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赤軍派-PFLP 世界戦争宣言

『赤軍派-PFLP 世界戦争宣言』に投稿された感想・評価

dita

ditaの感想・評価

3.0
@シネ・ヌーヴォ   

良い悪いは別にして、強い意志と思想を知ろうと一生懸命耳を傾けても言葉がすり抜けてしまうのは何故だろうと考えるに、わたしは個より思想が勝つ人を信頼出来ないからだと思った。重信房子のインタビューとかめっちゃ真剣に聞いたけど、言っていることはわかっても何を言いたいのかが全然読み取れなかった。「例えば…」が多いのは思想が個人の思いについていけてないからなのではと思ったけど、咀嚼するにはわたしの知識が足りないと思うので実録・連合赤軍も観る。
伝説的ドキュメンタリーをリバイバルで初見、タイトルのグループの日常や活動への潜入映像を、勧誘メッセージ仕立てに編集した1時間強で、観ていくうちに思考が停止した、プロパガンダまみれの帝国主義&シオニズムの打倒を掲げた活動紹介も、結局は戦時中の国策プロパガンダ映画調になる皮肉ったらない
「ドキュメンタリー」が嫌いである。
「ドキュメンタリー」という言葉は、一見してそれが「真実」の様に受け取られる危うさを持っている。その前提の中で、監督・制作者の「目線」により構図が作られているという事が見え難い。結論ありきで作られているものがある。逆引きの「証拠探し」である。

ジガ・ヴェルトフの昔から、いやレニ・リーフェンシュタールの昔からこの「ドキュメンタリー」は映像を恣意的に切り取り「編集」をし、時に時系列を前後させたりしながら巧みに見るものを監督の意図した「真実」に着地させる。
それが気持ち悪い。「事実」と「真実」は違う。

どんな映像であっても、撮り手のカメラワーク、編集者のカッティング、字幕、音楽、それらが入る時点で本当の意味でのドキュメンタリーはない。
作者の明確な「意図」が存在している限り、それは現実ではあるが「事実」ではないという一点でドキュメンタリーではないのだ。
「赤軍派-PFLP 世界戦争宣言」は、こういう点において(特に意図が失敗している点で)ドキュメンタリーである。
重信房子が延々と語る言葉の空疎さ、現実みの無さこそがこれが革命のための革命運動である事を如実に描き出す。
理論武装の為の理論武装みたいな言葉が、気が付いたらパレスチナにいちゃった感がある。自分の抑圧された心理を外化する方法が武装という。

本作では風景と重信房子のインタビューが延々と続く。
パレスチナの状況、軍事訓練、そして今となっては意味不明な重信の「思想」でできた本作は出来の悪いアジ・フィルムである。
作中、何度も「武装闘争とは 最高のプロパガンダである」とテロップが出てくる。「新宿泥棒日記」なんかと同じ手法である。
映されているのはパレスチナ解放戦線の兵士が銃の手入れや訓練をしている姿。それと国内の赤軍派結成記念集会が交互に出てくる。
両者を一緒にしてしまう心性の呑気さは、やはりどうしようもないのだが、実際にこの映画がプロパガンダとなり、「連赤」入りしてあさま山荘で総括という名のリンチを受けて死んだ女の子もいるという。パレスチナに渡り、テルアビブ空港乱射事件(リッダ闘争)を行った者もいた。
この空港乱射事件は一般人が標的とされる初めての「テロ」事件と言われる(その後、映画「ミュンヘン」の「黒い九月」事件が起る)。
映画は戦争へと人を突き動かす道具になりうる。それはこのウクライナ紛争の経緯を見てきた皆さんには分かるはずだ。

若松孝二は当初「何か金になりそう」と考え、足立正生は純粋に思想共闘のためにパレスチナに渡ったという。
ここには大学出のインテリ(足立)と、ヤクザ崩れの映画屋(若松)との決定的な思想的乖離がある。それでいて「反権力」という旗印で両者は一致しているという不思議な構図。
結局、足立はその後パレスチナで主にプロパガンダフィルムを作りつつPFLPを支援していく。自分の「映画」という武器で戦線に残ったわけだ。
若松は日本にもどり「世界戦争宣言」の上映活動をしてシンパを募っていく。その一方でピンク映画を撮り続け、収益も恐らく支援物資になっただろう。
今で言うなら彼は、戦争犯罪者である。裸と戦争は、「反権力」で繋がっているのだ。
そしてイスラエルとパレスチナの問題は、実は日本と地続きの問題であった。
重信の帰国で解散した赤軍派が共闘していた事だけを見ても、無関係ではない。事実として知っておく事ではあろう。
そういう人のシンパも映画界には今も沢山いる。ハラスメントを取沙汰される人達は、この映画界の中の「総括」体質の中で育ってきたのである。
映画と人は勿論、別のものだ。作品は作品だ。ただしドキュメンタリー(及びそれに近しい表現を持つ劇映画)は、作者と連関している。

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