これはあくまで憶測に過ぎないが、冒頭で流れる「Brand New Day」は、白人ミュージシャンのアル・クーパーが黒人のソウルバンド(The Staple Singers)に提供した楽曲であり、人種を超えたコラボレーションとも取れる。しかし、それ以降は単独で曲を使用し始める点が興味深い。本編の肝となる気まぐれに一夜の関係と妊娠した子供の出産、里親を望むファニーとの隔たり、そしてラストでエルガーが子どもを育てる決意をする場面では、ソウルミュージックの歌詞と映像があざといぐらいシンクロしており、編集の巧みさが際立っている。アメリカン・ニューシネマの隠れた名作と言えるのではないだろうか。
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The Staple Singers God bless the children
God bless the children 神よ 子供たちを守りたまえ
God bless the children この手の中から 離さぬように
So many times I’ve heard this phrase 幾度となく聞いた言葉
That trouble it won’t last always 苦しみは続かないと
I’m not saying this phrase is wrong その言葉が間違いだとは思わない
But I’m wondering why it has to last so long ただ なぜこんなにも長く続くのか
I see a newborn baby 産まれたばかりの赤ん坊が
In a proud mother’s arms 誇らしげな母の腕の中にいる
Then to think of all the countries that now have them けれど 戦火に奪われる命を思うと