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アスペン
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『アスペン』に投稿された感想・評価

菩薩
4.0
アルペンっ!!!

かと思って、加藤晴彦×広瀬香美を期待しつつ、いやいやそんなはずないやん、アスペンやもん、なんて思っていたら、まぁまぁ雪山でスキーしててあながちアルペンみが無いわけでもなく震えた。

かつては銀鉱山として栄えたアスペンの街も、今や高級スキーリゾートへの姿を変え、街にはセレブが移り住み、人々は音楽や芸術に包まれながら、豪勢な暮らしを謳歌している。そんな彼らを(位置的に)下に見ながら、体を真っ黒に汚した鉱山(?)作業員たちは、削り取った岩石を真っ白な斜面に流し落として行く。自然保護の重要性を訴える青年の視線の先には、かつては絶滅の危機に瀕した野鳥と、山の斜面を削り取り開発されたリゾート施設、街にはおそらく彼の年収程はするであろう毛皮に身を包んだ女性達が闊歩する。事物の「影」を描くのだと煩く生徒達(?)を諭す芸術家がいる一方で、この街の画廊では超写実主義の絵画が馬鹿売れしていると言う。目に見える価値と目には見えない価値、観光開発が無ければアスペンの街は鉱山と共に廃れていったのだろうが、この街が得たものと、喪ったものとではどちらが大きいのだろうか。リスク&ベネフィット、何事も行きすぎては壊れて行く、神の言葉を必死に静寂の中で掴もうとするものがいる一方、目の前の人の話に耳を傾けない者もいる。アスペンの街にとっての「光」と「影」とは一体何か、この街に生まれた新たな対立構造は果たして「益」と言えるのだろうか。
甲冑
5.0
19世紀末には銀鉱の町であったアスペンもスキーリゾート地として賑い、この1990年には金持ち達がガッツリ別荘建てて住みついている。美容整形講座などの新興ビジネス会議や教会行事に結婚式、エステやボディビルからエコ活動募金興行ライブにウォーホールが並ぶアトリエでの絵画教室、フロベールの読書感想会などのハイめの文化コミュニティや移民問題を話し合う場もあったりWASPリッチな軽薄さだけではない多様な感じで楽しい。時代柄、怪しい検査機でマリファナ治療を行う医者や瞑想・集団セラピーなど純ニューエイジ思想な人々も見れて良かった。
4.2
フレデリック・ワイズマンの足跡特集13本目。
毎回ワイズマン作品の感想文では、タイトルを見ればその内容が一発で分かる、と書いていたが本作『アスペン』は聞いたことのないワードでそれが何を指すのか分からなかった。今回のアテネ・フランセ文化センターでのワイズマン特集はとにかく時間が許す限り未見の作品は全部観ようという姿勢で臨んでいるためにどういう内容なのかを公式サイトとかで一切チェックせずに観た作品がいくつもあるんですよ。でも上記したように大体はタイトル通りの内容だからそれで困ることはなかったのだが、この『アスペン』というタイトルからはどんな映画になっているのかが想像できなくてちょっとドキドキしていた。
まぁでも蓋を開けてみればいつものワイズマン作品でしたね。どうということはない『アスペン』というのはコロラド州の真ん中あたりにある主にウインタースポーツによる観光産業を主要とした都市の名前だったのである。つまりアスペンというのはスキーリゾートなんかが盛んな単なる地名で、その町の様子を描いたドキュメンタリー映画なのである。俺が無知故に知らなかっただけでアスペンというのが都市名だと知っていればいつものワイズマン作品でしかないタイトルでしたね。
そして映画の内容も大体いつも通りで面白かったです。ワイズマン作品では大きく分けて1つの職業や一つの施設に特化して密着したタイプの作品と、もう少し広範な異なる集団が重なり合う場が描かれるものとの2パターンがあると思うが本作『アスペン』は都市そのものが舞台なので明らかに後者であろう。先日感想文を書いた『セントラル・パーク』も1つの施設を描いたという意味では前者に近いが、公園という公共の場を舞台にしたという意味では後者の拡がりがあるタイプの作品と言えると思う。そういう意味では社会科見学的なワイズマン作品というよりかは観光気分でアスペンという町を観られるドキュメンタリーだったと思う。
特定のテーマや施設に絞った方が好きか本作のように広めのレンジで描かれた作品の方が好きかは好みの問題であってどっちが良いとか悪いということはないと思うが、俺の印象としては80年代半ばから後半以降のキャリアとしては中期から後期に差し掛かっていく辺りで狭い範囲内にある職業や施設の風景からアメリカの全体像を見せていくという手法からさらに一歩進んでもっと公な舞台というかテーマというか被写体を選んでより俯瞰的な視線で描くことにより逆説的に個々の存在というものに立体感を与えるような作風になっていったんじゃないかなと思うんですよね。その極点の一つは『臨死』だと思うが、本作『アスペン』でもそういう要素はあったように思う。
アスペンという町を観光するかのように見て回れる映画だと書いたが、しかしただの観光映画ではないのは当然で、本作のコアにあるのは観光産業の町から透けて見えてくるアメリカ的資本主義のコントラストと、これまたアメリカというか欧米的な価値観としての人間は自然をコントロールすることができるのか? というようなことが主題だったんじゃないかと思う。
それらを町という大きな視点から見てそこにある、宗教とか家庭とか文学とか絵画教室とか地域の人たちの集会とか新たなビジネスモデルとかっていう様々なものを多角的に描いていたと作品だと思う。印象的だったのは離婚経験者の男性たちの集会(家庭がなくなり精神的に不安定になった人たちのために“君は一人じゃない”的な安心を与える場で多分断酒会とかと似たような効果を期待されている集会だろう)で神の法と人の法という2種の目線で離婚を語って、神は基本的には離婚を許さないだろうとそのシーンを締めるのだが、続いて被写体が変わり地元の小学校か中学校の課外授業で、20世紀初頭に絶滅寸前だったカナダガンが人の手により数を増やした事例を紹介して「自然保護は大事だろ?」と繋げたところはその流れが上手すぎて唸りましたね。そこは多分自然と文明の相克なんですよ。
かなりざっくりに言うと神様的には離婚は許されないというロジック(離婚ではなく中絶と言い換えてもいいが)は自然に出会って自然に結ばれた男女を人の法で引き裂いてしまうのは神の理に反するだろう、ということなんですね。その考え方に基づいて離婚(もしくは中絶)を禁止することの効能としては社会全体の人口維持という共同体を保つための理論を宗教的な倫理観によって補強させる意味合いが期待できるだろうと思う。それこそが自然に社会を強く維持するための方法だというわけだ。言うまでもなく人口が縮小方向にある集団は先が暗いですからね。だが、そこから連続するシーンとして本作では絶滅寸前だったカナダガンが人間の手によって個体数を増やしていったというシーンに続くわけですよ。これはとても重層的な皮肉であり、人間がコントロール可能な自然というもの自体が幻想なのではないか? と思わせるものでもあると思う。
本作はスキーリゾートであるアスペンでのゲレンデ風景から始まるのだが、そこは人の手によってリゾート地として作られた場所であるものの、どこのスキー場でもそうだろうが事故などのアクシデントは絶えない。やれ客同士がぶつかっただのコースを外れて森や崖の方に迷い込んで遭難してしまった客がいるだの急な天候の変化で…などなど、山を拓いて作り上げたスキー場というものが文明を自然を征服した証なのかというと、そうでもないんじゃね? ということが描かれるわけですね。そこ面白かったな。
他には美容整形やジムでの筋トレ描写も神から自然として与えられたものをいかに人がコントロールできるかということだよなっていう気がした。なるほど、南国のリゾートではなく雪国の観光地が選ばれた訳だ。そう考えるとセントラル・パークと二本立てだったのは意味のあるチョイスだったんだな。都市のど真ん中に作られた人工の癒しの場であるセントラル・パークと神の領域であった山を削り出して人工の都市を作り上げたアスペンで良い対比になっていたと思う。
さらに言うとその都市というのはある程度以上の富裕層向けに作られた観光用のリゾート都市で、文化的な催しもジムでのトレーニングも当然スキーのようなレジャーも果てには美容整形や幸福な家族というモデルさえもが娯楽として消費されるものにしか過ぎないんじゃないかというかなり辛辣な消費文明への目線もあったと思う。それら全部をひっくるめてのアメリカの観光地というものが凄いリアリティを持って描かれていて、毎回同じこと言ってる気がするがやっぱワイズマン凄いわ、と思ってしまいましたね。
中盤から終盤にかけてかなりの尺を割いて描かれた読書会の様子も面白かった。そこでの課題図書がギュスターヴ・フローベールの『三つの物語』の中の「純な心(素朴な人)」だったことも色々な含みがあるんだろうなと言う気がする。アスペンという町は元は観光業などとは無縁で銀鉱山が主要な産業だったという土地の歴史もまた本作では重要なことであろうし、それを踏まえると作中何度か映された華やかな市街地とは真逆の郊外の荒涼たる風景が身に沁みるのである。
これはアテネ・フランセ文化センターのプログラムを組んだ人の功績だと思うが、本作を『セントラル・パーク』から連続で観ることができたのは幸運だったし良い経験だったなと思いますよ。ワイズマン作品をつまんないと思ったことは今まで一度もないが、本作も面白かったわ。

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