『轢き逃げ 最高の最悪な日』
映倫区分 G.
製作年 2019年。上映時間 127分。
俳優・水谷豊の長編映画監督第2作。
水谷による完全オリジナル脚本で、ひき逃げ事件の加害者、被害者の両親、事件を追う刑事たちの人生が複雑に絡み合い、彼らが心の奥底に抱える何かを浮き彫りにしていくさまを描き出す。
監督の水谷はひき逃げで命を落とした女性の父・光央も演じる。事件の加害者となる秀一役は中山麻聖、親友の輝役を石田法嗣。
そのほか小林涼子、毎熊克哉、檀ふみ、岸部一徳らが出演。

ジグザグ気取った都会の街並
振りむいた君の笑顔が揺れるよ
目が合えば遠く指さす
中略
言葉をこえた愛もあるはず
熱く燃える季節が
ぼくらのあこがれ運んでゆくよ
　水谷豊カルフォルニアコネクションより
(※今作品と歌詞とは一切関連性はありません)
ある地方都市でひき逃げ事件が起こり、ひとりの女性が命を落とす。
車を運転していた青年・宗方秀一と、助手席に乗っていた親友の森田輝は、秀一の結婚式の打合せに急いでいたのだった。
被害者の両親である時山光央と千鶴子は悲しみに暮れ、ベテラン刑事の柳公三郎と新米刑事の前田俊が事件の捜査にあたる。

個人的には加害者、被害者と聞くと、
加害者は他人に対する加害行為を行った者を指し、個人間のイジめとか、各種ハラスメント、犯罪、事故から、公害などの社会問題、さらには差別、戦争、植民地支配といった国際的な人権・歴史問題を含め、様々な局面で使われる。
しかし、全うに生きてさえいたら、加害者と云う言葉は何かしら刑事ものや法廷ものドラマや映画の遠いもののように感じる。
方や、被害者は『犯罪により害を被った者』や事件、事故・人災により被害を受けた人をいう。
こちらは比較的身近に感じるのは不思議だ。
あくまでも個人的な感覚ではありますが。
また、会話においても、家族や恋人、そして友達間などで軽い口喧嘩をしたとき、
『私(僕)のほうが被害者だよ』なんて軽口を叩く場合はあっても、
『私(僕)が加害者だよ』は、あまり使わない。
加害者になることを本能的に忌み嫌い、加害者と云う言葉を避けてるのかも知れない。
正業に就き、日々勤しんでいさえ居れば『加害者』になることはないなどとは、実際にはあり得ない。
ある日、ある時、思いもよらぬ過失で人を傷つけてしまうことはあり得る。
遠い立場と思ってても加害者になりうる。
それと同じように被害者にもなりうる。
直接の加害者、被害者だけではなく、加害者の家族、被害者の家族も二次的被害者と云える。
その二次的被害者たる家族の言葉や行動で、加害者、被害者と二次的になりうる連鎖は続く可能性はある。
その加害者、被害者に人はいつでもなりうると思いつつ視聴開始。
今作品は、あらすじなどで想像する轢き逃げを起こした加害者、被害者、そして、回りに取り巻く家族の人間ドラマを想像していた。
しかし、今作品は意想外な方向に物語の触手を広げていき、話し手が変わる。
今作品の最初の方は、三文役者よろしく臭く、オーバーアクトに少々サブくなった。
しかし、アララララ～　北野センセ～イ
🎼僕の先生は～フィーバー🎵嵐を巻き起こす～どんな時だって～フィーバー🎶
水谷豊はやってくれる。
中盤辺りからは想定外の方向転換。　
個人的にはそのままヒューマンドラマ路線でいってほしかったよ。
きっとミッキー・マッケンジーとも仲良くやれたよ。
兄貴ぃー
アララララ～事件記者チャボもびっくり。
オーバーアクトがいつしか役者自身の主体的な判断なのか、いや役者とカメラとの関係において、生み出されるプチ迫力ある演技と、まぁ多少抑制の効いた演技で少し惹き付けられた。
こないな演技はきっとカメラとの相性が抜群なんやろな、目の動きひとつ感じるほどでしたが頂けない。
親友やった松田優作も草葉の陰できっと見てるやろ。
豊ちゃんなんじゃこりゃー。
男たちの旅路の杉本陽平から相棒の杉下右京さんまでに培ったモンを良きもわるくと爆発させとるんやろな。
でもまぁ、サスペンスとしては、事件にご都合主義が否めない部分が散見される。
せやし、チャボ、いや、右京さん贔屓の目で見ても諸手を挙げて善き作品だとは云いにくい。
また、サスペンス領域展開にするなら、あの三文演劇みたいな前ふりが長ったらしかった。
もっとドっキドキするような前戯があったなら燃えたんやけど。
まぁ、起承の大きな転換があるからこそ展開展開が予想できひんかったんやと考えたらが、荒削りな部分も悪くはないかな。
２時間モノのテレビドラマなら右京さんに脱帽だけど、映画としてみたら少しスケールが小さいかなぁと思いましたが、決して悪い作品ではなかった。

▪️Title :「轢き逃げ　最高の最悪な日」
Original Title :※※※
▪️Release Date:2019/05/10
▪️Production Country:日本
🏆Main Awards : ※※※
▪️Appreciation Record :2019-281
▪️My Review
レビューでは結構酷評されていますね。私は神戸出身のため全編神戸ロケということで鑑賞しました。
私は二つの意味で、良作ではないかと思いました。
一つ目は、「映画監督 水谷豊」の世界観。日本映画初の「ドルビーシネマ」対応で、臨場感溢れる生々しい世界観と徹頭徹尾オリジナルな「語り口」のコントラストで先の読めないミステリアスな物語をそれぞれの人の心を浮き彫りにして見事に描いています。
二つ目は、ストーリーテリング。とにかく入り口と出口が全く違うのに衝撃を受けました。轢き逃げ事件に端を発した重厚な人間ドラマ、おもわずえっ！となる真相、それらを2時間に凝縮してるのも見事です。
そして、ラストシーンも素晴らしく檀ふみの聖母のような微笑みを見ながら救われたような気になりました。
良作だとわたしは思います。

主な神戸ロケ地
・レストラン ジャンカルド
・北野天満神社
・CinemaKOBE
・神戸大橋
・神戸ポートピアホテル
・神戸おとぎの国
・アジュール舞子
・カフェ UNICORN
・元町高架下商店街
・南京町
・東遊園地
・小磯記念美術館
その他

▪️Overview
「相棒」シリーズでおなじみの俳優・水谷豊の長編映画監督第2作。水谷による完全オリジナル脚本で、ひき逃げ事件の加害者、被害者の両親、事件を追う刑事たちの人生が複雑に絡み合い、彼らが心の奥底に抱える何かを浮き彫りにしていくさまを描き出す。監督の水谷はひき逃げで命を落とした女性の父・光央も演じる。事件の加害者となる秀一役は特撮ドラマ「牙狼 GARO 魔戒ノ花」の中山麻聖、親友の輝役を「カナリア」は石田法嗣。そのほか小林涼子、毎熊克哉、檀ふみ、岸部一徳らが出演。（映画com参照）

何だか、たまに胸くそ悪い映画を観たくなるんですよね。
絶対的に悪い犯人がいて、その人の事をひたすら責めたくなる。
そんな気持ちになりたい時に選んでいるような気がします。

伊藤健太郎くんの事もありましたし。

人生の教訓として検めるいい機会にもなりました。

監督としての水谷豊は意外と奥深いぞ、と思いつつ。
視点の移り変わりや人間の愛情の持ち方の偏愛についての考え方が面白かったです。

それにしても、何でこの映画を作ろうと思ったのか？を考えるとけっこう難しくて。
こんな最初から胸くそ悪くなるのが決まっているような映画を好んで観に行く層は少ないのは明白で、確実にヒットしないじゃないですか。

でも、この手の心理描写を描きたくなる気持ちってよく分かるんです。
理解したいという思いに駆られてしまうから。

企画を通した時点で、どこかの教則として取り扱われるようになるのかな？と思ったり。
例えば免許の更新のオススメ教材になったりとか。そんな穿った見方をしてしまいます。

しかし、パニクると人命救助はどうでもよくなるのかな？
街で倒れてる人がいた時に人集りだけが出来て誰も手を貸さないのが異様で気持ち悪い。
これって学校教育に人命救助のプログラムがきちんと織り込まれてないからだと思うんですよねぇ。
AED講習だけでも必須にすればいいのに。