愛のさすらいの作品情報・感想・評価

「愛のさすらい」に投稿された感想・評価

ベルイマンの世界で右往左往するエリオット・グールドを思い描いていたが、実際見てみるとベルイマンがエリオット・グールド(つまりアメリカ映画)に媚びていた。夫と妻とその妻の愛人、ほぼ三人芝居。展開ごとにころころと変わる感情と行動、不安定な状態(三人の関係)のまま付かず離れずを繰り返し、モチロン誰も救われない。愛しているという言葉の不毛さ、神もいない、無意味な運命。全身毛むくじゃらのグールドと両乳さらけ出して裸で飛び込んでくるビビ・アンデショーンのゴッツイ濡れ場。終盤にちょろっと出てくるグルードの姉(と言い張っているだけかもしれない)の存在が不穏で良かった。
pika

pikaの感想・評価

3.0
ベルイマンのイギリス映画で英語作品だが脚本はベルイマンだしスタッフもキャストもベルイマン組のメンバーなんだけれども全体的にキレがない。
不倫に興じる男女の出会いからベルイマン独特の切り口で描いているが、テーマがテーマだからなのか個人的には苦手な作品だった。

全部見たわけじゃないから何とも言えないけれどもベルイマンの他の代表作と比べると今作は観客の意向に近づけた娯楽作を作りたかったのかな?と少し思ったりするくらい異色な作品だった。なんだか「ちょっと試しに作ってみたい」なんてスタッフ達と飲み会で盛り上がって作り始めたはいいけどシラフになったら「いつもと違うから大変だ」みたいなことになったような。

不倫映画然としたスリルと愛欲をキャラクターの感情表現をすっ飛ばして見せる演出は特に「こういうのお好きでしょ」と言わんばかりな感じがあるが、それにしてもドライな画面ばかり。
いつもと違う道路を走るのは疲れるなぁと通常運転へ戻そうとしたニヒリズムなのか、愚かさと居心地の悪さに満ち満ちて行く後半の展開は、むしろ不倫に溺れ堕ちていくフィルムノワールなんじゃないか!とハッとさせられたが、そんなベタなものでもないし、結局はベルイマンらしいエンディングを迎えるわけなのだけれども、見ていてどこをどう楽しめばいいのかグラグラと主軸が定まらない作品だった。

今作のメインテーマは「愛と責任」なのだろうか、愛ゆえに盲目になった男女と人生の責任という相容れない正反対な感情を描き出すのは面白いが、一人の人間の感情ではなく映画そのものを俯瞰で表現している印象が強いので、不倫なんて良くないし責任はあるべきものだし当たり前だよなと第三者で見ると思ってしまうので、映画的なカタルシスがなくイマイチ面白くはなかった。