【名作を観ようシリーズNo.125】

《今度は戦争だ》


約半年ぶりの”名作を観ようシリーズ〟。
4作にわたる”エイリアン〟シリーズは全て鑑賞済み。どれも名監督で、それぞれの魅惑の世界観があるのが特徴だ。

1作目は、”ブレードランナー〟の巨匠リドリー・スコットの代表作のひとつで、SFホラーの金字塔。
3作目は、”セブン〟のデヴィッド・フィンチャー。
4作目は、”アメリ〟のジャン＝ピエール・ジュネ。

でもシリーズの中で特に人気なのは、”ターミネーター〟”タイタニック〟のジェームズ・キャメロン監督のシリーズ2作目の本作であり、アクション色が強く完成度が高い。
完全版は、通常版よりヒューマン色があり、人間ドラマとしても見応えがあります。

20数年ぶり⁉︎の鑑賞でしたが、”ターミネーター2〟に繋がるジェームズ・キャメロンの素晴らしい世界観を楽しめました！
”アバター〟の1作目は自分的にイマイチでしたが、只今劇場公開中の”アバター〟の新作はどんな世界観か気になります…🤔

　前作『エイリアン』のクライマックス。コールドスリープのまま、眠りについたノストロモ号唯一の生存者エレン・リプリー（シガニー・ウィーバー）は宇宙空間を彷徨っていた。やがてシャトルは地球周回軌道付近の宙域に辿り着く。深い眠りの中、突然ハッチのドアがチェーンソーでこじ開けられ、2人の男がシャトルの中に入り込む。密封されたカプセルの中で眠るリプリーと猫のジョーンズ。ウェイランド・ユタニ社社員のカーター・バーク（ポール・ライザー）の協力的な姿勢に興味を示しつつも、悪夢に駆られたリプリーは記憶の断片を彷徨う。前作で娘の誕生日までには帰ると誓った約束、人類初めての地球外生物の侵入を阻止したヒロインの思いは皮肉にも、宇宙空間と地球における歳月のギャップに翻弄される。11歳の娘の誕生日までには帰ると約束した母親は、そこから57年間冬眠し、再び息を吹き返した時に、アマンダ・R・マクラレンは家族を持ち、母親への思いを持ちながら66年の生涯を閉じる。両親はおろか、娘にも先立たれた母親リプリーの姿とあの日果たせなかった約束。悪夢にうなされながら、誰1人としてリプリーの証言など信じる者はいなかった。2等航海士の資格を剥奪された後はパワーローダーの2級免許を取得し、倉庫での荷役作業で生計を立てていた。LV-426の植民地と連絡が付かなくなったことを知り、自身の汚名挽回とトラウマと向き合うために、リプリーは再びエイリアンとの戦いに身を投じることになる。

　20世紀フォックス社は『エイリアン』シリーズの続編を作るにあたり、リドリー・スコットを降板させ、当時『ターミネーター』やジョージ・P・コスマトスの『ランボー/怒りの脱出』の脚本を手掛けたジェームズ・キャメロンに白羽の矢を立てた。地球外生命体とのファースト・コンタクトを描いた79年の『エイリアン』とは違い、今作は『ランボー/怒りの脱出』のようないわゆるアクション映画（戦争映画）としての魅力を持つ。宇宙の植民地化計画を提唱するウェイランド社はさしてリサーチもせずに、エイリアンたちの暮らす惑星LV-426を土足で踏み荒らす。125名の富裕層の命を奪ったユートピア計画は一転して地獄絵図となり、80年代のアメリカを象徴するようなマッチョな海兵隊が任務に当たる。今作は『ランボー/怒りの脱出』同様の戦場アクションに他ならない。安月給で使い古される海兵隊員、あと4ヶ月で除隊になる兵士の淡い希望などを踏まえつつ、今作で特に印象に残るのは紅一点であるジェニット・バスクエス（ジェニット・ゴールドスタイン）に違いない。彼女やリプリーの男勝りな気の強さは、ジェームズ・キャメロンのフィルモグラフィに踏襲される。娘との約束を果たせなかったリプリーはレベッカ・ジョーダンまたの名をニュート（キャリー・ヘン）という少女と出会い、彼女を守ることが母親の使命だと悟る。第1作ほどの斬新なビジュアル造形はないが、カウントダウン形式で恐怖を煽る演出やキャメロン特有の青白い光。何より前作以上に男勝りになったエレン・リプリーの描写が来たるべきフェミニズムの時代を予感させる。

主人公リプリーのトラウマに立ち向かう勇敢さ、絶望的に強すぎるエイリアンたち、前作のホラーテイストは残しつつもアクション色が強くなっていて面白さがパワーアップしている続編だった。女戦士のバスクエスの一際放つ存在感がよかった。