今年アメリカがアフガニスタン完全撤退を決めたからこそ余計に興味深く見れる作品だが、それ以上に感じる若者への熱いメッセージは、自分自身の後悔の念と、経験で尚更納得出来た。

トム・クルーズが演じる将来大統領候補とされる元エリート軍人のアーヴィング上院議員が、アフガニスタンの現場も知らずに、机上で立てられた無謀な作戦を実行しようとしていた。メリル・ストリープが演じる、若い頃のアーヴィングを期待のホープとして記事にしたジャーナリスト、ジャニーンは、彼から気に入られ特別に作戦をスクープネタとして教えられるが、彼女には違和感が。
ロバート・レッドフォードが演じる大学の政治学教授マレーは、アンドリュー・ガーフィールドが演じる期待していた学生トッドを呼び出し、最近の出席率の悪さを問うが、返って来たのは世の中への失望だった。そんなトッドにマレーが語ったのは、自分の過去と、教え子で成績は普通だが、将来を期待していた学生アーネストとアーリンが、軍に志願した話を語る。
そしてアフガニスタンでは、アーヴィングが立てた作戦をアーネストとアーリアンのいる部隊が、作戦実行の為ヘリで現地に向かっていた。
かなり真面目、且つ、重厚にストーリー展開されるので集中して観ないと眠くなりそうだが、内容は本当に素晴らしく、とても考えさせられる作品。

政治やマスコミが、若者の未来を閉ざし、失望させてしまうかなり辛辣なストーリーだが、事実である事に変わりないのでとても共感しながら且つ、胸が痛む内容だった。同時に、先に暗闇しか見えないアメリカの将来に、ロバート・レッドフォード監督の熱いメッセージが、ひしひしと伝わってくるだけに、とてもやるせないし、悲しかったが、胸が熱くなった。

自分も社会人なった時教えて貰った、政治、野球、宗教の話はタブーとされるなど、政治の話しは普段でもトラブルの原因になるシビアな話題だが、若い頃に政治の話で熱くなりすぎて友人とトラブルになりかけた過去があり、また、幾ら熱くなっても無意味だと悟り、以後殆ど本心は話さなくなったが、本作を見て少し後悔してしまった。
政治について真剣に考える事は、未来に期待と明るさを見出す為の話題であるはずが、SNSが拍車をかけ今は語れば批判と虚しい現実しか無い世界としか思えず、また語らなくなった時の未来は、更なる闇しか無いと思えるだけに、そんな今の現実から目を背ける世界に警鐘を鳴らすと同時に、若者と一緒に何とかしたいと訴えて来る作品に思え感銘を受けた。
ラスト明確な答えは出していないが、そこは自分で考え正解を導けるよう切磋琢磨してほしいと訴えている様で、素敵にも思えた。

キャスティングは凄いが、ストーリーが真面目で、重過ぎるので中々楽しめる作品では無いかもしれないが、深刻な内容は、アメリカだけでは無い世界中何処でも言える事なだけに、少しでも色々な人が、特に若者が国や政治について真摯に考えるきっかけになれば良いなと思える作品だった。

〓映画ＴＫ３６５／３２５〓
◁ ２０２５▷

▫大いなる陰謀　
▫配信／U-NEXT
▫️Y!レビュー ★★★☆☆３.１
▫️Ｔ Ｋ評価： ★★★☆☆３.２
▫️映画ＴＫ通算： ５３２５本
▫️Filmarks通算：４３２５本

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ロバート・レッドフォード監督/製作/主演作。

原題は"Lions for Lambs"。
"ライオンに率いられた羊"という意味で、「私は一頭の羊に率いられたライオンの群れを恐れない。しかし一頭のライオンに率いられた羊の群れを恐れる」というアレクサンダー大王の言葉に依るもの。戦術論に於けるリーダーシップの重要性を説いている。

…というテーマが
…響いてこなかったなぁ。

ロバート・レッドフォード、メリル・ストリープ、トム・クルーズ、おまけにマイケル・ペーニャ（！！）という豪華キャストなのに…。

未来の大統領とも目されるアーヴィング上院議員（トム・クルーズ）は、ジャーナリストのロス（メリル・ストリープ）に対テロ政策についての軍事作戦の情報をリークする。その頃、大学教授マレー（ロバート・レッドフォード）の教え子（デレク・ルーク、マイケル・ペーニャ）は、アフガニスタンの雪山で兵士としてその軍事作戦に参加していた—— 。

上院議員と記者。
大学教授と生徒。
そして2人の海兵隊員。

同じ時間軸を3つの異なるドラマで同時並行的に描くという、見せ方は上手いと思う。

しかしだ。
アフガニスタンって聞くと、砂埃舞う、如何にも中東！！っていう映像を思い浮かべるでしょう？

違うんだな〜！！

雪山！！しかも夜！！
画面が暗過ぎて、どんな敵が迫っているのかが全く見えないし、何なら何をやっているかもよくわからない。明らかにスタジオ撮影というのも萎える。

なんでこんな映えない映像にしたレッドフォード？台詞の応酬で魅せる2つの場面の後に挿入される、緊迫すべき戦闘シーンが明らかに盛り上げ不足なのが残念。

もう少し言うと、メリル・ストリープ（記者）とトム・クルーズ（上院議員）の舌戦には惹き込まれるが、そこでせっかく『モーターのコイルがあったまってきた所だぜ！！（「AKIRA」より）』というテンションの高まりが、次のロバート・レッドフォード（教授）とアンドリュー・ガーフィールド（生徒）との会話でトーンダウンしてしまうのが残念。

アンドリュー・ガーフィールド演じる学生が、能力はあるが無気力を装っているので、どうしても緊張感を削いでしまう。

ロバート・レッドフォードの問題提起しようとする姿勢は買う。でも、だからといって作品がよく出来ているという訳ではないのが残念。

学生時代を演じたペーニャんに、ファンは萌える筈。

• #2021akirunaway