1966年　監督は増村保造。若尾文子の映画には欠かせない監督だ。

　キャッチコピーは
「絢爛たるエロティシズム」　

　この映画の若尾文子がこれまで観た映画の中で一番いい。
　この妖艶なヒロインは若尾文子でないとできない。若尾文子が女郎蜘蛛のように生きるお艶に乗り移っている。

　原作の谷崎潤一郎の短編小説は刺青師の清吉と芸者見習いの小娘の二日間の物語らしいが、映画はストーリーを大きく膨らませている。

　騙されて芸者として売られてしまった質屋の娘お艶（若尾文子）は、体に巨大な女郎蜘蛛を彫られてしまった。やがて彼女は、本能のおもむくままに生き始める......。

　お艶が麻酔を嗅がされ背中に刺青を彫られた後、目覚めれば泣き尽くすのかと思いきや、完全に開き直って女郎蜘蛛のように生き始める。この豹変ぶりに観客は驚く。それを若尾文子が演じる。

　一緒に駆け落ちした手代の新助は彼女のために人殺しを繰り返すことになるが二人目を殺した時のお艶の台詞。

「お前さん、人殺しを又したね。これで二人目だよ」

　男を食い物にする女郎蜘蛛の刺青。それが乗り移っていくようだ。
　可愛い顔をして吐く言葉は凄まじい。次から次の出てくる啖呵と冷たいセリフが若尾文子の口から出てくる不思議なギャップはなんとも言いようがない。なんと説明すればいいだろう。魅力的であることは間違いなのだが。こんな女に出会った男はその罠から抜け出せないだろう。

　例によってヌードは吹き替え。残念ながら若尾文子の背中を全て見せるシーンは多分ない。全て吹き替えのような気がする。
ただ、若尾文子のインタビューを読むと毎日早朝から背中に絵を描くのが大変だったと言っているから、それなりに背中に女郎蜘蛛の絵は描いていたのだろう。

2022.11.27視聴-523

• #若尾文子を観る

谷崎潤一郎原作の「刺青」を監督増村保造、撮影宮川一夫、脚本新藤兼人、そして主演若尾文子で描く絢爛かつ淫瘍な映画。

4Kで初めて鑑賞したが、若尾文子の蠱惑的かつとてつもない妖艶な艶技に魅了された。
谷崎潤一郎原作の「お艶殺し」も脚色されて本作に盛り込まれており、物語は血まみれの舞台劇の様相も呈し、余りにも扇情的。

若尾の背中に彫られた女郎蜘蛛が、白い肌の上でまるで生きているかのように淫靡に蠢くさまは、そのデザインの素晴らしさと宮川一夫の素晴らしいカメラワークも相まってゾクゾクさせる。
若尾文子の役柄のお艶も清楚な娘が、刺青を彫られて変貌していく姿を勝手に思っていたところ、最初から男を蕩けさす気風のよい江戸の悪女。
歯切れの良い江戸弁で悪態をつき、そして男たちを手玉に取っていく若尾文子には、いい意味で裏切られた😃🎬

あややが妖艶♡

谷崎潤一郎の短編を増村保造監督が映画化。23歳の美しい若尾文子を宮川一夫の流麗なカメラワークで捉える。雪、雨、靄を背景にした宮川氏の映像は相変わらずカッコいい〜

美貌と魔性の肌を持ったばかりに芸者に売られ、背中に女郎蜘蛛の刺青を彫られてしまうお艶。女郎蜘蛛の魂がお艶を操るように、男を次々と酔わせ、死に追いやる。

「背中の蜘蛛が殺ったんだ
もっと憎い男を騙して
金を巻き上げるのさ」
と、次第に悪女になっていくお艶。

白い肌、悶え苦しむ表情、血塗られた手…妖艶なあやや劇場でした。

何度も血みどろシーンのある刺激的な一作。

• #増村保造！
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• #宮川一夫！