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カーシュ夫人の欲望
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『カーシュ夫人の欲望』に投稿された感想・評価

心底バカっぽくて笑える。あからさまなモノローグで初手からしょうもないオチが約束されてるのだが、にしてもあまりにもほのぼのな結末。食事シーンを何回も下品な撮り方するのが鬱陶しい。
カント

カントの感想・評価

3.6
官能短編シリーズ①
男の抱く妄想のバカっぷりを如実に露呈するシニカル・コメディ。

ロンドンの南西、陽光の眩しい保養地スワネージ海岸。
この街を舞台に小説を書こうとしている作家が散策している時、魅力的なカーシュ夫人に出会う。
少々奥手の作家はホテルのラウンジでカーシュ夫人を観察。

ホテルマンが一通の封書をカーシュ夫人に届けた。中には何枚かのポラロイド写真。写真を見た夫人はホテルの自室へ駆け込む。尾行する作家。

写真だけを大事に持って、封筒を落としたカーシュ夫人。作家は封筒を拾って夫人の部屋の前に立つ。
そして中から聞こえて来たのは……
ヴィ~~~~と低く鳴り響くモーター音。

これは!バイブの音?
彼女、オナニーしてる!

作家ならではのイマジネーションが全開。先ほどのポラロイド写真は余程、欲情を掻き立てる写真だったに違いない。
妄想の中でカーシュ夫人を全裸にして、バイブレーターを股間に押し当てる姿を思い描く作家。

は!?
音が…更に低音に!カーシュ夫人ったら、更に極太のバイブで“お楽しみ”らしい。

作家は、下心丸出しでカーシュ夫人に接近を試みる…。
カーシュ夫人の使用するモーター音の正体は?

ヴィ~~~の音だけ聞こえたら、普通は電気ひげ剃りとか、電動歯ブラシを想像するだろうけれど、作家が一瞬で“バイブレーター”と思った背景には、作家自身の(そう有って欲しい)と望む欲求不満ぶり①と、小説を書き上げなければならない責務からの逃避②と…
カーシュ夫人の(あのフェロモンの感じならば)と言う先入観③と、綯(な)い交ぜになったからでしょう(^o^)

ラストは、これまでの官能映像は何だったの?と戸惑う位に、ハートウォーミングですよ。
くりふ

くりふの感想・評価

3.0
【熟女マニアの空耳アワー】

日本では90年代、『アート・オブ・エロス』と題され、一部は劇場公開された?短編シリーズの一編。古いDVDが出てきたので再見。

全体像を覚えていないが、時代からしても概ね、男性監督の妄想シリーズだったかと。質はバラバラだったかなあ。仕切ったのはスーザン・シーデルマンらしかったけれど。

本作は、初見時はダメだこりゃ、と思ったケン・ラッセル作品。いま見返すと“そこがいいんじゃない!”だった。

ビーチリゾートで、或る女への妄想が止まらなくなり、仕事も止まってしまう作家。とうとう、彼女の部屋を盗聴すると…。

当時60代半ばの監督が、性欲なんていい加減なもの、と笑い飛ばしている一編。男性観客にとってはドッキリの標的にされたようなオチだが、そもそもポルノじゃないからね。

ヒロインを、当時監督の奥さんだったヘティ・ベインズが演じているが、元々は彼女のアイデアだったらしい。まず、彼女がまるで魅惑的な熟女に見えないのが引っ掛けなんだけど。

作家はサイモン・シェパードが演じているが、趣味がねえ…。たぶん、ふだんロクなモン書いてないだろうと思わせちゃう。七割方が彼の妄想劇なので、七割方が退屈。ここが作品としては問題かと。

でもま、主人公の妄想が三流だから、それをケロッと打ち消せるオチにまとまるワケだが。

ケン・ラッセルが枯れたゆえ、普通に撮ったらこうなったのか、あえて幾つか、逆張りをしたものかは、よくわからないけど…私は今回は、感心してしまった。

“母はエロより強し”

...ちなみに後で、ヘティとサイモンが同い年だと知って、驚愕したよ!

<2023.12.19記>