ダークホース リア獣エイブの恋の作品情報・感想・評価

「ダークホース リア獣エイブの恋」に投稿された感想・評価

勝手に邦題で「俺もまだ本気出してないだけ」と邦画に被せてみたりリア獣とか言ったりするのはどうかと思うが、ちょっと内容思い出せなくて気になるので、もう一度見てみたさがある。

このレビューはネタバレを含みます

 主人公のエイブは感情移入の余地が無い真性のダメ男ではない。なぜ自分が今のような状況に陥ったのか薄々気づいているが、今更自分ではどうしようもなくなっているのだ。前半部分では彼のそんな「ダメな部分」をコミカルに描いていく。ここら辺の笑いのセンスはまあまあといった所だろう。
 だが開始直後から登場する生気のない女ミランダの存在が、物語にソロンズ特有の重苦しいエッセンスを加えている。彼女がどうしたいのか、エイブにも観客にも分からない。この謎めいた要素が前半部分のミソなのだが、正直言って前半部分はこれだけで保っているに等しい。全体が持つけだるい雰囲気があまりにも強くて時折いらつきを覚えるほどだ。
 だがほんの少し我慢して、ミランダが自身の秘密を明かせばソロンズ・ワールドの始まりである。実を言うと彼女の秘密は常軌を逸したものではない。非常に稀だが、誰にでもあり得る。しかし何の危機感も無く、他人から気を使われて成長し続けたエイブは初めて人生の危機と言えるものに直面する。現実なのか夢なのか、まったくシームレスにつながれるから訳が分からなくなってくる。この日常生活に差し込まれた狂気のバランスが非常に見事で、よくあるコメディ映画が、いつのまにか人間のエゴイズムをえぐり出す「イヤな映画」に変貌している。(と言いつつ、私はその「イヤな」部分が素晴らしいと思ったが)
 ここまでの独特な空気感を作り出せたのは役者たちの絶妙な演技のおかげだ。誰もが初めは大げさなキャラクターなのに、次第に人間味を帯びていく様は酷くリアルだ。クリストファー・ウォーケンやミア・ファローといった重鎮たちは文句無しだ。2人はエイブの両親を演じるのだが、父親のジャッキーは愛しているが故に息子に厳しく接しようとする。母親は反対にエイブにどこまでも甘く、30代半ばを過ぎた息子と今でも仲良くバックギャモンをしている。だがどちらの顔にも疲れが見て取れる。誰もがエイブのために動いているのに、エイブは変わろうとしないからだ。
 ジャッキーの会社で働くマリーは、“エイブの妄想では”二面性がある。この正反対の「現実」と「妄想」のマリーをドナ・マーフィが好演。なぜ彼女がエイブをそこまで気にかけるのか具体的には分からないが、そこに説得力を与えたのは彼女だろう。
 しかしミランダを演じたセルマ・ブレアは最初から最後まで陰気くさいしゃべり方ばかりだ。こっちまで気が滅入る。元カレとの関係も消化不良だし、そもそも「エイブのことが好きじゃない」というより「何も考えていない」ように見える。

 しかし何と言ってもエイブ役のジョーダン・ゲルバーがベストだ。どこまでも自己中心的で救いようの無い男なのに、嫌悪感というより哀れみを感じさせる。この境界線ギリギリの演技がユーモアとアイロニーのスレスレを行くこの映画に直結しているのだ。
 だから終盤で迎える彼の結末(本当に急展開)はあまりにも悲しい。彼は多くの人に愛されていたのに、その事実に気づくのがあまりにも遅すぎた。こんなに皮肉的な(そして愛情に満ちた)シーンはお目にかかれない。
 トッド・ソロンズにしては甘めの展開ではないだろうか。だがここで終わらせないのがソロンズ流だ。エンディングでは本当に皮肉な結末が待っている。エイブが居ようと居まいと、何も変わりはしない。確かに彼は愛されてはいた。だが誰もが知る通り、誰からも必要とされていなかったのだ。
(13年3月21日 映画館 4点)
たたみ

たたみの感想・評価

3.0
夢も救いもない。期待通りの一本。であるが、途中どこまでが妄想でどこまでが現実なのか分からない夢幻な演出が挟まっていたのは近年の監督作の中では新しい試み。
なぜトイザらスにモザイク?!と思った
エイブの部屋にシンプソンズのフィギュアとかDVDとかグレムリンいっぱいあった。
俳優の名前の並べ替えでエイブがひとり答えてるシーンで笑った。
泣きましたね。

コンプレックスを最大のテーマにしながら行き着く先は家族の愛。

ラストシーンがほんとに美しい。
この世に望まれていない人は居ない、という監督からのメッセージにジンワリと感動が広がっていきます。
R

Rの感想・評価

4.3
死ぬほどイケてない太っちょハゲのエイブが不器用な恋をするコメディということで、まぁ相当間抜けで笑える、テンポのいい映画なのだろうと思って見はじめたら、期待とまったく違って驚いた! まず、ペースがものすごく淡々としてるし、映像も人物とカメラの距離感がどことなく居心地悪い。音楽もほとんどなく、流れるときはものすごくイジワルな使い方で、そのあとの音楽のなさを強調するかのよう。どっちかと言うとシュールなヨーロッパ映画みたいな雰囲気。エイブが友だちの結婚式で、そこそこ美人な女に声をかけて、全然興味なさそうなのに気づかず、ゴリ押しで電話番号をゲット。で約束を取りつけ、彼女の家に遊びに行って、突如プロポーズするという凶行に。ひいいいい、それはさすがにヤバくね?と思って見てるんやけど、この女が恋にやぶれたばかりのメンヘラで、支えを必要としており、ゆえにエイブに傾いていく。こいつぁ奇跡のような話だなぁと思ってると、実はその子はとんでもなく重大な秘密を抱えていたのだった…!という話が、粛々と展開。一応コメディはコメディなのだが、ちょー毒気の効いたダークユーモアが、突発的にサラッとかまされる感じなんで、一瞬ブハハハハ!!!と爆笑しては瞬時に収まる、というのが何発か来て、すごい変わってるなー、と思って見てると、話が進むにしたがって、おかしくはあるが全然笑えないギョッとする感じになっていって、終盤はOMG、OMG、の連続。ヒドイ…ヒドスギル…けど、ほんとにウダツのあがらない人の人生とは、リアルにこんな感じなのかもしれないと思ったりすした。オンラインでネガティビティを撒き散らしてる人たちの人生とは、まさにこんな感じなんじゃないか。自分の人生に対して若いうちは期待を持ってたんやけど、全てがそれを裏切っていき、いいこと何にもない、コテンパン、でも自分のせいではないと思い込み、憤りに支配され、いよいよ運命に突き放されて、絶望し……。オレの人生とは、一体何だったんだ? って。ものすごく強烈、かつ辛辣。終盤のトイストアのシーンとか、ほんと見ててすごい気分になるよ。うええええ。皆様も、是非。おとんを演じるクリストファーウォーケンのヅラと無表情がサイコーにサイコーに面白いし、おかんは、誰やっけこのお婆さん? と思ってエンドクレジットで驚き。このふたりが脇で、楽しみが何もない結婚人生を見事に体現してて、すばらしい。どこの国でも問題は同じだね。そして、同僚のオバさん! コイツはキャラとしてはハート撃ち抜かれたわ! こういう人知ってる!笑 最後の最後まで一貫して、おもしろい! 残酷! リアル! いやー返すまでにもう一回見たいかも。
希望がありそでなさそだったり
予想通りで面白かったり
予想を裏切ってきて驚きがあったり
そういうさじ加減が絶妙
santasan

santasanの感想・評価

3.1

このレビューはネタバレを含みます

甘やかされたまま中年まで来たオタク男。普通だったらその成長やそれでもいいところを描くんだろうが、結局どうにもならなかった結末を描く。最後は夢と現実が交差し後味が悪くならないように終わらせた感が…。
全米が愛想尽かした❕

うーん、笑いどころがいまいちわからなかった。35にしてパラサイトのエイブ。父の会社に所属。仕事中にオークションでフィギュアを物色し他人に尻拭いをさせ、母にこっそりお金をたかる。

非モテに恋の予感到来❕通常ならそれを通しての成長物語だけど、現実はこうだよねって言ってしまったような話。自分を客観視できない言動(まさかの虚栄心から?)、ティーン女子向けっぽい着信音、他人を平気で攻撃するなどなど痛々しすぎて見てられない。

しかしこれリアルでそっくりな人を見たことがあって…。あまりの再現率の高さに脱帽。もうさすがに笑えないっす。アメリカンアイドルのところとかただ静かにドン引き。
コメディなのか何なのかいまいちつかめなかった。
riekon

riekonの感想・評価

2.0
あれ?全然笑えなかった。
主人公のすぐキレたり人のせいにしたりのダメ息子ぶりにイライラするわ。
彼が彼女と出会ってダメ息子が変わるわけでもなくあの終わり方に驚きましたよ。
T.ソロンズのイタいだけじゃなくてイタ可笑しい作品が観たいな。
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