と歌が頻繁に出てくる明るさが非常に印象的｡
そして長らく映画を撮れなかったクルーゾー監督の喜びも感じ取れるよう｡

前半は、登場人物たちの関係や性格が丁寧に描かれ、後半は殺人事件を捜査するアントワーヌ警部の地道な捜査を描く｡

アントワーヌ警部役に、ルイ・ジューヴェ｡植民地で兵隊だったアントワーヌは、寄宿舎に入っている一人息子と2人家族｡
彼の聞き込みや尋問など、ベテランの手腕と彼が相手の懐に入るところは刑事コロンボを思わせるキャラクター｡（こちらが先だが）
この主人公でシリーズ化できそう⁈
警察署での尋問・取り調べ・面通しシーンは、今なら”人権侵害“でアウトな場面は時代を感じる｡

それ以外の登場人物、歌手ジェニーと嫉妬深い夫モーリス、その幼馴染で写真家のドラなどの人物描写もしっかり描かれストーリーに入り込める｡

印象的なシーン
・モーリス&ジェニー夫妻が絶えず夫婦喧嘩の日常｡しかしお互い愛し合っている｡

・モーリスのアリバイ作りと、綻びに気づくアントワーヌ警部｡

・モーリスの幼馴染、写真家ドラ役シモーヌ・ルナンの美しさ｡
<DORA>の文字のセーターも愛くるしい｡
モーリスに少し気があるようだが、ジェニーも大好き｡彼女のために大胆な行動も…
アントワーヌ警部がドラに言うセリフ｡

“私に似ている部分が多い。女には縁のないところがね”

終盤、アントワーヌとドラが結ばれる？
と勝手に予想していたが…

・鏡や影を効果的に使用｡
「エデン」での踊り子たちの脚を上げる動きが客席の壁に映る影｡
大きな横長の鏡に映る楽屋に移動するモーリスと踊り子たちの踊る姿｡

・帰宅したドラがジェニー宅へ行こうとするが、カーテン越しに映る2人の姿を見て止める｡

・小物の使い方
モーリス宅を訪れたアントワーヌ警部が、殺されたブリニヨンの住所を書いたメモと知らずに、タバコに火をつける｡

アントワーヌの息子が可愛らしいハーフでアントワーヌの過去を想像した…

観られるなら、レストア版がオススメ‼️


【忘備録】
キャスト
・アントワーヌ　
Chief Inspector Antoine
ルイ・ジューヴェ
- ブリニヨン殺しを担当する警部。

・ジェニー　Jenny Lamour
シュジー・ドレール
- 流行歌手。

・モーリス　Maurice
ベルナール・ブリエ
- ジェニーの嫉妬深い夫。ピアノ弾き。

・ドラ　Dora
シモーヌ・ルナン
- モーリスの幼なじみ。写真家。

・ブリニヨン　Brignon
シャルル・デュラン
- 好色な老実業家。

・エミール　Taxi Driver
ピエール・ラルケ
- タクシー運転手。

・パケレット　
An employee of Martineau
ジャンヌ・フュジエ＝ジール
- 「エデン」のクローク係。

・ポーロ:
ロベール・ダーバン
- 自動車泥棒。

・A demimonde
クローディーヌ・デュピュイ

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戦後のパリの下町で起きたある殺人を巡り、モノクロによる陰影で緊張感を高める映像、緻密な計算に基づく推理ドラマながら、そこに終始しない人間ドラマが素晴らしい、愛のある物語。

音楽にまつわる作品らしく、明るい音、歌、踊り、サーカス、マジックなどが繰り広げる華やかさを持ちつつ、サスペンスによる陰のあるシーンとの対比が見事。

本作を格上げしている要素として大きく起因しているが、名優ルイ・ジューヴェが存在感のある刑事役で出演し、容疑者たちを捜査、駆け引きが非常に見応えがある逸品。

ヴェネツィア映画祭監督賞。

【ヴェネツィア映画祭映画】最低限みておくべきヨーロッパ映画10作品
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マフラー

ピアノ伴奏者と歌手の夫婦モーリスとジェニー
ある日、妻ジェニーが友人の女カメラマン、ドラに撮影を依頼していると、富豪の老人がジェニーに目をつける
それを知ったモーリスはその老人の家へと乗り込むが、老人は死体となっており……

誰か嘘をついている

嫉妬がスゴい

ミステリー
犯人は分かりますが、終盤は二転三転して楽しめます
最後も意味ありげでした

捜査

みんな警察が嫌い
面通しがちょいと問題あり

音楽も印象的

俳優陣がそれぞれ良かったです