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EUREKA/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューションのmaverickのレビュー・感想・評価

4.0
テレビアニメ『交響詩篇エウレカセブン』をリブートした三部作構成の最終作。 2021年11月26日公開。


テレビシリーズ版とは違った世界観を描いた物語ということで興味深い作品性ではある。着地点に関しても一応の納得は出来た。ただ話が難解かつ複雑で、普通に鑑賞しただけでは内容を把握出来なかった。鑑賞後にサイト等で補完して理解出来たことも多く、それで改めて本作の魅力は感じれたわけだが、本編でそう出来なかったことが残念。1部、2部共に作り手の熱量は感じるが、それが上手く作品としてまとめ上げられていない。状況の説明としてテロップが出ても読み終わる前に消えるし、キャラクターがあれこれ喋っていても何のことやら分からない。難解で膨大な情報を本編中に説明しきれていないのだと感じる。キャラクターは魅力的だし世界観も悪くないだけに、もったいないなという印象だ。

そもそもがエヴァンゲリオンっぽい作品性ではあったが、本作はさらにそれが顕著だと感じる。別の世界線での設定や展開など、エヴァの新劇場版シリーズに影響を受けまくっているなと。作り手側がああいう作品をやりたかったのだろう。それで同等に面白ければ良いのだが、どうにも二番煎じ感が強い。テレビシリーズ版は独自の良さがたくさんあってそこが好きだったのだが、今作ではそうした『エウレカセブン』らしさの魅力が損なわれてしまっている。エウレカが乗るウルスラグナというメカは大河原邦男がデザインしているが、そのせいでガンダムっぽいイメージを与えてしまう(デザイン自体はかっこよくて好きだが)。合体メカ、ニルヴァーシュXも違うアニメのメカみたいな演出。エウレカがスパイアクションものの女ヒロインみたいに行動する内容も、そうしたアニメや洋画を模したものである。いろんな作品のごちゃまぜを製作側は楽しんでいるのだと思うが、そもそもの『エウレカセブン』が好きだった者としては「これじゃない感」が強くて拒否反応が出てしまった。レントンが不在なのも残念でしかないし、やはりレントンとエウレカの二人がいるからこその『エウレカセブン』であると思う。

エウレカ役の名塚佳織を始め、演者の熱演は素晴らしい。エウレカ、アネモネ、デューイといった主要キャラの変化は困惑ではあるが、その変化に合わせた演者の芝居には感嘆する。エウレカは本作で普通の人間になっており、だからこその感情表現は新鮮で魅力的に映る部分も多かった。藤原啓治からバトンを受け継いだ、森川智之と山寺宏一の熱意にも感動がある。演者が良いからこそ引き込まれたというシーンは多く、その点では救いであった。


1部、2部と、鑑賞するごとに期待値も下がっていったこのシリーズだが、終わってみれば感慨深い。これで最後となると何だか寂しい気持ちだ。いつかまた続編が作られそうな気もするし、そうなることを期待しておこう。
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    幅広く映画は観ます。女性向けやアニメ、特撮も。でもホラーだけは苦手です…。 基本はアドレナリン全快なポップコーンムービーが1番好き。アメコミヒーロー映画や007シリーズの大ファンです! 自称映画好き…

    幅広く映画は観ます。女性向けやアニメ、特撮も。でもホラーだけは苦手です…。 基本はアドレナリン全快なポップコーンムービーが1番好き。アメコミヒーロー映画や007シリーズの大ファンです! 自称映画好き。映画は人生をより豊かにしてくれる。色んな考え方や生き方が人それぞれあるように、映画作品の感想も十人十色だと思います。この人は こんな価値観を持ってるんだなと思って参考にしていただけたら幸いです。