ハンターハンターの劇場版。人間の内なる力を引き出す「念」とは異質の「怨」を用いる敵組織は自らを“影”と名乗り、圧倒的な力を振るう。闇の陰謀に対抗すべくゴンが禁忌に触れる!
ストーリーは、かつて追放された反逆者たちの襲撃により、ハンター協会が大きなダメージを受けるところからはじまる。
ストーリーに言いたいことはたくさんあるけど、ひとつだけ。ハンターハンターの面白さは「念」という概念だ。この超能力の体系化によってハンターハンターという漫画は劇的に面白くなった。六系統(強化、変化、具現化、放出、操作、特質)ですべて説明がつくのがクールなのに、新しい概念の怨がすごい蛇足っていうか。べつに特別なものじゃなくて「特質系の一種で今は禁術になってる」ってことでよくね?って感じ。
全系統を引き出せたところで、オーラの絶対量が多くないと意味ないし、実戦で生き抜くためには攻防戦の熟練や、相手によって状況に応じた対策を練れる咄嗟の判断力や推理力が不可欠だって、この考え方が面白いのに、ただのインフレバトルアニメに成り下がった。
そもそも操作系や特質系の攻撃は一発食らったら基本的にアウトなことが多いってことはずっと漫画で描かれてるのだから、このおはなしで悪役たちがドヤってる意味がわからない。
せっかくアニメ製作側にストーリーが委ねられた劇場版なのに、ツッコミどころ満載の設定は非常に残念だ。
それにテレビ版以上に盛り上げようと音楽がうるさくて、セリフが聞き取りづらいのがストレスだった。
害悪な懐古厨のフジテレビ版アゲだと思って読んでくれればいいが、旧アニメはボドロさんが最終試験はペーパーテストだと言うからレオリオとハンゾーが徹夜で勉強するおはなしとか、天空競技場はエレベーターガールのお姉さんまで念使いでゴンやキルアより強いっていうギャグとかがあったんだけど、新アニメシリーズはそういったオリジナルのちょっと可愛いあそびがなくて、そこも面白くない。