“愛の顔が見える。”

若者を惨殺し死刑判決となったマシュー（ショーン・ペン）と、最後の時までマシューのそばで魂を救済することを決めたシスターのヘレン（スーザン・サランドン）。死刑制度という白黒がつけられない制度について中立の目線で考えさせてくれる作品。

“マンチェスター・バイザ・シー”を初めて見た時の印象と似ている。この映画はなにか結論を導きたいわけではなく、“結論が導きだせない”ことを導き出している。この世の沢山の事は立場や考えによって一つの結論にならない事が多い。死刑制度はその最たる例だろう。

スーザン・サランドンはこの映画でアカデミー主演女優賞を受賞、ショーン・ペンはベルリン国際映画祭の男優賞を受賞している。二人の言葉ではなく表情や目で訴えかける演技は必見。“デッドマン・ウォーキング”とは死刑囚が死刑台に移動する際の呼び名。これを観た後でも個人的に死刑制度の白黒はつけられないでいる。

シスターのスーザン・サランドンと死刑囚のショーン・ペンの演技が凄かった。死刑囚なのに最後まで家族仲が良好だったのが珍しいケースで、家族で談笑するシーンが良かった。死刑囚の弟役にジャック・ブラックが出演していて驚いた。

強姦殺害死刑囚と修道女による心の交流を描いたノン・フィクション・ヒューマンドラマ。　　
スーザン・サランドンが主演、ショーン・ペン、ロバート・プロスキー、ロバータ・マックスウェル、レイモンド・J・バリー、R・リー・アーメイ、シリア・ウェストンらが共演。
監督・脚本は主演のスーザン・サランドンの夫であるティム・ロビンス。　　

カップルが森で二人組の男に強姦されて殺害される。犯人は捕まり、一人は無期懲役、もう一人は死刑を求刑される。無罪を訴えるも死刑判決が下された男（ショーン・ペン）は、黒人街に住むシスター（スーザン・サランドン）に救いを求めて手紙を書く。シスターは戸惑いながらも彼と面会してみると、好きにはなれないが凶悪な殺人犯のイメージとはほど遠い男で、彼は貧しいながらも母親や沢山の弟と仲良く暮らしていた。シスターは死刑囚の赦免や減刑を求めて知事に上申書を出したりウソ発見器を使って弁護士（ロバート・プロスキー）と奔走する…

「俺と夕日を見よう」　
死刑廃止論者のシスター・ヘレン・プレジャンの経験を描いたノン・フィクション作品。
白人にもかかわらず黒人街に住んで貧しい人たちのために活動していたシスターが、死刑判決の下された強姦殺人容疑者から救いを求めた手紙を受け取る。　
ヨハネによる福音書第八章　”真理を知り　真理はあなたがたを自由にする”　
シスターと関係者との対話を通して、死刑囚はもとより、彼の家族や被害者、さらにはシスター自身の生々しい心情や生活を描いている。
加害者の軽はずみな行動が、被害者はもとより、その家族や自分の家族など多くの人たちの人生を狂わせる。
「子供を亡くした両親は7割が離婚する」
最後のガラス越しのシーンは必見で目が離せない。
繊細で重厚なヒューマンドラマが展開する赦しと神の愛を描いた切なくも骨太の作品です。
「愛してる」
（愛してる）　　　

2024.10　NHK BSで鑑賞（プレミアムシネマ・字幕:種市譲二)　
第68回 アカデミー賞で主演女優賞（1996年）
第46回 ベルリン国際映画祭で銀熊賞（1996年）

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