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光陰的故事
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『光陰的故事』に投稿された感想・評価

4.3
 小芬は母と姉と3人で暮らしているが、姉は母親に反発し、予備校にも通わずプラプラしている。妹との会話も少なく、急に大人びた姿になり、色々と遊んでいるらしい。映画は小芬が少し大人になるひと夏の成長の過程を描いた物語である。夜中に突然生理になり、母親と姉を呼ぼうとするも2人はいない。小芬が2人の名前を大声で呼んだ後、部屋の中の無人のショットが重なり、後のエドワード・ヤンを想起させる冷たい空間が提示される。彼女は大学生の下宿人に淡い恋心を抱くが、思いがなかなか伝えられない。母親の手伝いをする大学生の汗だくの上半身を凝視し、胸をときめかす。ビートルズの『愛こそすべて』が流れ、ベトナム戦争のテレビ映像が絶妙に交差する。ある日小芬は意を決し、下宿人の大学生に宿題を教えてもらおうとドアを叩きそうになるが、そこで聞きなれた女の声を耳にする。窓ガラスをそっと開けると、大学生と親しげに話す姉の姿があった。エドワード・ヤンは処女作となった今作で早くも、言葉にならないイメージを幾つも積み上げる。少女から大人に成長していく小芬の思い、彼女より一足早く大人になった姉の思い、そして小芬に対して恋心を抱く黒縁眼鏡の少年の決して交わることのない思い。それらふいに宙をかすめるだけの叶わない願いだけが、しっかりとフィルムに焼き付いている。

 1980年代初頭、台湾映画界は瀕死の状態にあった。その理由は同じ中国語圏の映画である香港映画、中国映画の波が台湾にどっと押し寄せて来たからである。台湾においても人気はキン・フーやツイ・ハークの映画であり、その看板となるショウ・ブラザーズやゴールデン・ハーベストの映画であった。その結果、台湾映画界は製作本数も観客動員数も激減し、母国の映画産業は瀕死の状態にあえいでいた。現状を打破すべく、台湾映画界は構造改革に乗り出した。宋楚瑜を中心に、政府が台湾映画の芸術性や国際性を高めるような一連の改革に乗り出した。改革の一環として、党営企業である中央電影公司に小野(シャオイェ)、呉念真などの若手スタッフを登用し、それらスタッフが採算にとらわれない映画づくりを模索し始めたことが運動の機運となる。最初に撮られたのが4人の若手監督による記念すべきオムニバス作品『光陰的故事』である。日本語では時の物語とも言われる今作は、1960年代から1980年代までの台湾の激動の時代をそれぞれ、幼年期、少年期、思春期、青年期の4部構成で据えたオムニバスとなっている。

 クライマックスで少年は「乗れない時は自転車に乗れたら、どこにでも行けると思っていたが、いざ乗れるようになると、行きたいところが見つからない」とつぶやく。少年時代の甘酸っぱい思い、恋する彼女が自分よりも先に大人になってしまった焦燥感、これからの時代に対する苦々しい思いがその台詞には全て内包されている。どうしようもない運命に翻弄される悲劇の男と、淡い思いが叶わぬまま終わる女の主題は、後のエドワード・ヤンのフィルモグラフィを考える上であまりにも興味深い。今作の成功を踏まえ、翌年台湾は『光陰的故事』に続き、若手監督を4人起用し、『坊やの人形』を撮る。そこには若き日のホウ・シャオシェンも含まれていた。ホウ・シャオシェン、エドワード・ヤン、2人が世界の映画史を引っ張っていくのは、このほんの数年後の出来事である。
1982年に製作された当時の台湾映画界の若手監督4人による1960~80年代を背景に一人の少年が大人になるまでの四つのエピソードから成るオムニバス映画。台湾ニューシネマの記念すべき第一作だったとは鑑賞後に初めて知った。

もちろん、第二話のエドワード・ヤン監督作品目当てでレンタル。

他のエピソードも、当時の台湾の庶民の日常が垣間見られて興味深い。
第一話「恐竜くん」でのタライでの入浴や真空管を使ったレコードプレーヤー、第三話「跳ねる蛙」で主人公の大学生が飼っている大きな蛙の気持ち悪さと可愛さが混じった造形、大学なのに髪の長さに関する校則があった当時の世相・・

でも、やっぱりエドワード・ヤンの初監督作にて唯一の短編でもある第二話「希望」が一番構成もしっかりしており、“見やすい”作りでテーマも明確であった。

思春期真っ只中の少女が、自宅を間借りする大学生に初めて異性に対する心のざわつきを覚えるストーリー。よくある“初恋”ではなく、男性の肉体美(要は性の目覚め?)に惹かれるという視点にエドワード・ヤンの才能を感じる。

突然シャツを脱いで上半身裸になる大学生と、普段は着痩せして見える青年の思わぬ肉体美に釘付けになる少女の表情を交互に撮る描写が下手をするとコメディになってしまうところをギリギリに抑え、むしろアーティスティックな表現に昇華させているのは流石。

また、エドワード・ヤンの後の代表作となる長編の数々と比較すると一見、拍子抜けするほど分かりやすい。少女と大学生の関係のオチは簡単に読めてしまう程だが、実は、少女の幼馴染みで坊主頭に牛乳瓶の底のような丸眼鏡の小柄の少年が四作品通しての主役だとして見直してみると、少女が大学生に抱く想いと同等に少年が少女に対して抱く想いがハッキリと描かれている。

この年頃では女の子のほうが断然ませており、性に対する好奇心が強いという事実を一見シンプルに感じるストーリー内に、この二重構造を上手く落とし込んだ監督の手腕に脱帽。

この第二話だけの評価なら★4
桃龍
3.5
台湾の若手監督4人によるオムニバス。
エドワード・ヤンの『指望』だけを見た。
ちょっと苦手な叙情的な作品。初潮の頃の女の子が大学生の男性に興味を抱き、同年代の男の子がガキに見える…。
若きエドワード・ヤンが狙ったものは分かる。ヒロインの演技力と男の子のキャスティングが、もうすこし良ければなぁ。

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