生きてるだけで周囲の人間を不幸にするマンvsその他大勢の狂人によるサバイバルマッチ、夢の世界に土足で踏み込んでしまった男が引き起こす悲劇のピタゴラスイッチ。思えばゴングが鳴る決定的たる瞬間である焚火の前での出会い、画面手前の燃え盛る炎がまるで彼の身体を地獄の業火で包み込む様にすら見える擬似人体発火は、その後の展開を予測させる物として充分なインパクトを残す。初対面の人間、かつ自分をストーキングしていた男に惚れ手作りクッキーを送る女。黒沢清『クリーピー 偽りの隣人』の実は香川照之より頭おかしい竹内結子の元ネタはこれなのでは…？捨てられた婚約者との殴り合いの末の顔面フルボッコ状態でのお食事会の異様さ、あそこだけ若干コメディめいているが「歯がグラグラする…」とか言うとる場合で無い。見知らぬ所から視線を飛ばしていた男の元には見知らぬ所から銃弾が飛んでくる様になり、他人の世界に土足で踏み込んだ男の世界には他人が土足で踏み込んで来る。そこからのラスト10分に耳の奥がゾクゾクする不快感が残る。負の感情に突き動かされた者達の末路、いや、変な映画だわ本当。

【不運にじわじわ追い詰められて】
パトリシア・ハイスミスの同名小説をクロード・シャブロル監督が撮った鬱エンドの名作。

ストーカー地雷下げチン男性の人生の崩壊を描いた物語です。

いつの間にか覗く者が覗かれ、追うものが追われる立場に変化する。
ゆっくりと立場が逆転して行く不吉な様子が不気味です。
演出が上手くて非常にわくわくしました。

日本版は未DVD化なのが本当に勿体ないです。

フランスではフクロウは不吉の象徴なのでラストカットのフクロウの鳴き声は、きっと主人公がこれから起こす行動で更なる不幸に陥りますよという暗喩なのだと感じました。

今まで誰かを振り回してきた人間が針のむしろに堕ちて行く様を美しく繊細に魅せる名監督！
今まで観たシャブロル監督の作品はどれも外れが無かった。というか私にとって相性が良いのだろうな。
すごく面白かったです。

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シャブロル87年作。
主人公はまともそうに見えて、すぐにある主婦を庭から覗いているやばいやつだということが序盤でわかる。そんな主人公と並ぶかそれ以上の異常な登場人物がいっぱい出てきて笑った。
明らかに変質者なのに惹かれてしまうヒロインも、強烈なビンタをかますシーンも、なかなか気色悪い展開がシャブロル指数高め。サスペンスフルな展開もあるか、それ以上に奇妙な人たちの偏愛、嫉妬、憎悪が交錯しすぎててそこが面白かった。

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