座頭市喧嘩太鼓の作品情報・感想・評価

座頭市喧嘩太鼓1968年製作の映画)

製作国:

上映時間:83分

ジャンル:

3.9

「座頭市喧嘩太鼓」に投稿された感想・評価

このレビューはネタバレを含みます

 宿とご飯の世話になった座頭市は、その義理からある男を斬る。ヤクザの親分が、その男を斬らせた理由はその男の姉を狙ってのことだと知る。その女を救う座頭市の話。

 弟を斬った座頭市を殺そうとするも斬れずに逆に座頭市に救われて心が変化していく。そのヒロインのためにお金を工面する座頭市が丁半博奕でイカサマしようとするけど、失敗して簀巻きにされる。
 この時の簀巻きにされた状態から逆転する座頭市が笑えます。
 ヤクザたちがヒロインを狙い、佐藤允さん演じる浪人も女性を狙い3つ巴の戦いになる。佐藤允さんの殺陣が豪快で、殺陣自体はわずかですが、とても迫力のある殺陣でカッコよかったです。
 座頭市の心配をよそにヒロインは一人で逃げようとする。この時、追いかけるために馬で駆ける座頭市。という珍しい姿もよかったです。ヒロインに追いついたけど、止められずにそのまま追い越してしまって崖から落ちる。というのも笑えました。
 
 ただ、せっかく豪商役で悪の親玉みたいに登場する西村晃さんが出てくるのに。その扱いが雑すぎるのが残念でガッカリしてしまいました。
 
 クライマックスでヤクザ一家と暗闇の中、戦う座頭市もカッコよかったです。暗闇に照明で浮かび上がる殺陣。そして浪人との一騎打ち。祭りの太鼓が鳴り響くのを利用して座頭市の聴覚を狂わせる戦い。

 80分テンポもよくてコミカルさが強調された座頭市。面白かったです。
座頭市は映画版三分の二くらいとテレビ版三分の一くらいしか見てないので、まだ見てないのが多くて(北野武は北野版の準備時に映画版26本テレビ版100本全部見たとか見ないとか)、このフィルマークスのレビューですごく褒めてるのがいくつもあって興味が出て『喧嘩太鼓』見てみた。
ストーリーが本当にクリシェ化していて作り手側も全くそこは眼中になくて、そのため演出だけが前景化するという、この後に始まる勝プロ制作の作品群を予告するような、もしくは大映座頭市の総括のような集大成のような、上級者向け座頭市or初めての座頭市がこれというのもありな感じ。座頭市が凶状持ちでヤクザの間では有名な俠客、という中期以降の設定が捨てられていて原点回帰的趣きもある。
単体で見ると工夫を凝らした演出だらけとはいえ後の作品や以前の作品で見たような演出ばかり(特にテレビ版で色々引用されていると思う)なのでほとんど座頭市ワールドの総集編というかコラージュというかパッチワークみたいなものを見ている気分になる。
ゆえに1989年版『座頭市』のプロトタイプのようにも思える。
でもドシンプルでかつサイケデリックなタイトルバック映像があまりに斬新でかっこよすぎてそこが頂点だった。

(レビューの中にズームがすごいみたいな記述が何件かあったので、ズームなんかあったっけと思ってわざわざ見直した(2倍速で)のだが、ズームなんか一回も使ってなくて、ドリーイン(トラックアップ)のことをズームと言っているのか、ポン寄りの超クローズアップみたいなのをズームと言っているのか、謎だった。
終盤の暗闇の立ち回りシーンの照明が狂っててすごいみたいなレビューがいくつもあったが、何のことはなく龕灯(がんどう。江戸時代の懐中電灯みたいなもの)を使ってスポットライトみたいにやっているだけで、目明しや岡っ引きがゴヨーダゴヨーダ言うような時代劇ではたまに見るような演出で、それこそ伊藤大輔とかの超昔の映画でも見たことあるような気がする。そのシーンのセットも狂ってるみたいなレビューもいくつかあったが、これはスポットライトが照らされる前の完全な闇のショットになっている間に市が土間のほうに移動していてそっちを撮っているだけで、土間の壁がのっぺりしているからスポットライトのきつい光でピンポイントで照らされると書き割りのような雰囲気もあるが、実際普通のヤクザのお屋敷の中のセットのままやっているわけなので何も狂っていなかった。)

座頭市シリーズは勝新太郎監督作(特にテレビ版)は置いておいても池広一夫監督作のほうが、三隅研次のものよりいいと思うが、この頃は三隅の演出もいちばんいい頃だと思う。三隅は思うに『大菩薩峠』1作目辺りが転換期で、その辺から作風というものを確立し、それはドイツ表現主義映画のバリバリの影響というもので、どんどん洗練させながらこの表現主義が70年代頃になると劇画原作映画になって、また違った感じの表現主義がプラスされていく(あんまり知らんけど)。

最後の佐藤允との決闘は、殺陣の技術より映像を見ることの面白さとして、近衛十四郎や三船などとの決闘も超えてシリーズ最高峰だと思う。特に一度斬られてなお手ぬぐいを噛み息を殺して最後の一太刀を浴びせようと振りかぶる佐藤允に駄目押しのように超高速で二回転しながら三回斬りつける座頭市の流れ、すさまじい。
あとこの佐藤允が演じている浪人のキャラクターがめちゃくちゃ昭和のセクハラ野郎って感じですさまじい。
くずみ

くずみの感想・評価

3.8
後期座頭市の佳作。ここでの市はヒーローではない。義理を欠く行いに厳しく、不当な扱いには相応の返答をし、時には汚い手も使う。光と影を生かしたケレン味ある殺陣が光る。コメディパートとのバランスもいい。短い場面でも作り込んだセット。繭玉に季節感。佐藤允には飛び道具を持たせたかった。
何もない話をガンガン省略かつ場面転換してむりやり映画にしている。
終盤の熊吉一家での立ち回りの現実味ゼロのセットとイカれた照明(目が潰れるかと思った)にビビる。
市が姿を表してから熊吉たちのリアクションへの切り返しが完璧。

カメラ傾けて巨木を画面に納めてるショットも意味不明ですごい。
シリーズ第十九作。三隅座頭市の良さは市も完璧超人ではないということをしっかり描写してくれるところにあると思うのだけど、本作はそれをコメディタッチに仕上げているのが不満。市の玉を繰り返し投げる楽しい動作に刀さばきが重なり、三田佳子が思わず立ち去る場面にのみ落差が活きている。また佐藤允との決戦で突然太鼓が鳴り出すのはナンセンスだと思った。彼とはなんの介入もなしに決着をつけたほうがアツかったと思うのだけど。
佐藤

佐藤の感想・評価

-
最高。

ラストの立ち回りが良い。強い剣客との戦いになると寄るのが良いねぇ~
チェケ

チェケの感想・評価

4.0
座頭市の歌で「斬っちゃならねえ人を斬っちまった時は…」とあるが、今作が一番歌詞にぴったり。
R

Rの感想・評価

-
やはり三隅研次の撮る座頭市が1番良い。

殺陣も、博打も、ユーモアシーンもそうだ。

-最後の対決のシーン-
太鼓が鳴り始める前に敵の足元を写して足さばきの音を観る者に聞かせ、
更に太鼓が鳴り始めた後にも同じく太鼓で音がかき消された状態の足さばきのアップを抜くことで、
市の生命線が断たれた状態での対決だということが改めて印象付けられる。

このカメラワークの見事さはこれでは終わらない。この流れは、同時に
"太鼓が鳴り終わったその時に勝敗が決まる"ということも既に示しているのだ。
シズヲ

シズヲの感想・評価

4.2
今回は斬っちゃあならねえ人を斬っちまったいっつぁんが仁義を果たす。とはいえ話自体に目新しさは無いし、業に関してもそこまで深みをもって描かれている訳でもない。それでも見せ場は多いし、普通に楽しめる娯楽作になっている。

結構ユーモラスなシーンが多め。簀巻きのいっつぁん、無理やり乗馬するいっつぁんなど、普段は見られない貴重ないっつぁんの姿が見れるのが面白い。ただ愉快なだけではなく、引き締まるところはちゃんと引き締まってくれるので安心感もある。気さくな渡世人の新吉や市を付け狙う浪人の柏崎など、登場人物もなかなか印象的。

三隅監督なだけあって、やはり居合の描写は飛び抜けて巧い。抜刀の静動、間の使い方、カメラワークなどの見せ方が秀逸。カツシンの殺陣の切れ味も冴えていて凄まじい。終盤の太鼓の音が鳴り響く中での一騎討ちも緊迫感に満ちていて実に良かった。同じく太鼓が出てくる「歌が聞える」と違って、相手が達人なだけあってか普通に追い詰められていたのも対照的で面白い。
今回、座頭市は渡世の義理で人を斬る。ただの見届け役だったはずが、市は自ら進んで人を斬ることとなってしまう。これが原因で、座頭市は孤高の流れ者から畜生の人斬りに身を堕とす。
斬ってはいけない人を斬ってしまった座頭市はいつもの調子がでない。女の前でしどろもどろになったり、サイコロでイカサマがバレて追い詰められたり、殺人の濡れ衣を着せられたりと、シリーズのなかでも珍しい姿がみられる。マドンナ三田佳子がファムファタールでありマクガフィンの役目。市を含む全員が入り乱れ必死になって彼女を取り合う。
太鼓の音が鳴り響くクライマックスの佐藤允との決闘は緊張感があるが、音があまりにもうるさいので盛り上がりそうになるのを半減させてしまっていた。BGMとして違和感のない音楽だったら尚よかったと思う。
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