『ローズマリーの赤ちゃん』と同年公開のハマーフィルムによるオカルトホラー。ヒッピーの影響でカルト宗教が盛り上がりを見せていた当時の時代背景のもと製作されたオカルト映画の代表的な作品のひとつ。

タイトルが『Devil Rides Out』で『悪魔の出現』になるのだけど、米国の配給会社が勝手に変えちゃったようで、それに対してフィッシャーもリーもボロクソ言ってんのが笑える🤣

ハマーフィルムでドラキュラ、フランケンシュタインの怪物、ミイラ男と悪役を演じてきたクリストファーリーが邪教集団に立ち向かう善玉を演じているのが新鮮。本人もハマーでの出演作品のベストに挙げているほど気に入ってた様子。望めば悪役を演じることもできたようだけど、違う役をやってみたかったらしい。そりゃ悪役ばっかりやってたらそうなりますわね…。

息子のように大事に思っている青年と最近連絡が取れないもんだから、リーと友人の2人で青年の家に突撃訪問したら、内緒で黒魔術やろうとしてるところを見つかって「ヤベ！」ってなる青年と「コラ！」と怒るリーの一悶着が何か微笑ましい。家に入って来るリーを見つけた青年の一瞬「しまった！」ってなる表情も何か可愛い（笑）

この青年は父親がいない＝神の不在状態だから、黒魔術に惹かれていくというオカルト映画では良く見られる雛形のようなものがこの時点で既にできているというのが面白いし、親（代わり）であるリーが青年を黒魔術をやってる邪教集団から取り戻そうとするお話は日本でも他人事ではないから割と普遍的。

「黒魔術の目的は性的な悦楽だ」とフィッシャー監督自身が語っているように、快楽に溺れて自堕落な生活へと堕ちていこうとする青年の姿を悪として捉えて、「黒魔術に手を出そうとする人への警告だ」という原作者デニスホイートリーの言葉通り、そういった快楽に堕ちていこうとする人たちへの警告として本作は機能している。親という神の不在（もしくは親の愛情不足）をそのひとつの要因として描き、そんな若者を周りの大人が導く必要性を説く。そして、一度踏み入れた快楽の誘惑が如何に強烈かということを物語全体を通して語っている。

そんな黒魔術集団のトップであるモカタを演じるチャールズグレイの演技が本作の説得力を何倍にも増幅してる。正面玄関から何の苦もなく家の中に侵入し、こちら側の領域である家の支配関係を涼しい顔をして逆転させていく。表情と眼力が正対した者に与える「蛇に睨まれた蛙」的な凄みと絶望感は、どこに転んでも敗北しか見えないほどの凄まじいパワー。明確には語られないけれど、家の深部に入り込むにあたって許可を得なければならないのはドラキュラと同様で、悪がいかにして心の中に入って来るのかということを暗喩的に描いている。

不自然な静けさと煌びやかな装飾のアンバランスさがもたらす違和感の演出が面白いし、一瞬でフロントガラスが曇りガラスのように変化する特殊効果にも力が入ってる。出てくる悪魔は三種類いて、最初に出てくるニヤけた黒人悪魔には笑っちゃうんだけど、それが意図した笑いなのかどうかはサッパリわかんないという…😅恐怖とともに徐々に巨大化していく蜘蛛も浮きまくってるし、黒騎士みたいなのも色々とめちゃ誤魔化してる感（笑）そんなポンコツ具合もなかなかなものだけど、ハマーフィルムの代表作的な扱いをされるのも納得な楽しいホラーでした！

• #ホラー映画と怖い映画

クリストファー・リーが黒魔術集団のリーダーを演じたハマーフィルムによるオカルト・ホラー♡♬*ﾟ

なにこれー楽しすぎる！！黒人の顔芸笑うし、独特なカーチェイスもオモロイし、カルトすぎる洗礼式もサイコー。友人を助けようと必死なリーはいつだって凛としてカッコいい。大きくなったり小さくなったり蜘蛛の大きさがよくわからん。魔法陣を使った悪魔との対決シーンが馬鹿馬鹿しくて良き。

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同年の「ローズマリーの赤ちゃん」(1968)と共にオカルト映画の先駆となった作品。ハマー・プロ×テレンス・フィッシャー監督。主演クリストファー・リーの最もお気に入りの一本。

1960年代、オカルト学者のリシェロ侯爵（クリストファー・リー）と友人レックスは、長らく親代わりとしているサイモンと恋人タニスが悪魔崇拝のカルト教団に加入しようとしていることを知り二人を救い出そうと赴く。森の中で始まった洗礼儀式の最中に彼らは二人を連れ出すことに成功。仲間夫妻の屋敷に魔方陣を組んで立て篭もるが、教団の首領モカタは二人を奪おうと黒魔術で魑魅魍魎を操り襲ってくる。。。

オカルト映画と言っても現在から見ると案外素朴で大人しく映る。しかしハマープロの安定した映像美術で描かれるカルト儀式や魔方陣にはそれなりの魅力があり、地元英国では現在も評価が高いのも頷ける。”エコエコアザラク”という有名な黒魔術の呪文も登場するし、オカルトホラーの先駆としてジャンルを切り開いた功績は大きい。

善玉のクリストファー・リーは頼りがいのあるナイスガイだった。