ジム・キャリーの度がすきだ行動を繰り返す頭のおかしい気持ち悪い男役がハマってた。脇役もジャック・ブラックやオーウェン・ウィルソンが出ていたり、映画の小ネタも挟んでいて面白かった。家族でポルノワード当てクイズをやるのはイカれすぎ。

ジム・キャリーの顔芸も身体の動きも、全てが完璧。

完璧にキモくて完璧にヤバい奴をここまで演じ切れるのは、まさに天才の成せる技。

監督はベン・スティラー。
本作はコメディに見せかせたスリラーであり、ジム・キャリーが主演でなければ成立し得ない程に完成度が高い。

恋人と別れ、追い出される様に新しい部屋に引っ越す事になったスティーヴン（マシュー・ブロデリック）。ケーブルテレビを観ようと配線工"ケーブルガイ"を呼ぶが、現れたのは、異常な程親切な上に馴れ馴れしいチップ・ダグラス（ジム・キャリー）だった—— 。

もう、スティーヴンの部屋のインターホンの回数からして異常。ピンポンばり鳴らす！！ヤバい奴が来たと本能が知らせるレベルの異常性。

ジム・キャリー演じるチップの被害者となるスティーヴンを演じるのは、「フェリスはある朝突然に」のマシュー・ブロデリック。公開当時は26歳。いつまでも童顔な印象な彼だけど、今年60歳だなんて。

ケーブルテレビを観る為だけに呼び寄せた筈のケーブルガイが、妙に馴れ馴れしく食事に誘って来たり、仲間内で楽しんでいるバスケの練習に突然参加して来たり…。

もう、ジム・キャリーの怪演よ。
スティーヴンの同僚役でジャック・ブラックが出ているけど、彼の存在感が完全に霞む程にジム・キャリーがジム過ぎるしキャリー過ぎる。

「TVと電話とパソコンは一体化。
　家にいてルーヴル美術館へ。
　ホームショッピング。
　ベトナムの友達とTVゲーム」

1996年当時、チップが声高に叫んだ台詞が全て現代を言い当てていて、ビックリ。

物語はもっとシンプルで。

ただ友達が欲しかったチップ。
ネグレクトに近い子供時代を過ごしていた彼にとって、友達と呼べるのはケーブルテレビだけだった…。

コメディ要素で笑わせて、
スリラー要素で怖がらせ、
友達とは何ぞと問い掛けるメッセージも忘れずに。

これはなかなかバランスの取れた秀作。

今年、俳優業を引退すると表明したジム・キャリー。こんなにも活き活きと演じる彼をもう観れないのは寂しいけど、彼の出演作は一先ず全部観ておいて損はないかと思わせる程に面白い。

• #2022akirunaway

［あらすじ］
恋人と別れて一人暮らしを始めた青年スティーブンは､寂しさをまぎらすためにケーブルＴＶの契約をした。やって来たケーブルガイ(配線工)は妙に馴れなれしく、やたらサービスのいい奴。レストランの接待、恋人との復縁工作…。次第にエスカレートする男の行動に恐怖感を覚えるスティーブン。しかし、時すでに遅く、ケーブルガイの最後の魔の手が…(primeビデオより)


ジム・キャリーの怪演が見所のサイココメディ。馴れ馴れしくて鬱陶しい奇人・チップをジムが安定のオーバーアクトで演じている。異常なほど躍動する表情筋(顔芸)などはそれだけで笑いを誘う。バスケのシーンが一番印象に残ったかな。
友達が欲しすぎるあまりサイコパスになってしまった彼の悲哀なんかも所々に表現されてはいるが、正直あまり重要ではないので気にしなくても良い。ジムの暴走ぶりをただただ眺め楽しむ為の映画だ。

話はチップが何かお節介(嫌がらせ)をする→面倒なことになる→チップが何か～ というのを繰り返すだけなので平凡。ジムの演技が面白いだけで、魅力的なストーリーテリングがあるわけではない。
ベン・スティラー(監督も兼ねている)やジャック・ブラックも出演しているものの、ジム含め彼らの間の絡みはほぼ無かったのが残念。コメディアン同士の掛け合いは見られず。まあ良くも悪くもジム・キャリーの独壇場。

彼が好きなら見てもいいし、興味無いなら見る必要もない、そんな作品。
サイコパスの演技の勉強をしたいという役者には良い参考になるかもしれない。