同じ曽根中生監督の『色情姉妹』では知的障害の強姦魔を嬉々と演じたことがある怪優・益富信孝が主演した、ダッチワイフを使った性欲処理をテーマとした自虐的ポルノ映画。

オチが酷すぎて笑ってしまう。エロとアートとコメディの狭間。そのどーしよーもない感じが、現代のサブカル層(星野源やバナナマンやみうらじゅん辺りが好きなタイプ)にも好意的に受け入れられそうなエンタメ作品として傑出している。

肝心のダッチワイフが全くもって可愛げがなく不気味である。流石は『荒野のダッチワイフ』とか『愛欲の罠』を撮った大和屋竺脚本だけあり、シュルレアリスティックな表現が多々見られる。青年誌に載ってる不条理ギャグ漫画みたいな。

曽根中生や大和屋竺は、若松孝二直系の匿名集団【具流八郎】のメンバーであり、怪しげでシニカルなポルノ映画や無国籍アクションを大量生産した張本人達だ。

要するに松尾スズキの劇団大人計画とか、根本敬を中心とした幻の名盤解放運動同盟とか、あの辺のサブカル界隈の人達の起源みたいな印象がある。そのぺダンチックな味わいは、極めて「イマドキ」な雰囲気かつ【映画秘宝】的。

日活ロマンポルノが事実、映画表現的に最先端を行っていたことも含めて頗る現代的なカルチャーであり現象だったと再確認できる格好の作品。まさしく「ゴミの中にお宝がある」とか渋谷系で言うレア・グルーヴみたいなもんである。若い人にオススメ。

• #ロマンポルノ
• #官能のプログラム・ピクチュア

北極点の気象観測から帰還したお抱え医師（益富信孝）が、実在の女子大生（ひろみ麻耶）をモデルにした高性能ダッチワイフの開発に取り組む。特殊な職場環境における「性欲の処理問題」を題材に扱っている、日活ロマンポルノ。

観測地で窮地に立たされた職員が「BB号作戦」を本部に伝達。試作機のダッチワイフ（愛称べべ）を使った交合に興じる。すっかり人形の虜になった職員（粟津號）が、本物の女性に違和感をもつようになる展開が最高に笑える。

ドラマ自体は、ダッチワイフ開発に全精力を注いでいる技術者の「学者脳と職人気質」を楽しむ方向性。冷静に振る舞っている医師が、旧型ダッチワイフに愛憎を向けながら、心の変遷を見せるところが特徴的。

表面上では喜劇なのだが、根底には切実な問題提起が含まれている。「男優 対 ダッチワイフ」を、10分に1回の濡れ場にカウントしているような演出が、あまりにも斬新。益富信孝のベスト・アクティングを堪能すべし。

• #エロ映画

街はクリスマスな雰囲気。いっそ男女の口づけが起爆剤となって、この世の中の森羅万象すべてを洗い流してしまえばいいのに！と思っているすべての男女に観ていただきたい映画だ。キスでも、ハグでも、セックスでも好きにやりたまえと大らかな気持ちになる映画だ（僕はなった）。
禁欲生活にいらだつ南極調査隊員のため、国立大学の医者でもある大森医師は究極のダッチワイフを開発する。べべ1号と名付けられた“彼女”は見事役目を果たした。しかし帰国後、隊員たちはベベ1号の魅力に囚われて日常生活に支障をきたす。そんななか、大森医師は新たなダッチワイフの開発を目指す。そこには裏目的があって…。
抜けないポルノだった。勃つ雰囲気もなかった（不全ではない）。ポルノと肩肘張って観にいくと、失望も大きいかもしれないが、コメディーと観るとかなり良質な映画だ。話は荒唐無稽だし、なにしろ看護婦長さんがすごく良かった。
大森医師役の益富信孝の大きな鼻を見ると、さぞかしチンコもデカいんだろうと思ってしまう（都市伝説？）。そんな伝デカチンコの彼が女をブイブイ言わせる話かと思いきや、むしろ女に興味を持たない（研究対象にしか見ていない）役で肩透かしを喰らう。しかし中盤、話がだれてきたとこでの、大森医師の性癖暴露！それが最高絶妙名人芸的なタイミングで、そこから特にツボな映画になった。
ちなみに僕の鼻は大きくありません。ということは、そういうことです。興味ないですか、そうですか。

@シネマヴェーラ