ゾンビ大陸 アフリカンの作品情報・感想・評価

「ゾンビ大陸 アフリカン」に投稿された感想・評価

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いい、いいぞ、こういうゾンビ作品すきです。
静かで、恐ろしくB級感溢れるシーンと、あれ?これは名作じゃないか?と思わせる沈黙のシーンとが交互に。
走って追いかけてきたりしないけれど、ちゃんと恐怖が迫ってくる、かなり好みのゾンビ映画でした。
アフリカ系ゾンビは初体験でしたので、それも良かったです。

このレビューはネタバレを含みます

このタイトルを探すために、Filmarksの検索で「ぞんび」っていれてみたんですよ。
そしたらでるわでるわ、いったい幾つの作品があるんでしょう「カジノゾンビ」とか「女子高生ゾンビ」とか「ゾンビハネムーン」「クズ・ゾンビ」とかもうスクロールとまらない!…夜中にひとりで声出して笑ってしまいました。

このB級感溢れるタイトルのせいでこんなにいぶし銀の良作が世間から見逃されていくなんて、嘆かわしい。

以下、バカみたいに長い感想ですが、呆れないでね。簡潔なレビューが書けるようになりたい。

わたしは至高の第一位はロメロ版「ゾンビ」で、それからその前作品の「ドーンオブザリビングデッド」があり、そのほかで好きなゾンビ映画といったら「ショーンオブザデッド」と「ゾンビランド」という、ゾンビをタイトルにしながら、「恐怖映画」というより、ゾンビを媒介とした滑稽で悲しい人間の喜劇に逃げていたような気がします。純然たる「ゾンビ」というものへの恐怖でいえばやはりロメロを超えるものはない、と。

しかし、これは久々、これはという作品に出会えた気がします。
うん!これはいいゾンビ!派手ではないけど、渋み溢れるエモーショナル系。エモゾンビ。

ロメロのゾンビが好きであれば、エンタメ性はともかくとして、その精神が好きであればぜひ一度みていただきたい一作。

冒頭15分ぐらい、ほとんどセリフがなく静かな印象。浜辺のシーンで、砂の丘の遠くからまばらに静かにこちらに向かってくるゾンビが悪夢のような怖さでした。奇声をあげたり全力疾走したり津浪のように大量に襲い掛かってくることなく、武器の入った木箱を開けようと奮闘してる間に気づくと間近にいる。

アフリカから脱出途中に墜落した米軍輸送機から浜に打ち上げられた白人エンジニア・ブライアン(脱出機のなかにひとり感染者がいて、しかもガス欠で海に墜落、その一人です)。ゾンビを駆逐する命をうけたアフリカの軍の兵士、ダニエル。主な登場人物はこの二人。米兵は国に戻り、妻子に会う為、ダニエルは故郷の村が全滅し、一人救助されて基地に運ばれた息子を探しての道中で出会います。もともとは侵略してきた米兵と、国を守ってきた地元兵という敵対したものどおしでしたが、いまや階級や身分もなく、でもふたりとも、技術的にも戦闘能力的にも、とても有能な軍人であることがわかるし「あーひとりじゃなくてよかった!」とお互い徐々に信頼を詰めていく間柄ですが、それをもってしても、なおつきまとう絶望感。

砂漠や荒れた原野や、最後の方に出てくる小山が並ぶ谷などはどことなくマッドマックスを思わせる終末感漂う風景が見どころ。その荒涼たる大地、道なき道をエンジニアが突貫修理した、いつ止まるともわからないポンコツランドクルーザーで進む。もちろんガス欠もあるし、水場だってほとんどない。アフリカの太陽も絶望的にでかいし、夜は暗いし、自然はまったく容赦ない。外からも中からも絶望的な感じ。

砂漠の丘陵を遠くからゆらゆらのろのろ近づいてくるゾンビ。穀物畑の中、葉のすきまから見えつ隠れつ近づいてくるゾンビ。たぶんアフリカに住む人たちが古来から恐れ戦ってきた野生の猛獣のイメージなんだろうか、とも思う。二人が野営するときに近寄るものがいたら気づくように縄を張り巡らしているところや、夜は樹の上で隠れて休み、その下をゆっくり単体ゾンビが通っていく場面など、なんとなくそんな気がしました。または、村ひとつを瞬時に壊滅状態にする疫病の比喩?(呪術師?呪術医?のシーンがありました)

ゾンビのセオリーとして「生きていたころ馴染みの場所に行く」という知能のなさがありますが、こうして単体で原野に現れるゾンビは、その限りなんでしょうか。またアフリカという土地柄、群れずに一人で土地を流れて生きてきた生前の記憶なのでしょうか。

また、わたしが「ロメロゾンビの精神の肝」と思う、噛まれた友人の頭をぶち抜かなきゃいけない局面、ゾンビ化した自分の母を葬る場面など、えもいわれぬ(ある意味お涙ちょーだいになりがちだけど)シーンも、あえて主人公たちの感情をみせずに心を想像させる余白の奥ゆかしさも好感がもてました。

後半に、ブライアンが、赤ちゃんを抱いて噛まれ傷がある現地の女性に出会うシーンがありました。後ろからのろのろ追いすがってくる奴らがいるなか、もう助からないとわかっている母親がブライアンに子どもを抱かせ、自分の頭を撃ってくれと懇願するのですが、母親があまりにも迫真だしブライアンの辛さ(撃つことも預かることも)、短いながら忘れられない、感情をえぐられるシーンです。

始まりが詩的なら、ラストも詩的。

あ、これで終わりなんだ、とおもいつつもダニエルの遺品を息子に渡し、父を亡くしたアフリカの子と、妻子を失くしたアメリカ人の男が向き合うシーンで終わる。「結局なに?」と、スッキリがないといえばないのだけど、ゾンビのラストで、絶望の中でショッピングモールから飛び立つ小型機の「希望2割+絶望8割」を踏襲しているように思えます。

またゾンビのビジュアル。アフリカ系の人のメイクと無表情、死人の目などがとてもメイクとしてよくできている。砂地を歩くまがった足。車の下に見える死んだ足。アフリカの夕日を背景にシルエットだけの立ち姿でも、それは生きていないとわかる。ただ、頭つぶしたり、腕や足が千切れたりゴアな描写は、そのへんは決して奥ゆかしくなく、しっかり見せるので苦手な方は気を付けてください。

動きも遅く、数も多くない、フィールドは広い、それでも、もう逃げられない重苦しい絶望感がずーっとつきまとう。古えの恐怖映画としてのゾンビもの、久々に良作にぶち当たりました。それなのに、このタイトルはないよねー。

ゾンビもの=サバイバルアクションものになったのはいつごろからなんでしょうね。その種の、走る、飛ぶ、群れる元気で獰猛なクリーチャーとしてゾンビやアンデッドをみてきた人はものたりないし「こいつらの何がこわいの?」「あんなトロイのやっつけられない方がおかしい」「軍人二人いれば作戦が練れるでしょ」などというでしょうし、そういう人とは、まず受け付けない映画だと思います。

手元に置いて、クズゾンビ映画見ちゃってゲンナリしああとなんかにお口直しとして観たいですな。エモゾンビ。
邦題見た時はニヤけが止まらなかったが、見始めるとじわじわ面白さが分かってきて仕舞いには拳を高く上げて無事ガッツポーズ。時折C級の演技やビビらせ方もあるが、それを上回らせるコンセプト、絵、音楽がある。そしてある時ハッと気づく狼男アメリカンとの共通点、好き。バイオハザード5の二番煎じでもない、ロメロタイプの傑作B級サバイバルゾンビ映画。
スーズ

スーズの感想・評価

2.5
アフリカだからよりリアルに感じた。未知の病原菌でゾンビ化しても有りそうって思うもん。やっぱ一般人は逃げるだけで頭かち割ったり出来ないよね…銃も持ってないし。主人公あの後どうしたんだろう。絶望の中にわずかな希望が見えた?
J四郎

J四郎の感想・評価

3.6
タイトルにある通り、アフリカが舞台っちゅう珍しいゾンビ映画。
なんだか頭の悪そうな邦題がついてるので、これは相当バカっぽいゾンビもんに違いない!と観てみたのだが。
これが意外にもめっちゃ正統派なゾンビ映画でした。メイン2人、白人と黒人のバディもんでもあるかな?

後で知って驚いたがこれは2010年と結構最近の映画。それくらい最近のゾンビ映画にしてはゆったりとした時間が流れてます。
ゆったりと言えば、今作に出てくるゾンビは走ったりしません。古き良きロメロゾンビの系譜を受け継いでいるようで、のっそのそと迫って来る。アフリカの景色と相まって、どこか牧歌的な印象も受けた。
アフリカのうだるような暑さにゾンビも夏バテ気味?・・に見えなくもない。

しかし、バイオレンス描写は結構過激なものがありまして、主役のお二人さんは淡々とゾンビを始末していく。印象的なのはゾンビがえっらい至近距離まで襲ってくるところ。他のゾンビ映画ならば、それ間違いなく食われてまっせ!ってくらいに。

後半にそこそこ衝撃的な展開があるが、全体としてはそれほど緊迫感が無い。なので昨今のテンポの速い(ゾンビも走るもんな)作品に慣れてると眠くなるかも知れません。逆に古典的なゾンビが好きならOKかも?
独特のムードに包まれたこの映画、個人的にはしばらく時間を置いてからまた観たいね。
zombie4263

zombie4263の感想・評価

5.0
近年の走るゾンビとか、とりあえず下らないパロディや軽い冗談飛ばすゾンビコメディとか、へんな変化球でゾンビ映画に参入してやるぜ!的な映画とは全く違い
ロメロ監督のゾンビのように「ゆっくりだが確実に近付いてくる恐怖」を描いてる本作は見事に傑作
この物語のキャラクター達の話すぎない会話が、物語全体に深みを増しているので○
近年の若い子とかは、面白く感じないかもしれないがそれはもうしょうがないことかもしれない
ゾンビの襲撃を受けながらも、命からがら脱出した米軍航空機。しかし燃料の不足により途中で海に墜落し、浜に打ち上げられ助かったのは3人。しかしその浜にもゾンビは大量に……って話

真面目過ぎる位真面目にゾンビ映画作りましたって感じの映画。ゾンビの種類はトボトボ歩くロメロ系でした。笑いは一切無く、戦闘は最小限。そして現地民の人達がガチめに辛そうにしてる所がリアルでした。けどリアル過ぎるが故に、ストーリーが地味になってしまっているのも事実…。ゾンビ好きな人が噛み締めながら見る映画かなー。
Filmjunky

Filmjunkyの感想・評価

2.6
放題で損をしてるパターン。
ふざけたホラーかと思いきや、きちんと人間通しの触れ合いが描かれて居て映画になっていた。
戦争相手でもゾンビ的非常事態になったら助け合う人間達。安心した。
オーソドックスなロメロ系ゾンビかつメイクも大したことないのですが、アフリカの砂漠とカンカンの太陽とゾンビというのは面白かったです。

ブライアンとデンベレの交流もよかった。
途中の、俺を救ってくれ、からの鳥の羽ばたきのシーンが好き。

テンポがゆっくりで大人しいのがかったるく感じる人もいるかもしれませんが、古典ゾンビが好きなら見て損はないと思いました。
ゾンビの造形と雰囲気は素晴らしい。しかしいかんせん、ストーリーが退屈過ぎる。

そういう形式の映画と思って観ても、やはり台詞がもう少し欲しかった。
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