世界初の野外ロケーションテクノカラー映画。
それだけでも記念碑的な立ち位置の映画なんで、やっぱり歴史的な重要度は結構なモンだろう。

世界初のテクノカラー「虚栄の市」の一年後で「風と共に去りぬ」の三年前の映画だけあって発色は淡く、自然光に負けてる感じも多少はあって逆に新鮮。
フレッド・マクマレイ、ヘンリー・フォンダ、シルヴィア・シドニー皆若く、シルヴィアさん流石の美しさ(心なしか服もオシャレで撮り方も有象無象の男どもとは全然気合の入れ方が違う。ヘイズコードが噛んではいるがお色気シーンもあり)。
ヘンリー・フォンダもまだ本格的に売れる前なのでどちらかと言えばキャラ的には二番手で、視野の狭い10年後の彼とは全く違う無鉄砲さと狭量さが感じられる(そう言った意味でも新鮮と思える部分がある)。

テクノカラー部分の感想はそこらへん映画自体の感想に移ると、ジョン・フォックスJr.原作でサイレント時代にも映画化歴のある小説が原作で、20世紀初頭のアパラチア山脈を舞台に、その地に住まう二家の(殺し合いにまで発展した)対立とそこに工業化の波が押し寄せてきて、鉄道会社のエンジニアが絡んで三角関係になるって感じのありがちな西部劇。
舞台は20世紀なので油圧式以前の蒸気で動く若干ゴテゴテしたショベルカーが出てきて、時代をすごく感じる。

文明から隔絶された山の男たちと、押し寄せる文明、それに感化される女性、と言う感じの対比は分かりやすい。
殺し合いが背景にあるので、そこの部分でも対比は強烈(容赦のない悲劇も当然あるし、ヘンリー・フォンダ演じるデイヴも性格的にそこまで光のキャラに思えなくなる場面が多い)。

ただ一本の西部劇として観た場合は、(結果としてサレ夫になる)デイヴの心境の掘り下げとかは、原作読んでいないけど絶対に不十分だなって感じたし、そう言うのしない方向に再構成したって感はどうしても感じた(不満があるわけではないけど)。

今作るとしたら(絶対ないと思うが)、この映画のフォンダの強がってるがナイーヴな内心を掘り下げる作り方をしないと観る側は納得しないだろう。

ヘンリー・ハッサウェイって結構長い監督生活なんだと驚く。本作は、「駅馬車」以前、真珠湾攻撃前でパラマウント初のカラー映画。こういう国と戦争してはいけない！後半は、子供が殺されたりと陰惨な話の連鎖だが和解に急遽なったりとアメリカンな隣人愛に？！西部劇だが文明が入り込んでしまって開拓時代の終わりを見せられている気もする。ヘンリー・フォンダの妙に暗いハンサムガイが観れる。こんなに若いヘンリー・フォンダは、観たことがない。なんか西部劇のルーツを見た気がする。

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