『ブラッド・ブレイド』
原題Blood Quantum.
映倫区分R15+.
製作年2019年。上映時間98分。
Blood Quantum.は一部のネイティブ(インデアン)やファーストネーション(カナダに住んでいる先住民のうち、イヌイットもしくはメティ以外の民族のこと)の政府が、先住民の先祖を持つかどうかを定義するために使用する指標です。

感染するとゾンビになり人間を襲うウイルスが流行した世界を舞台に、免疫をもつため感染を防ぐことができた生存者たちとゾンビたちの死闘を描いたカナダ産ホラーアクション。
主演は人気テレビドラマ『フィアー・ザ・ウォーキング・デッド』(ウォーキングデッドのスピンオフ)にも出演したカナダのベテラン俳優マイケル・グレイアイズ。

感染者が生ける屍となり人間に襲いかかる謎のウイルスが大流行し、滅亡の危機にある世界。
奇跡的に免疫を持つ一部の人々だけが生き延び、リーダーのトレイラーを中心に『レッド・クロー』と呼ばれる居留地で暮していた。
ある日、そこに3人の生存者が助けを求めてやってくる。
トレイラーは受け入れに反対する息子ライソールの意見を無視し、彼らを迎え入れるが、
この決断が集落を地獄に変え、生き残りをかけた壮絶な戦いの幕開けとなる。

インドや南アフリカ産のゾンビ映画を見かける昨今。
勿論、中国や韓国産のゾンビ映画も多々ある。
先日は、ベトナム産のを観たがまだまだゾンビ発展途上国。
そんなワールドワイズなゾンビ映画でネイティブが主体となる作品を見たのはお初。
期待しないで観たら、これがどうして、低予算ながら確りしたゾンビホラー映画に仕上がっていました。
これは、幻想的で楽しいジャンルの作品でしたよー。
今作品の優れた点は、映画全体を通して行われる、楽しい量、程よい量のゾンビが出るアクションです。
ゾンビが皆を襲い始めるという初期の設定が、後にこの地域が黙示録的な荒れ地となる。
ゾンビの侵入を防ぐための防護策などのオーバーランエリアや、
ゾンビを殺ることに工夫された攻撃用バリケード等々が、たくさんあり印象的であるほど、ここでは存在感を放っていました。
荒れ果てたビルの中で繰り広げられるアクションは、スピーディで楽しく、残酷で、大量の血しぶきや登場人物たちの感情的な解決も見どころかな。
また、家族の紹介や彼らの生き方など、盛りだくさんな内容も魅力的でした。
彼らのライフスタイルの無邪気さは、その伝統ゆえに彼らを異質とみなす地元の人々に狙われながら過ごす、さまざまな日々の暮らしに関連して、かなり興味をそそるスタートを切っていたかな。
部族を存続させるためなら手段を選ばない、冷酷なまでの攻撃性を持ったファイターとなり、なおかつ他者を受け入れる人間味を見せる姿は素晴らしく、他の要素も相まってこの作品を総合的に支えています。
しかし、今作品にはいくつかの問題があるのも確かです。
その欠点は、前半の控えめなエネルギーに、あまり魅力を感じないし、やけに画像が暗い。
設定のコンセプトには好感が持てるんやけど、エキサイティングなアクションがあまりないとこかな。
保護区に住む一家が、国籍に起因するステレオタイプな虐待に遭うという舞台裏は、新しいアイデアやコンセプトを用いず、安易でよくあるパターンなので、面白くなるまでの時間が長かった。
また、この先もそのストーリーが使われ続けることです。
作中の黙示録の中で安全に過ごすことについて誰も何も学んでいないのに、生存者を救出する必要性を説き続けるのは、かなり強引で非現実的だと感じ、そのメッセージの魅力にやや限界がある。
とは云え、映画に大きな影響を与えるほどではありませんし、個人的には楽しめました。
ネイティブのお爺さんが日本刀振りかざすシーンは初めて見たかな。

余談ですが、
小生は、刃物が好きで、料理用から仕事上扱う革用ナイフ、キャンプ用の斧から鉈までコレクションしては、機会があれば刃物を扱い研いでいる。
ですから、日本刀を扱った映画作品を見ると良く考えるのは、
一振り(一本)の刀で、実際に何人斬れるかと云うものです。
ウィズリースナイプス主演の『ブレイド』のVAMP(ヴァンパイア)をバッタバタ切り刻む日本刀。
ウォーキングデッドのミショーンがウォーカー(ゾンビ)をスパリと削ぐ日本刀。
『GIジョー』の中でも屈指の人気を誇るキャラ、12種の格闘技に精通する最強の忍者ヒーロー『スネークアイズ』の目にも止まらない速さで敵を薙ぎ倒す日本刀。
マジにどれくらい斬れるんか。
辻斬りするしかマジに試すことは不可能。
だけど、刃物を扱ったり、作ったりしたりした結論は(マダマダ若輩だから考えはかわるやろけど)。
立っている無抵抗の人を袈裟で斬る(時代劇の様に)と仮定したんなら、30人位で刀が草臥れるし、10人くらいで、斬る人の体力も疲れ果てる。
刀の状態は、あくまでも剣術の達人レベルなら、特に何も影響ないと思います。
強いて云うなら斬る度に少しは錆びますが。
戦闘中なら、宮本武蔵レベルなら野原で、格下剣士を相手にした場合、精々、敵が2人位までなら斬れるかも知れないし、
赤穂浪士討ち入り(虚を付く)屋敷の中なら、上手く行けば4、5人は斬れると思う。
刺すのは別。
鎌倉時代の日本刀は主に刺す。
だから、ゾンビ相手なら(死肉)20体は斬れるやろけど、それ以上は研いでもむりがある。
ミショーンゴメン。
VAMP相手なら、動きが速ければ(ウォーキングデッドは鈍いがワールドウォーZ《ブラピ主演の》のは速い)、下手したら直ぐにグニャリと刀身がひん曲がって、ただの重たい鐵の塊となるやろと思います。
ただ、よく、刀は2、3人で斬れなくなると軽い雑学書で書いてあるが、これは微妙です。
理由は、平安中期から明治まで、同じ原料、同じ作刀工程で、その程度の武器を造り続けて来た日本人は馬鹿ではないはず。
戦後の高度成長、日本車の進化、医療技術の進歩、IT技術の目まぐるしい進化。
どれを見ても日本民族は向上心と探求心に長けた民族であるから、
血糊や脂で斬れ味が落ちるモノをせっせと作るはずがない。
実際、小生も牛刀を持つまでは、『脂で直ぐに斬れなくなる説』を有力視していたけど。
牛刀でさえ、牛の脂を多少のってきても斬れ味はあまり変わりません。
(これは食物肉で何度も試した)
ですから、考えは変わったかな。　
(ただ、手入れしなきゃ錆びる)
また、歩き回る人の脂は死んだ牛やらの脂より瑞々しいし、血糊に関しては刀身に付着しにくい。
多くの雑学書は、包丁と日本刀を同じ感覚で語りがちやけど、斬る(切る)時の速度が、幼児の投げるボール(包丁)と弓矢のスピード(日本刀)位違う。
斬れ味に影響を及ぼす程に脂が付着するには相当ゆっくり斬らなきゃ無理。
また、よく書かれてるのが、直ぐ刃こぼれして斬れなくなると云うものも、それは武道の素養の浅いものが斬れば確かに直ぐに刃こぼれするとはおもうが、何十年も剣を一筋に振ってる人なら、一人や二人では、刃こぼれはあまりないかな。
ただ、世界の町の鍛冶屋が集い刃物製作を競うドキュメンタリー番組『ザ鍛冶男』では日本刀は、結構早い段階で刃こぼれ、と云うよりも刀身がひん曲がった。
あくまでも、その日本刀を打ったのは何十年と日本刀を作り続けてる熟練鍛冶屋でもなきゃ、刀を扱う者もチョイ武道の素養のある外人やった。
鉄兜を斬っても刃こぼれしない例があるほどの日本刀。
ただ、切れ味は落ちるとは思う。
んで、総合したら、今作品の日本刀ではゾンビは斬れるが、バサバサと斬れるのは、よほどの名刀で、その刀を扱う者がよほど鍛練を積んだ剣士以外は難しい。
故に、『ウォーキングデッド』のミショーンは日本刀を当初なら(鍛練が浅いとき)あんなにも斬りまくれないが、『ブレイド』は超人的能力があるし、可能性はあり、『GIジョー』のスネークアイズはおそらく剣術の達人の域に達してるであろうし、そんな達人がなまくらな刀を持つわけがないと云うことで、スネークアイズなら可能かと思います。
って、これ、なんの投稿やったかわからなくなりましたので此くらいに☺️。

ゾンビ世界紀行でしょうか？！カナダゾンビ、かなりジャケットフィッシングにやられちゃったかなあ（苦笑）あらかたのB級どこゾンビ作品攻めてて、まだおかわり欲しい人向け？！か、、、まあ、鮭が笑える。「バタリアン」な方面かな？！ネイティブカナディアンのソードソルジャー奮闘！う〜ん、98分が2時間を感じさせる軽い疲労感あり（笑）スルーありなB級平均点ゾンビでした。

植民地主義としてのゾンビ

11月はゾンビ㉑

ゾンビパンデミックで滅亡の危機に瀕した世界。カナダの保護区レッドクローでバリケードを築き生活する人々。安全だと思われていたバリケード内での対立から大惨事へと発展していく反植民地主義なゾンビ映画。

ジャケ画像からもっとテンション高めなゾンビコメディなのかと思っていたら、コメディ要素はありつつもすんごい真面目な社会派ゾンビ映画で驚いた。本作の主人公サイドはカナダの先住民なのだけど、先住民は免疫があり感染せず、その一方でウイルスに感染して襲ってくるのは白人たちというのが新鮮。その設定のもと、バリケードで守られている集落へのゾンビたちの襲撃を先住民に対する植民地主義的な侵略行為と見たてている。

釣りたての魚をさばいてる最中に、内臓を取り出したはずの魚が動き出すというパンデミックのスタート地点から既に異様さが途轍もなく、尾びれが動き出しとともにカットが切り替わり、異常が４倍に急激に膨れ上がる、次第に犬、そして人間に…と拡大していく。そこからは一気に６ヶ月後に飛び、バリケードの中での籠城生活の本編が始まる。

コメディ要素はそこまで多くはないけれど、橋からゾンビが接近してくるのに対して、粉砕機を設置しておくことで半自動でゾンビが次々に勝手に粉砕していくのが笑えるし、お化け屋敷みたいに腸でぶら下がったゾンビが急に出てくるところとか楽しいアイデアが沢山あった。

本作はレスティゴーシュ保護区で撮影されており、その場所はかつて警察が漁業権を制限するために保護区に侵入した事件があった場所のようで、魚からのパンデミックのスタートはそういった意図を含ませたものらしい。そして助けを求めてやって来る白人に対して共存（受け入れ）と排除で内部の意見が対立する様は、先住民の入植者に対する反応の対立そのもので、その白人が持ち込んだ感染者を包んでた布をすぐに焼かせる行為も、天然痘が持ち込まれた毛布を介して広まった歴史を反映させたものらしい。

マイノリティの現状への対応における価値観の対立を兄弟に重ねた『ブラックパンサー』感も面白く、また先住民の子を宿した白人女性が物語の重要ポイントとして登場する希望の演出はどこか『ゾンビ』や『ドーンオブザデッド』のようでもある。ジャケに書かれた最強の戦士たちのバトルというところはそれほど感じなかったけど、日本刀を持ったジジイの奮闘っぷりは達人感が凄くて良かった。刀についた血を拭う姿がたまんなかった！

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