壺振り師の弥平は、親分を裏切ったほとぼりを冷まそうとしばらく江戸を離れていた。しかし老境に差しかかり、住み慣れた土地への郷愁にかられ、決死の覚悟で再び江戸へと橋を渡った。 江戸に舞い戻ったその日、弥平はとある女郎屋の前で、夕焼けを眺めるおさよという女と出会う。おさよは小間物屋を開いた夫の借金の形として自ら身を売った女だった。亡くした女房とどこか重なるおさよが気になった弥平は、後日、おさよの夫と子供が暮らすという長屋を訪ねる。だが、そこで見たのは、働きもせず博打に明け暮れる不実な夫の姿だった。
幕末の京都。そこは尊皇攘夷を叫ぶ⻑州や薩摩脱藩志⼠が、新撰組や⾒廻り組と⾎で⾎を洗う抗争を繰り返していた。そんな中、⻑州を脱藩した清川多⼗郎は、かつての尊皇攘夷の夢もどこへやら、⽇々の糧を…
>>続きを読むかつてミナミで一目置かれていた福永組組長・福永。今は落ちぶれてケチなシノギで組を守っていた。そんなある日、兄弟分の台湾マフィア・ワンリーから偽造パッキーカードの取引話を持ちかけられる。銀次…
>>続きを読む江戸勤番を終え九州・豊後関前藩に三年ぶりに戻った坂崎磐音と幼馴染の小林琴平、河井慎之輔。三人は同じ 道場に通う修行仲間であり、琴平の妹・舞は慎之輔に嫁いでいたため二人は兄弟でもあった。また…
>>続きを読むヒトから生まれ、ヒトとは成れぬ事を定められたモノが在った。摩滅しゆく心に灯るは無数の光、己を取り巻く総ての生命という輝き。往くべき処を悟るモノ、還るべき温もりを示す者。其々が其々の“生”を…
>>続きを読む吉原の遊女・お雪を足抜きした藤井清吉は、大滝一家に追われて新潟まで逃れ、嶋岡一家の身内になる。彼の追う大滝一家の客分・坂東龍次は、嶋岡が貧しい農家の女を売り飛ばしていることを知り激怒する。…
>>続きを読むめくらのお市は、娘を捜して旅をする老人を助けたことから、自分の境遇を思い出す。7歳の時に雷の閃光を受け、母親に捨てられたお市は、弥助に拾われ幸せな日々を送っていたが、弥助が伝蔵一味に殺され…
>>続きを読む時は天明、江戸の春。満開の桜の下で花見客が浮かれる中、酒なしの熊と八がしょぼくれていた。 長屋に帰れば、熊とは似ても似つかぬ美人の妹せいが待っている。 五万石の大名に見初められたせいだが、…
>>続きを読む太物問屋の息子・仙吉は、無鉄砲で血の気の多い性格から殺人を犯し大阪を追放され博徒となり、放浪の最中に瞽女のおりんと出会う。やがて2人は幕末動乱の京都に居を構え、仙吉はおりんのために賭場での…
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