河川敷に置かれた簡易トイレ、光も差さない個室で雅樹（柳ユーレイ）は用を足していた。草野球の練習試合、イーグルスの監督の隆志（ガダルカナルタカ）は野球をしに来たのか用を足しに来たのかと雅樹をからかう。男は万年補欠の身で三塁コーチを頼まれるが野球のルールすらわからない。その日、代打で打席に立った雅樹は一度もバットを振らないまま三球三振に倒れる。朗（芦川誠）に言われるまま、素振りを始めた雅樹は1日100回素振りをするよう言われる。その日の午後、試合が終わってバイト先のガソリンスタンドに戻った雅樹は、暴力団大友組組員・金井（小沢仁志）の車の洗車を押し付けられる。人相が悪い男の執拗な嫌がらせに堪忍袋の尾が切れた雅樹は、金井に殴りかかる。骨折したと大騒ぎする金井は、大友組幹部の武藤（ベンガル）に頼み、ガソリンスタンドへ恐喝に来ていた。雅樹の現状を見かねた隆志は大友組とガソリンスタンドの仲裁に入る。かつて隆志は大友組組長の大友（井川比佐志）と兄弟の盃を結んでいたが、今はヤクザ稼業から足を洗い、美貴（布施絵理）と一緒にしがないスナックを営んでいた。隆志は大友組と直談判し、手打ちを望むのだが、武藤たちの復讐に遭い、袋叩きにされてしまう。兄貴分の復讐を誓った雅樹は拳銃を手に入れる為、イーグルスの仲間・和男（ダンカン）と共に沖縄へ向かう。

　野球のルールを知らず、練習もバイトも全て適当だった雅樹の胸に迫った「振らなきゃ始まらない」という言葉。雅樹は馴染みの喫茶店のバイトの女の子サヤカ（石田ゆり子）にダメ元で声を掛ける。「一緒に走りませんか？」の問いに女はただ黙って頷く。『その男、凶暴につき』における我妻諒介（ビートたけし）と妹の灯（川上麻衣子）同様に、雅樹とサヤカは付き合いたてだが、互いに言葉を発しようとしない、寡黙さが際立つのだ。主人公は無謀にもヤクザ組織に盾突き、恩師の復讐のために何の気なしに東京から沖縄へと向かう。その旅には受動的な感覚を持たない和男も同行する。沖縄連合組員の上原（ビートたけし）やその弟分の玉城（渡嘉敷勝男）の歓迎を受けた2人は、晴れの食事の席で明らかに困惑した表情を浮かべている。善悪の判断、生死の境目、ジェンダー格差をあっさりと超越する上原の不敵で大胆な笑みは、無防備な和男や玉城へと向かい、やがて主人公にも連鎖する。後の『ソナチネ』を真っ先に想起させる自殺志願者たちの海辺の誘惑。女をただひたすらに蔑み、アイス・キャンディの束を男たちにしか配らなかった上原の病巣、極楽鳥のお花畑で繰り広げられる短いカッティングと上原の僅かな笑み。狂気はじきに東京組に伝播し、無気力に中島みゆきの『悪女』を歌った和男の目線で切り取られる。全ては夢オチのように見えて、現実と夢想とが区別がつかない。沖縄からANAで帰る道中、玉城に渡されたびっくり袋を開いた瞬間、スケープゴートになった男たちの身体に鉛の弾がめり込む。

北野作品3作目の鑑賞。
映画秘宝 平成映画 第７位！㊗️
野球できないのに、弱小チームで草野球する男のお話。
イーグルス対シャルマン
イーグルス対アルティス
シャルマンとアルティスは本物のチームらしい。
たけし軍団総出演。
主役の柳ユーレイって初めて顔見たかも。
完全にユーレイです。ユーレイそのもの。
ゴッドファーザーたけしの
ネーミングセンスが素晴らしい！
リング🎬にも呪怨🎬にも出てるんですね。
ダンカンと井手らっきょは今年還暦！
つまみ枝豆は去年還暦。
トヨエツと石田ゆり子が若い。
そしてビートたけしが細い！
たけしが凶暴すぎる。そして理不尽、笑
タケちゃんトカちゃんの濡れ場も。
マジソンバッグ懐かしい！
沖縄に行ってみんなでアイスキャンディーを食べたくなりました。
でも沖縄に行ったら、
ざるもずくを食べてください。最高です！

「映画秘宝」が選ぶ問答無用の平成映画ベスト10

1位「マッドマックス 怒りのデス・ロード」（2015年）
2位「バットマン リターンズ」（1992年）
3位「ファイト・クラブ」（1999年）
4位「スターシップ・トゥルーパーズ」（1997年）
5位「パシフィック・リム」（2013年）
6位「デス・プルーフ in グラインドハウス」（2007年）
7位「3-4x10月」（1990年）
8位「オーディション」（1999年）
9位「愛のむきだし」（2008年）
10位「この世界の片隅に」（2016年）
次点「新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air／まごころを、君に」（1997年）

• #野球

北野武作品は好きですし、新作が公開されればやはり気になって観に行ってしまいます。ですが、監督第2作目となる本作については、残念ながら第1作『その男、凶暴につき』（'89）と同様に、あまり好きなところを見つけられませんでした。

特に気になったのは、黒人女性の扱いや、しつこく女性を叩くシーン。ビートたけし式ユーモアとして描かれているようにも思いましたが、正直、私には合いません。テレビで見かけるこうしたノリも、実は苦手です。

「映画は素人をキャスティングしても成立する」といった挑戦をしていたのかもしれませんが、もしそうだとしたら、今回はあまりうまくいかなかったように感じました。

その一方で、3作目の『あの夏、いちばん静かな海。』（'91）では「ラブロマンスはセリフがなくても成立する」ということを証明しようとしているよで、個人的にはこちらにこそ北野作品の本当の始まりを感じています。

以降は、ボクシング映画、任侠もの、時代劇など、ジャンルを横断しながら“北野武らしさ”を追求し続けてきた印象があります。

ちなみに、すべての作品を観ているわけではありませんが、北野武作品で好きな作品は次のような作品です。

・『キッズ・リターン』（'96）
・『HANA-BI』（'97）
・『座頭市』（'03）
・『アウトレイジ ビヨンド』（'12）