曽根崎心中の作品情報・感想・評価

「曽根崎心中」に投稿された感想・評価

もはや最後の方ブニュエル的な(?)悪夢の域に達してた。嬉しい!悲しい!!
熱苦しい映画でしたよ。梶芽衣子はいつも以上の目くわっで、だんだん怖くなってまいりました。宇崎竜童とともに大げさかつ滑舌の良すぎる演技に辟易してしまい、本来なら胸くそ悪くなる油屋のことを好きになってくるんだから不思議なもんです。短い出番でしたが、左幸子がかっこよかったです。
音楽は主演を演じた宇崎竜童が担当していて、ギターサウンドで幕を開け、ラストもギターを掻き鳴らすカッコ良さだけど、物語は決してロックではない。最初から最後までテンションの高い白坂×増村作品だけど、情一辺倒泣きのド演歌で割と辟易します。心中物語は和製ロミジュリではない。
う

うの感想・評価

4.5
愛に突っ走った男女。もはやそれは美しく涙が出てしまうほどです。
すげー良かった。
ラストはもちろん、お初が油屋にぶちかます時すさまじい。
死ぬほど腹立つ油屋後半ちょっと、いとおしなる。(そこ)
最初から最後までハイテンションだった。
一周まわって油屋めっちゃ好き。
洗い髪のまま夕涼みをする男女に込められた蠱惑(こわく)にも似た一途な眼差し
増村保造「曽根崎心中」

おそらくは寡黙さと誤解されかねない表現の簡素さ故か、あるいは近松(心中もの)という記号性故か、現代の観客も日本映画史もこの「曽根崎心中」を軽視しすぎているように思う。

同じATG系列でしばしば引き合いに出される篠田正浩の「心中天網島」を奇妙に好ましく思われているのは篠田作品の殆どが退屈だから、という反動性に他ならない。

では逆にその監督作の殆どが面白い増村作品の中で「曽根崎心中」はどうか

やはり面白いのです。しかも群を抜いて

時代劇の中なら破戒僧の方がはるかに似合いそうな宇崎竜童を強引に実直愚鈍なあきんどの倅に仕立てる事で笑うしかないような大根ぶりが際立ち、添い遂げる女郎・お初に、これまた娼婦になるために生まれてきたようにも、何かの過ちで身を持ち崩したかのようにも見える、我らが(さそり)梶芽衣子を配する仕掛けに触れるだけでも、それまでの「痴人の愛」「刺青」「卍」などキャスティングからして世界的文豪・谷崎潤一郎ワールドへの映画的拮抗を想起させ痛快です。

そもそも」「からっ風野郎」で三島由紀夫を完膚なきまでに叩きのめした映画史であまりに有名なエピソードを引き合いに出すまでもなく、増村保造の文豪への反骨精神は本当に面白い

それは同時に師匠・溝口健二への挑発でしょうか?

夕陽の余光の中でよじれたつぼみを準備し、夜の帳(とばり)を鋭敏に感知して一気に花開くように二人の情念が互いを刺すことで鮮血と共にほとばしるクライマックスは、ただただ圧巻の一言。
二人の人生よりも深い曽根崎の森の中、嬰児のように白くなった二人の亡骸は、薄闇を撥ねのけ、今にも明けようとする空と調和し観ている私たちの眼を潤ませます。
shibamike

shibamikeの感想・評価

3.5

このレビューはネタバレを含みます

何故に、何故に、何故に宇崎竜童なのか。

何だかなぁ~、もうちょい人選のしようがあったのでは、と思ってしまう。
宇崎竜童演じるトクベエの演技がたどたどしくて気が散った。
梶師匠演じる女郎お初は抜群の美貌、抜群の演技でバッチリ。あんな綺麗な女郎がいたら大変!

ラストの松の木の下で死ぬシーンは素晴らしい。視覚的にもストーリー的にもあっぱれ。「2本の松が1つの根から!」

井川比佐志は本当に安心して観られる良い役者。お金を騙し取ろうとした悪役の人の演技はいかにもという感じでちょっと過剰だと思った。面白かったけど。

運の悪い恋仲の二人が激しく心中する。トクベエに喉を突き刺されて、お初が空気ばかり漏らしながら言う言葉は「お初は嬉しいです…嬉しいです…」。
トクベエも急いで自分の喉を切り裂き、お初の後を追う。二人がそれでいいんならそれでいいんである。

2018年、現在でも許されない恋を抱えて心中する男女はいたりするのだろうか。本作では冒頭に文字が出る。「男も女も恋と誇りに一筋に生きた時代の話」と。
ほし

ほしの感想・評価

4.0
音楽:宇崎竜童

2時間近い増村はどうも情に傾きすぎな気がする。橋本らによる凄惨なリンチシークェンスを始め、その冗長さが拓く地平もあるのだがわざわざそっち行くかと疑う。それでも徐々に宇崎以外に手代役はあり得ないと思えてくる不思議。
てふ

てふの感想・評価

3.0
ATGでの増村作品。舞台の様に大きな演技が用いられている。特に悪役の油屋は憎たらしいほど。時代劇における、ギター音楽の使用は違和感を覚えた。

新文芸坐 梶芽衣子特集にて
増村保造晩年の作品にしてATG制作。
嫌な予感に身構える。

体感時間3時間超。
人形浄瑠璃の世界観をスクリーンで再現。
幽玄や妖気の欠如から、古典の退屈さが大爆発。
増村監督らしいアップテンポな軽妙さは見られず、宇崎竜童のど素人演技に目も当てられないし役どころとルックスの乖離が甚だしい。

梶芽衣子の熱演を虚ろな目で眺める。
唯一、平野屋の旦那・井川比佐志の鉄拳制裁と歯切れの良い怒声と義憤にのみ表彰状を送りたい。

2018劇場鑑賞57本目
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