初見は中坊の30数年前に池袋の文芸坐でオールナイト鑑賞し、その後も病的に観たくなりちょくちょくレンタル鑑賞。

最近 また発作が出たので、面倒臭くなって今回円盤購入。
久々の鑑賞～。

調べれば直ぐに色々な逸話が出て来る超有名B級映画なので 文法力無い自分の記述は控えるが、今に至る映画や漫画、小説等の媒体における バイオレンス型カタルシス系リベンジ物の先駆け的作品。

その作風と何とも言えない全体的な雰囲気は、何年経っても何度観ても個人的には最高の映画～！
ほんと、カッコいい！！👍️

『タクシードライバー』やタランティーノファンの方は観てみるのも一興。
でも、今の過剰演出な作品とは比べ無いでね～。

このジャケポスター、今も実家の部屋に貼ってまります～☺️

…なんだかこの映画観たら、後年の2人の競演作の『スペース・カウボーイ』も久々に観たくなった～😁

記録用
ジョン・フリン監督作品。
ポール・シュレイダー脚本。
ヘイウッド・グールド脚本。

70年代ベトナム帰還兵のPTSDを扱ったニューシネマのカルト作品。

タランティーノの立ち上げたカルト映画の保存と上映を行うレーベルはこの作品に自身の映画人生に明確に影響を与えたいうことで「ローリングサンダーピクチャーズ」と名付けられている。

タランティーノが好きということでジャンルとしては復讐もの。
ポールシュレイダー脚本であり「タクシードライバー」直後に書き始めた作品であり共通点なども込みで異母兄弟のような作品と言えるだろう。

あまりにもオリジナルはポールシュレイダー汁が出過ぎていたためヘイウッド・グールドによりソフトに書き換えられている。

この変更は賛否ありポールシュレイダーの暗黒的なオリジナル脚本がそのまま採用されていれば「タクシードライバー」に並ぶ名作になっていたかもしれないと良く言われるがこちらも負けず劣らずの名作。

ベトナム戦争から帰還し捕虜として捉えられ数年間毎日続く拷問に耐え帰国したが
息子は父親の記憶は幼なかったため無くて妻も寝取られて新しいボーイフレンドと再婚予定。
息子もそちらを父親のように思っており間男も図々しく主人公を厄介に思っている。
帰国したこと状況に困り泣く妻に無表情で対応する。

心は完全にベトナム戦争で破壊され家庭の不和など数々の仕打ちに対しても表には出ない。
そうすることで拷問をマゾヒズムな意識改革により自身で魂の自害を行い耐えてきたのだ。
ここまででもポールシュレイダー節爆裂なのだがさらに主人公の州から貰った金貨を狙い暴徒が押し寄せる。

目の前で息子と妻は殺害、自身はディスポーザーへ手を巻き込まれ切断。
男は無くした手をかぎ爪の義手に変え、静かに復讐に身を投じて行くのであった、、。

ポールシュレイダーのカルヴァン主義的な自縄自縛のマゾヒズムに主題が構成され捕虜時代の苦痛をアイデンティティに変え生き抜き日常に戻ることができず復讐に生きることで己を取り戻す暗く被虐性な物語であるが

ジョン・フリン監督の手腕により後半は銃撃戦などでランボーなどと同じように娯楽性、カタルシスをもたらす復讐ものへジャンル映画として帰結している点が良いバランスになっている。

タランティーノの「キルビル」や「イングロリアスバスターズ」や片腕でいうと「狂い咲きサンダーロード」への影響を与えていそうだ。
「タクシードライバー」とセットで是非とも観ていただきたいが
社会的疎外感や被虐性、暴力性への連結が自己救済へ繋がる点は同じだが「タクシードライバー」は社会への怒りを解放していくが今作はよりパーソナルで内省的で虚無感がある。

タクシードライバーの方がアート感がありよりシネマティックで社会的でもあるため評価は高いがこちらもこれはこれで大変良作。
劇場で鑑賞できて良かったです😉

　新宿ハードコア傑作選に一週休んで再合流。1973年、ベトナムの捕虜収容所で7年間を過ごした空軍少佐チャールズ・レイン（ウィリアム・ディヴェイン）が、陸軍の相棒ジョニー・ヴォーデン軍曹（若きトミー・リー・ジョーンズ）と共にテキサス州サンアントニオに帰還する。いわば呼ばれていない放蕩息子の帰還である。ヒーローではない2人はヒーロー視される事実に戸惑う。かくして式典では、拘束1日につき1ドルの「銀貨2,555枚」とキャデラックが贈られるが、家庭はすでに崩壊していた。7年の空白期間に妻ジャネットには新しいカレシが出来、幼い頃に離れてしまった息子は父の顔をまったく覚えていない。然しながらレインはその様子に怒りを見せず、収容所で身につけたストイックな規律でひたすら禁欲的に暮らす。彼にIDブレスレットを送り続けていた女性リンダ（リンダ・ヘインズ）が熱心に近づくが、レインは反応できない。冒頭の10数分の場面で、主人公が既に去勢された人間であることが明示される。ベトナムでの生々しい拷問は、彼自身を不具にさせるにはテキメンであった。一度は死んだ人間として処理された退役軍人の地獄を、脚本家のポール・シュレイダーは見事に描き切っている。やがて自宅に四人組の国境地帯の無法者たちが押し入り、銀貨を狙ってレインの右手を生ごみ処理機に押し込み粉砕、息子と妻を殺害する。レインは義手の「フック」を装着し、ソードオフ・ショットガンを用意して復讐へと向かう。

　いかにもアメリカン・ニュー・シネマのダーティ・ヒーローの復讐譚である。リンダに恋心など微塵もないのだが、女の色仕掛けが必要だからという短絡的な理由でレインはリンダを「ここではないどこか」へと誘う。それが私にはあまりにも切なかった。ベトナムから持ち帰った見えない欠損が「見える」傷へと反転した瞬間、復讐はカタルシスというより、彼が世界と再接続する唯一の回路として描かれる。最後の銃撃戦で彼らが軍服に戻るのは、私的復讐を「制度の記憶」へと擬装する身振りであり、ポール・シュレイダーならではの英雄譚と狂気の線引きを曖昧にする。ポール・シュレイダーが『タクシー・ドライバー』のトラヴィスに狂気的に思い入れていたのは明らかだが、脚本の初稿ではあのトラヴィスとレインが同じ世界線に登場したのである。一度も発砲していないも関わらず、英雄視されたテキサスの「ホワイト・トラッシュ」のレイシストは、捻じれた思想の中で復讐譚という狂乱へと歩みを進める。これが職人監督ジョン・フリンではなく、ポール・シュレイダーが監督していたなら、あまりにも危険な思想に収拾がつかなかった恐れもある。結果的にファシスト映画になってしまったとシュレイダーは後年語ったが、今でも忘れられない70年代アメリカ映画の名作である。あのクエンティン・タランティーノの生涯ベストのうちの1本として知られる隠れた名作となった。義手の「フック」を装着したレインの暴走は、シネマート新宿で今週末から公開される『狂い咲きサンダーロード』の仁にも見事に襷を渡す。