異常なほどの大雨での芝居。原作の石井隆というよりシナリオの池田敏春を強く感じる。無茶な状況での困難なドラマ。曽根中生いわく、このあたりから「好き勝手より、会社の管理体制に入ってしまった」と。縦の構図、狭い場で的確に動きを見せての長回し。映画なキャストより「演劇」な役者。大仰な叫びはクドイし、どうなんだろうと改めて見直しても思う。ミスタースリムのメンツには「まあまあ、こんなもんかって感じでしたけど」と曽根。つれないし、正直。野蛮な素人も難なく扱える猛獣使いの曽根だからこその感想。
曽根が描くヤクザが一番リアルで怖い。雀卓囲んでいるヤクザに不良な深水三章が金を返しに行く際の生々しいやり取り。昭和によく見かけた、寂れた雑居ビルの一角にあった「サラ金」の雰囲気というか、無意味に怒鳴るわけでもなく、からかい半分にあしらう感じが素晴らしい。

仲間と一緒に強姦行為を働いている青年（深水三章）が、一目惚れした女子高生（大谷麻知子）と自身の妹（川島めぐ）に不幸をもたらしてしまう。チンピラ男の性の暴走劇を描いている、日活ロマンポルノ。石井隆原作の人気シリーズ第1弾。

町の不良が自己省察のきっかけを掴むのだが、根がチンピラのままだから修復がうまい具合にできず、八方塞がりに陥ってしまう。同シリーズに共通して登場する名美という名のヒロインは、本作では主人公が一目惚れする女子高生になっている。

女子高生と主人公の妹は、「自分が女であることを実感する年頃」の立ち位置。女性のもつ娼婦性を受け入れることができない主人公が、自分の妹から同種のモノが生まれ始めていることを察する。そして、暴走する仲間を相手取っていく。

ノーヘルでバイクをかっ飛ばす場面は、すべて街角のゲリラ撮影によるもの。映像から迸ってくるエネルギー量が半端なく、チンピラのカッコ悪さを徹底的にスケッチしているところが醍醐味。

• #エロ映画

映画史で初名美と哲郎（村木じゃなくて川島）、制作に（あまり？）関係がなかったのに石井隆世界の映画デビュー。
ロマンポルノとしても激しい、性的暴力の連続でたまに本当に気持ち悪いが、人間の最低ばかり見せるのに結局大変ポエティックだと思う。スタイルは素晴らしい、「赤い教室」からの石井隆自身脚本・監督作品より曽根中生っぽい。
あと、未来に宇宙人に発見されないように祈ってる。人類が滅亡するはずだろう。