白人の父と先住民が母である四人家族を通して人種差別と偏見をテーマに描いた西部劇。
エルヴィス・プレスリーやスティーヴ・フォレストらが共演。

1878年、テキサスで牧場を営むバートン家は、白人の父（ジョン・マッキンタイア）と先住民カイオワ族の後妻（ドロレス・デル・リオ）、白人の前妻との息子である長男（スティーヴ・フォレスト）、そしてカイオワ族の後妻との間に生まれた混血の次男ペイサー（エルヴィス・プレスリー）の四人家族。
一家は白人にも先住民にも組せず中立の立場を取ってきたが、両者から偏見の目で見られていた。
知人の白人一家が先住民に襲われ、一家への風当たりはますます強くなるが……

オープニングではエルヴィス・プレスリーが唄う主題歌が流れ、続いて彼がギターを弾きながら歌うシーンで物語が始まり、作品冒頭でエルヴィスの歌を楽しめます。
エルヴィスはもともと黒人街で育ち、歌手デビュー当時は白人のカントリーミュージックに黒人のE＆Bを融合させた音楽を歌っていため、白人の分離主義者達から圧力を受ける一方で、黒人たちからはよく声をかけられ、自分の進むべき道を悩み苦しんでいた。
本作品の次男はまさに彼の半生を投影したかのようで、打って付けの適役です。
バートン家は家族みんな仲が良いのですが、白人に嫁いできた先住民出身の母親は、白人からは軽蔑され、先住民の家族からも冷たくされる。作品中盤で母親が亡くなるが、エルヴィス自身も作品同様に彼の青年期に母親が他界しているのが感慨深い。
一方、混血の次男は、白人からは敵視され、先住民族からは仲間になることを誘われて苦悩する。
混血児であるがゆえに自分の生き方を模索する次男をエルヴィス・プレスリーが好演している。
そんな彼が選んだ道は....
「生きてくれ　いつか偏見のない時代が来るはずだ　戦っている時に死の星が燃えるのを見た！」　

2022.8　NHK BSP で鑑賞（字幕：稲田嵯裕里）

• #誕生パーティー
• #新族長バファロー・ホーン
• #カイオワ族
• #白人の医者

　1878年、テキサス西部の牧場主バートン（ジョン・マッキンタイア）には2人の息子がいた。長男クリント（スティーヴ・フォレスト）は白人の先妻との間に生れ、次男ペイサー（エルヴィス・プレスリー）の母親はカイオワ・インディアン出身の後妻ネディ（ドロレス・デル・リオ）だった。兄のクリントには隣村に美しい婚約者のロスリン（バーバラ・イーデン）がいる。クロントの誕生日を祝おうとロスリンの家族が粋な計らいをしてくれたが翌日、酋長バファロー・ホーンの率いるカイオワ・インディアンに襲撃され、ロスリンの2人の兄が惨殺された。3日後、酋長はバートンを兵士としてリクルートしようと訪ねて来るのだが、ペイサーの心中は複雑だ。当時、押しも押されぬ大スターだったエルヴィス・プレスリーが白人とインディアンの混血という設定も何とも狂っているが、肌の色で友敵関係が決まるというのは西部劇の掟なのだ。ロスリンの一家が襲われた一方、バートンの一家が狙われないただ一つの理由は先住民族の血統がいるか否かである。メイクなのか肌の色をこげ茶に塗ったプレスリーの姿は微笑ましいが、彼は白人とインディアンという自らのアンヴィバレントな出自の間で苦悩し、激しく引き裂かれる。

　村の人々の先住民に仲間を殺された言いようもない怒りや憎悪は、村でただ一人のカイオワ族の末裔の母親ネディと、彼女の血筋をたたえたペイサーに向けられる。この偏見の構図はいつの時代も変わらない普遍性を持つ。木製のあばら家はいかにも貧しくうらぶれた暮らしだが、彼らは家の戸締りだけは厳重にする。正直、ペイサーをリクルートし、この一家を憎悪の渦中に巻き込んだところで大勢や戦果にはほとんど影響もない気がするが、彼らは白人側、インディアン側双方に戦力として求められ、NOと言えば悪果が降りかかる厄介な立場で、ペイサーの苦悩はいかばかりか。だが母親を殺されたペイサーは夜空の星に自らの運命を委ねるのだ。母親の今際の際を現した這う身振りは心底異様でインパクトの強い名場面だが、その後の怒りにまかせたペイサーの一気呵成の銃撃はまさにドン・シーゲルの真骨頂だ。名もなき女性の命を前にしては、敵も味方もへったくれもない。西部劇の根底にある復讐は憎悪とは紙一重で切り離されているが、今作のクライマックスの怒りと理性のパラノイアは母親の死への彼なりの弔いに他ならない。常に人種差別と闘い続けたアメリカの歴史と近年の分断を象徴する様なあちら側とこちら側の構造的物語を、ぶっ飛んだアクションで描き切る。

エルビス・プレスリー主演だから歌う西部劇だと思ったら違ってた・・とても異色な西部劇🎬でした（監督が『ダーティハリー』のドン・シーゲルだからね）


牧場主の父親は長男と先住民の後妻との間に生まれた次男との四人家族で仲良く幸せに暮らしていた。


ある日、長男の友人が先住民に惨殺される事件が起きる・・その日を境に牧場主一家は町の白人の住民たちそして妻の育った先住民たちからの間で心穏やかでなく人種間の争いの渦中の火種になってしまう。

仲良かった家族が崩壊していく・・やるせない切ない作品でした。


冒頭タイトルバックで流れるエルビス・プレスリーの♬『Flaming Star』は流石にご機嫌です。