ギャング同士の秘密の暗号、炎が円形に立ち上がる中で男女が絡む、香水フェチ男、せむし男、裸ギターの聾唖スナイパー(大和屋自身)、感電する中国人(ピアノが弾ける)等、大和屋ワールド全開の奇怪なノワール。話は正直よく分からないし「五悪人」が誰を指してるのかも？だがこれが映画。
併映の「引き裂かれたブルーフィルム」も特にラストのスクリーンの向こう側、が最高で16mmで観れて感涙ものであった。

• #tjr2017

広角ショットがすげーカッコ良かった

フィルムセンター改めアーカイブか、ほぼ満席だった。ギリギリに券を求め、ギリギリに席に着いたが、隅の方の席で、それも占拠されてて、空いてる席に移ったが、変な席しかなかった。
若松·清順·ルパンの大きな柱(脚本等)で、監督作もいい大和屋が完全な市民権を得たのか。誰が声を掛ける事なく、自然に満杯に近く人が集まった。また、タランティーノも少し倣えば、まだいい映画が撮れたのに、とも思った(勿論、実際には学んでるんだろうが)。
カラー·パートがかなり損なわれてるにしても(赤いライフルのスコープと目印·地を囲む火柱の青色や、銃撃·格闘のまどろみ感は却っていい所もあるが)、役者も大和屋·港·山本らを揃え存分に光らせた、映画史上の名作、梅澤薫の最高作は、封切時はピンク映画を観れるは先で(観てたが)·何も知らなかったが、1987年に伝説のレンタルV屋『１３号館』の店長に薦められて借りてハッと驚き、その後アテネ·フランセで16ミリ版を観たが、こうして少し破綻はあるが大方滑かな35ミリを観れようとは。
本作に比べれば、タランティーノの映画は贅肉の塊りにも見えてしまう(慎重で·意表狙いで精巧だが)。ここでは、音楽も構図もアクションもキャラも、世界に向き合った土台に振り回されず·自己を信じた通りに、固められ射貫かれる。手前に目立たず人が座ってるのも·ブレて確認出来ぬ手が動いてるのも、天井に仰角で広大めに視界がまさぐり潜む人を当ててくのも、影と闇の関係で説明出来ぬ·固有もスマート·力強い設備が共存する組織のアジト、狭い自室の寝床と身体の絡む有機性も、崖と荒野の場·Lの俯瞰でギターで母を悼む少女や·現金引渡し２群を捉えたり·仰って崖や空バックのヒーロー?納めたりも、の場のフランクで天啓を導いた造り。そこで、角度を変えて女をいたぶり剥ぐ、離れた銃撃は間や切っ掛けを放って瞬く極め合う、それに対し狭め密室のいきなりの·致命傷引き合い格闘や·女への撲殺かと思いきや更に銃撃·らの突発暴力は人や獣の理屈を越えた俊敏·残虐な別次元生物のようであり、血の塊や溜まり現れがそれを証明し、現金の入ったトランクのありかを探り合うミステリー深まるかに見えて、皆対して深慮なく·単純に恨み復讐や·イッキ美狭空間続き逃げ隠れ走りや·威厳を一変捨てての命乞いと恥外聞もないその場見せ物披露、囲むのもゆとりも間抜けな事態認識遅れのパートに留まりの者たち、らが深い映画感覚でストーリーのもっともらしさを振り払ってうごめき、極りかかるが、観てる側もどこまでも安心·拍手·納得からは切り離され続けてく。
絡まる力や層はいつ知れず、深く絡まりより沈んで浸透、抜け口が有るようで無い。初終を締め、世の中の救いのなさを嘆く、清純風ギター少女も、用意周到を自分だけで誇って動いてるワルら、一転して中身や信念の脆弱さを露にしてく様連綿の子悪党ぶりとたいして、内実は変わりない。只、皆あの時代を、真に周りや未来も見えないまま、真っ只中を掻き分け進んでる、表面狡さに従い、内実純粋で決定的な、遊びに満ちた心と見果てぬ何かを求めてく力がある。これはタランティーノに決定的に欠落してたものだ。しかも充分な聡明さを惹き付けている。
ルパン絡みで人が集まったわけでもあるまいが、時間があればいい席でキチンと見直したい。